
発売日: 2010年11月12日
ジャンル: ポップ、ダンスポップ、R&B、エレクトロポップ
概要
『Loud』は、バルバドス出身のシンガー Rihanna が2010年に発表した5作目のスタジオアルバムである。
前作『Rated R』(2009)で見せたダークで攻撃的な世界観から一転し、
本作は 色彩、開放感、情熱 を全面に押し出した、明るくポップな作品だ。
タイトルの「Loud」は
“大きく、鮮やかに、恐れず自己を鳴らす”
という意図を象徴しており、サウンド、ビジュアル、歌詞の全てが高いテンションで統一されている。
カリブのルーツ、ダンスフロア的高揚感、そして切ないバラードが絶妙に混ざり合い、
リアーナの“ポップ女王”としての地位を確固たるものにしたアルバムでもある。
本作には、
- 世界的ヒット曲 “Only Girl (In the World)”
- Drake を迎えた “What’s My Name?”
- 反骨と情熱がぶつかる “S&M”
など、キャリアを代表するシングルが多数収録されており、
リアーナの“変化と再発明”の才能が強烈に発揮された時期である。
サウンド面では
エレクトロポップの隆盛、ダンスミュージックのメインストリーム化、そしてカリビアンテイストの回帰
が融合しており、2010年前後のポップミュージックの潮流を象徴する作品となっている。
全曲レビュー
1曲目:S&M
攻撃的で快楽的なエレクトロポップ。
“痛みも快楽も等価の刺激”として描く大胆なテーマが、リアーナの反骨精神を象徴する。
キャリア屈指のエネルギッシュなオープニング。
2曲目:What’s My Name? (feat. Drake)
柔らかなR&Bとカリビアンビートが溶け合う名曲。
ドレイクとの相性が抜群で、恋の揺れを都会的に描き出す。
3曲目:Cheers (Drink to That)
Avril Lavigne“I’m With You”を巧みにサンプリングしたパーティーアンセム。
肩の力が抜けた祝祭感があり、週末のムードを完璧に表現している。
4曲目:Fading
失った恋への静かな痛みを描いたバラード。
華やかな前後の曲の中で、しっとりとした陰影が美しい。
5曲目:Only Girl (In the World)
本作最大のヒットにして、リアーナの代表曲。
壮大なサビが一気に開けるEDM〜ダンスポップの決定版で、
リアーナの強い存在感とエモーションが爆発する。
6曲目:California King Bed
アコースティックギターを基調にしたパワーバラード。
“同じベッドにいても心は遠い”という痛みが鋭く胸を突く。
7曲目:Man Down
レゲエ色が最も濃く表れる1曲。
犯罪をテーマにした重い内容をカリビアン・リズムに乗せるという対比が印象的。
リアーナのルーツと社会性が一度に表れる重要曲。
8曲目:Raining Men (feat. Nicki Minaj)
ハイテンションなクラブ向けトラック。
ニッキーの高速ラップが圧巻で、ポップとヒップホップの融合が楽しい。
9曲目:Complicated
シンセが跳ねるエレクトロポップ。
恋愛の複雑さをタイトルどおり軽快に描く。
10曲目:Skin
セクシュアルなムードが全開のミッドテンポ曲。
官能的で、アルバムの中でも大人びた存在感を放つ。
11曲目:Love the Way You Lie (Part II) (feat. Eminem)
エミネムの名曲“Love the Way You Lie”の続編。
今回はリアーナ視点で語られ、より繊細で感情的な深みが強調されている。
総評
『Loud』は、
“リアーナが世界のトップポップスターとして本領を発揮した瞬間”
を象徴する作品である。
その特徴は、
- ダンスミュージックの高揚感を最大限に活かしたプロダクション
- カリビアンルーツの再解釈
- バラードでの高い表現力
- ジャンルを自在に横断する柔軟さ
- 明るさと強さが同居するアーティスト像
にある。
『Rated R』で見せた影のリアーナが、
本作では 色彩豊かな光へと反転 し、
世界的なアイコンとしての存在感を確立した。
エレクトロポップ〜EDMが世界を席巻した2010年代初頭の中で、
本作はその潮流の中心にいたアーティストとしての実力を証明する。
特に “Only Girl (In the World)” は、
リアーナ史だけでなく 2010年代ポップ全体の象徴曲 といえるほどのインパクトを持つ。
華やかさ、情熱、切なさ、個性。
その全てを揺るぎなく提示した、リアーナのキャリアでも随一の完成度を誇るアルバムである。
おすすめアルバム(5枚)
- Rihanna / Rated R(2009)
闇と怒りを描いた前作。対比で本作の明るさが際立つ。 - Rihanna / Talk That Talk(2011)
本作の延長線上にあるEDM〜ダンス路線。 - Katy Perry / Teenage Dream(2010)
同時期ポップの明るさと力強さを共有する名作。 - Beyoncé / 4(2011)
バラードとパワフルなサウンドの両立という点で比較に最適。 - Nicki Minaj / Pink Friday(2010)
“Raining Men”つながりでも相性が良く、2010年代ポップの中心像を理解できる。
歌詞の深読みと文化的背景
『Loud』の歌詞は、
- 自立
- 情熱
- 破滅的な恋
- セクシュアリティ
- 自己肯定
といったテーマが軸になっている。
特に “S&M” や “Skin” は、
当時のポップではまだ珍しかった“セクシャルな主体性”を真正面から描き、
女性アーティストの表現の幅を広げたと評価される。
また、2010年はEDMが世界的に爆発し始めた年であり、
本作のサウンドはその波を先取りしつつ、
リアーナのカリブ的ルーツをポップに融合させることに成功した。
これにより、”国境を越えるポップアイコン”としてのリアーナ像が世界的に定着した。
引用
- アルバム基本情報(2010年発表)
- 公開されているトラックリスト
- 2010年前後のポップ/EDM潮流の一般的文脈



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