アルバムレビュー:McCartney III by Paul McCartney

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

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発売日: 2020年12月18日
ジャンル: ローファイ・ロック、インディー・ポップ、フォークロック、アート・ポップ


McCartney III』は、Paul McCartney が2020年に発表したアルバムである。
タイトルが示す通り、
McCartney』(1970)、『McCartney II』(1980)に連なる
“セルフメイド三部作”の完結編である。

2020年、世界がパンデミックによる停滞に直面する中、
ポールも例外ではなく、ツアーの中断や移動の制限により
自宅スタジオで静かに創作に向き合う時間が増えた。
そこから自然発生的に生まれたのが本作である。

前二作と同様に、

  • ほぼ全ての楽器をポール自身が演奏
  • 自宅での個人的なレコーディング
  • 制作過程の即興性
    という特徴を持ち、
    “閉ざされた空間で生まれる純度の高さ”がそのまま音になっている。

しかし『McCartney III』が特別なのは、
70代後半のポールがここまで自由に、柔らかく、
そして遊び心に満ちている点だ。
長いキャリアの集大成という雰囲気よりも、
“音楽を作る喜びそのもの”が素直に記録されている。

パンデミックという特殊な時間が、
ポールの創作を1970年のような
“初心のモード” へと優しく引き戻したのだ。

その結果、
ローファイで親密、しかし新鮮で前向きな、
独特の輝きを持つアルバムが誕生した。


全曲レビュー

1曲目:Long Tailed Winter Bird

不思議な高揚感を持つインスト寄りのオープニング。
アコースティックギターの反復が、
“冬の静けさと躍動のあいだ”を絶妙に描く。

2曲目:Find My Way

明るく軽やかなポップソング。
70代とは思えない軽快さで、
パーカッションの遊び心が光る本作の象徴曲。

3曲目:Pretty Boys

控えめなトーンの中に深い美しさが宿る曲。
現代社会の視線や消費文化をテーマにした知的なアプローチ。

4曲目:Women and Wives

低音の声が圧倒的な存在感を放つ。
ソウル/ゴスペルの影響を感じる重厚な曲で、
人生の洞察が静かに深まる。

5曲目:Lavatory Lil

ユーモアとロックを掛け合わせた軽快なナンバー。
70s的なエッジを持つ、短く楽しい曲。

6曲目:Deep Deep Feeling

本作の中心となる長尺曲。
深層心理をえぐり出すような構造で、
実験性と感情の深さが融合する異色の名曲。

7曲目:Slidin’

最もロック色の強い楽曲。
重いギターと荒々しいエネルギーが、
“ポールのまだ終わらないロック魂”を感じさせる。

8曲目:The Kiss of Venus

美しいアコースティックの小品。
優しいメロディと語りかけるような歌声が魅力。

9曲目:Seize the Day

本作中もっとも前向きでポップな楽曲。
逆境にあっても“今を生きる”力を肯定するメッセージソング。

10曲目:Deep Down

ミニマルでファンク寄りの曲。
夜のムードを漂わせつつ、内向的な高揚を描く。

11曲目:Winter Bird / When Winter Comes

アルバムを静かに締めくくる、美しいアコースティック曲。
実は90年代末に録音されていた未発表曲で、
過去と現在がひとつに溶け合う瞬間でもある。


総評

『McCartney III』は、
Paul McCartney のキャリア後期における
最高級の“自由さ”と“純度”を持つ作品である。

特徴を整理すると、

  • 自宅録音・ワンマン制作による親密な音像
  • アコースティック〜ロック〜アートポップの幅広い表現
  • パンデミック下の静かな環境がもたらした集中
  • 人生経験に裏打ちされた深い洞察
  • “作る喜びそのもの”が音として可視化されている点

70代後半のアーティストがここまで瑞々しい音を作ること自体、
ロック史でも稀な出来事であり、
その奇跡を目の当たりにする作品とも言える。

同時代の作品と比較すると、
Bob Dylan『Rough and Rowdy Ways』の熟成された語り
Neil Young のアナログ感ある自宅録音作品
Beck のミニマルで親密なトーン
などと響き合うが、
『McCartney III』はあくまで“ポールならではの軽やかさ”が中心にある。

『McCartney』三部作の締めくくりとしても完璧だが、
単にシリーズの完結というより、
“いまのポールが何者なのか”を最も自然に語るアルバム
として聴くことができる。


おすすめアルバム(5枚)

  1. McCartney / Paul McCartney (1970)
    シリーズの原点として必聴。
  2. McCartney II / Paul McCartney (1980)
    実験精神と独自性が本作との強い関連を持つ。
  3. Chaos and Creation in the Backyard / Paul McCartney
    内省性と丁寧な制作という観点で比較が興味深い。
  4. Egypt Station / Paul McCartney
    後期ポールのポップセンスと創作意欲を知るために。
  5. Rough and Rowdy Ways / Bob Dylan
    熟練アーティストの後期作品として対照が鮮やか。

制作の裏側(任意セクション)

『McCartney III』はパンデミック下での孤独な制作だが、
それはポールにとって“原点回帰の幸福な時間”でもあった。
自宅のスタジオで、
好きな時に、好きなだけ、好きな方法で音を重ねていく。

その自由さは、1970年の『McCartney』、1980年の『McCartney II』と同様に
制約から解放された瞬間にのみ生まれるものであり、
“創作の純度”が条件反射のように高まっていった。

また「When Winter Comes」は、
George Martin との最後期のセッション素材であり、
それを本作のラストに置くことで、
“過去と今のポールが出会う”という美しい構造が生まれている。

『McCartney III』は、
長い人生を歩んできたひとりの音楽家が、
静かで自由な環境で再び花開く瞬間をとらえた、
温かく波長の良いアルバムである。

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