発売日: 1966年3月
ジャンル: ガレージロック、フォークロック、サイケデリックロック
ロサンゼルス出身のバンドLoveによるセルフタイトルのデビューアルバム『Love』は、1966年にリリースされ、ガレージロックとフォークロックを融合させたサウンドで当時の音楽シーンに新風を吹き込んだ。このアルバムは、Arthur Leeを中心に、多文化的な背景を持つメンバーたちが集結して作り上げたものであり、荒削りながらも革新性に満ちた楽曲群が特徴だ。
アルバムの音楽性は、The ByrdsやThe Rolling Stonesなどの影響を受けつつも、独自の個性を感じさせるもので、フォーク、ブルース、サイケデリック要素が絡み合ったダイナミックなサウンドが展開されている。また、Leeのカリスマ的なボーカルとBryan MacLeanの繊細なソングライティングが絶妙に調和し、アルバム全体に特有のドラマ性を与えている。リリースから半世紀以上が経った今もなお、ロサンゼルスのカウンターカルチャーを象徴する一枚として高く評価されている。
トラック解説
1. My Little Red Book
アルバム冒頭を飾るBurt BacharachとHal Davidのカバー曲。Loveはこの楽曲にガレージロック的なアプローチを加え、オリジナルとは異なるエネルギッシュなバージョンを作り上げた。Arthur Leeの挑発的なボーカルが印象的。
2. Can’t Explain
アップテンポでフォークロックの影響を強く感じさせる楽曲。リズムギターとボーカルの掛け合いが力強く、The Byrdsを彷彿とさせるサウンドが楽しめる。
3. A Message to Pretty
Bryan MacLeanが作曲した美しいバラードで、アルバムの中でも異彩を放つ一曲。繊細なメロディーと控えめなアレンジが、恋の切なさを際立たせている。
4. My Flash on You
疾走感のあるガレージロックナンバーで、シンプルながらも力強いギターリフが特徴的。Arthur Leeの熱いボーカルが楽曲にエッジを与えている。
5. Softly to Me
Bryan MacLeanがリードボーカルを務めるフォーク調の楽曲。柔らかなメロディーラインと詩的な歌詞が、バンドの多彩な音楽性を感じさせる。
6. No Matter What You Do
荒々しいエネルギーが特徴のガレージロックナンバー。リズムセクションが楽曲を力強く支え、ライブ感あふれる一曲となっている。
7. Emotions
シンプルでメロディアスな楽曲。バンド全体が一体となった演奏とLeeのボーカルが、感情的な深みを作り出している。
8. You I’ll Be Following
フォークロックの流れを汲む楽曲で、キャッチーなメロディーが印象的。バックコーラスが曲に広がりを与え、心地よいリズム感が際立つ。
9. Gazing
メランコリックなムードを漂わせる楽曲。繊細なギターワークとLeeのボーカルが、アルバムの中で独特の存在感を放つ。
10. Hey Joe
ガレージロック界の定番曲をカバー。Loveはオリジナルにサイケデリックなアプローチを加え、彼らならではのユニークな解釈を披露している。
11. Signed D.C.
ドラマチックで内省的な楽曲。歌詞はドラッグ中毒者の悲哀を描いたもので、アルバムの中でも特に感情的な深みを持つ。静かなギターとLeeの切実なボーカルが心に響く。
12. Colored Balls Falling
サイケデリックな要素が強い楽曲で、歪んだギターサウンドと幻想的な雰囲気が特徴的。実験的なアレンジが耳を引く。
13. Mushroom Clouds
核戦争の恐怖をテーマにした異色の楽曲。シリアスなテーマをサイケデリックな音楽で表現するバンドの挑戦が光る。
14. And More
アルバムのクロージングトラックで、明るくポップな楽曲。シンプルな構成ながらも、アルバム全体を締めくくる爽やかなエネルギーが感じられる。
アルバム総評
『Love』は、1960年代のロサンゼルスの音楽シーンを象徴するアルバムであり、バンドの持つ多様性と創造性を見事に表現している。フォークロックとガレージロックが融合したサウンドは、当時のトレンドを反映しながらも、Love特有の個性が際立つ。特に「My Little Red Book」や「Signed D.C.」といった楽曲は、荒削りながらも情熱的で、アルバム全体のハイライトとなっている。The ByrdsやThe Doorsをはじめとする同時代のアーティストとも比較されるが、Loveはより自由で革新的なアプローチで、自らの音楽的アイデンティティを確立している。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
The Byrds – Mr. Tambourine Man
Loveと同様にフォークロックを基調とし、美しいハーモニーが際立つ一枚。
The Doors – The Doors
ロサンゼルスを拠点に活動したバンドで、Loveと同じく実験的なアプローチを感じさせる。
Jefferson Airplane – Surrealistic Pillow
サイケデリックロックの名盤。Loveのサイケデリックな側面に共感するリスナーにおすすめ。
Buffalo Springfield – Buffalo Springfield Again
フォークとロックが見事に融合したアルバム。Loveのフォークロックスタイルが好きな人にはぴったり。
The Velvet Underground – The Velvet Underground & Nico
実験的なアプローチが際立つ作品で、Loveの挑戦的な音楽性と共通点がある。
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