1. 歌詞の概要
“Layla” は、イギリスのギタリスト Eric Clapton（エリック・クラプトン）が率いたバンド Derek and the Dominos によって1970年に発表された楽曲で、アルバム Layla and Other Assorted Love Songs に収録されています。ロック史上最も有名なラブソングの一つであり、クラプトンのキャリアを象徴する代表曲でもあります。
この曲は、クラプトンが親友である George Harrison（ジョージ・ハリスン／The Beatles）の妻 Pattie Boyd（パティ・ボイド）への秘めた恋心を歌ったものであり、彼の実体験に基づいた非常に個人的な楽曲です。激情的なギターリフと切迫した歌詞が、叶わぬ愛への苦悩と絶望を強烈に表現しています。
2. 歌詞のバックグラウンド
この曲の背景には、クラプトンの 「禁じられた恋」 が大きく関係しています。1960年代後半、クラプトンはジョージ・ハリスンの妻であるパティ・ボイドに恋をしていました。しかし、彼女は既婚者であり、クラプトンの想いは報われないままでした。
この曲のタイトル “Layla” は、ペルシャの詩人 ニザーミー の叙事詩 「ライラとマジュヌーン」 に由来しています。この物語は、身分違いの恋に苦しみ狂気に陥る青年の悲劇を描いたものであり、クラプトンは自身の状況と重ね合わせて、この名前を曲のタイトルに採用しました。
当時、クラプトンはこの叶わぬ恋に絶望し、ドラッグとアルコールに依存するようになっていました。その激情がこの曲には込められており、特にイントロの激しいギターリフと叫ぶようなボーカルは、彼の心の叫びそのものです。
3. 歌詞の考察と和訳
“Layla” の歌詞は、強い愛の衝動と、それが報われないことへの苦しみがストレートに表現されています。以下、一部の歌詞の意訳を紹介します。
「Layla, you got me on my knees.」
（ライラ、君の前でひざまずいているよ）
→ クラプトンの絶望的な愛の訴え。彼女を想うあまり、完全に自分を見失っている。
「I’m begging, darling please.」
（お願いだから、頼むよ）
→ 叶わぬ恋と知りつつも、どうしても諦められない気持ちが表れている。
「Tried to give you consolation when your old man had let you down.」
（君の夫に傷つけられたとき、僕は慰めようとしたんだ）
→ ここで「君の夫」とはジョージ・ハリスンを指していると考えられる。クラプトンは彼女を救いたかったが、彼女はすぐには応じなかった。
この曲の歌詞全体が、クラプトンの激しい恋心とそれが成就しない苦しみをダイレクトに描いており、彼の感情の深さを伝えています。
4. この曲が好きな人におすすめの曲
- “Bell Bottom Blues” by Derek and the Dominos
Layla と同じアルバムに収録されており、クラプトンの失恋の痛みが詰まった楽曲。 - “Something” by The Beatles
ジョージ・ハリスンがパティ・ボイドに向けて書いたラブソング。Layla との因縁を感じさせる。 - “Tears in Heaven” by Eric Clapton
こちらはクラプトンが亡き息子に捧げた楽曲だが、感情の込め方が Layla に通じるものがある。 - “Wild Horses” by The Rolling Stones
抑えきれない愛と喪失感を描いた名バラード。 - “While My Guitar Gently Weeps” by The Beatles
ジョージ・ハリスン作の楽曲で、ギターの叙情的な響きが Layla に似た哀愁を持つ。
5. “Layla” の影響と評価
“Layla” は、ロック史における最も象徴的な楽曲の一つであり、特にそのギターリフは伝説的なものとなっています。クラプトンは、この曲のレコーディングに際して、Duane Allman（デュアン・オールマン／オールマン・ブラザーズ・バンド）と共演し、彼のスライドギターによって楽曲のドラマ性がさらに増しました。
曲は二部構成になっており、前半の激しいギターリフと切迫したボーカルから一転し、後半ではピアノによる美しいインストゥルメンタルパートが展開されます。この後半部分のピアノは、バンドのドラマー Jim Gordon（ジム・ゴードン）が作曲したもので、まるで恋の激情が静かに燃え尽きていくような感覚を与えます。
リリース当初、シングルとしてはそこまで大きな成功を収めませんでしたが、1972年の再リリース後にヒットし、後にクラプトンの代表曲として広く認知されるようになりました。 さらに、クラプトンは1992年にMTVアンプラグドでアコースティックバージョンの Layla を披露し、これが再び大ヒット。オリジナルとは異なる穏やかなアレンジが施され、新たな魅力を持つバージョンとして評価されました。
また、クラプトンはその後、パティ・ボイドと結婚し（1979年）、この曲に込めた想いを成就させましたが、二人の結婚生活は1988年に終わりを迎えました。
6. まとめ
“Layla” は、エリック・クラプトンの実体験に基づいた、ロック史上最も情熱的なラブソングの一つ です。激しいギターリフ、切実な歌詞、そしてピアノの余韻が、恋愛の狂おしさと哀愁を完璧に表現しています。クラプトンの人生そのものが詰まったこの楽曲は、今なお多くのファンに愛され続けており、ロックの歴史において不朽の名作として語り継がれています。
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