
発売日: 2019年6月21日
ジャンル: オルタナティブ・ポップ、ディスコ、エレクトロポップ
- 「失恋のためのダンスミュージック」——Mark Ronsonの最もパーソナルな作品
- 全曲レビュー
- 1. Late Night Prelude
- 2. Late Night Feelings (feat. Lykke Li)
- 3. Find U Again (feat. Camila Cabello)
- 4. Pieces of Us (feat. King Princess)
- 5. Knock Knock Knock (feat. YEBBA)
- 6. Don’t Leave Me Lonely (feat. YEBBA)
- 7. When U Went Away (feat. YEBBA)
- 8. Truth (feat. Alicia Keys & The Last Artful, Dodgr)
- 9. Nothing Breaks Like a Heart (feat. Miley Cyrus)
- 10. True Blue (feat. Angel Olsen)
- 11. Why Hide (feat. Diana Gordon)
- 12. 2 AM (feat. Lykke Li)
- 13. Spinning (feat. Ilsey)
- 総評
- おすすめアルバム
「失恋のためのダンスミュージック」——Mark Ronsonの最もパーソナルな作品
2019年にリリースされたLate Night Feelingsは、Mark Ronsonがこれまでのファンクやヒップホップ志向とは異なる、より感情的で洗練されたエレクトロ・ディスコサウンドを追求したアルバムである。本作は「失恋のためのダンスミュージック」をコンセプトに掲げ、メランコリックなムードとグルーヴィーなリズムが共存するユニークな作品となっている。
本作には、Miley Cyrus、Camila Cabello、Lykke Li、Alicia Keys、King Princessといった多彩な女性アーティストがボーカルを担当し、女性の視点からの恋愛や喪失をテーマにした楽曲が特徴。プロダクションは、70年代ディスコや80年代シンセポップの影響を受けつつ、現代的なサウンドデザインが施されている。
前作Uptown Special(2015年)のファンク色の強いダンスミュージックとは異なり、本作はより内省的で感情的な楽曲が中心となっており、Ronsonのキャリアの中でも最もパーソナルな作品として位置づけられる。
全曲レビュー
1. Late Night Prelude
アンビエントなシンセとピアノが織りなす、アルバム全体の雰囲気を提示する序章的なインストゥルメンタル。夜の静寂とセンチメンタルな空気を演出する。
2. Late Night Feelings (feat. Lykke Li)
アルバムのタイトル曲であり、Lykke Liをフィーチャーした楽曲。メランコリックなメロディとレトロなディスコ・ビートが融合し、ノスタルジックかつダンサブルな雰囲気を生み出している。Lykke Liの儚げなボーカルが、楽曲の持つ切ないテーマをさらに引き立てる。
3. Find U Again (feat. Camila Cabello)
Camila Cabelloのエモーショナルなボーカルが際立つポップナンバー。80年代のシンセポップと現代のR&Bの要素をミックスした、夢幻的なサウンドが特徴的。RonsonのプロダクションがCabelloのヴォーカルの繊細さを際立たせている。
4. Pieces of Us (feat. King Princess)
King Princessをフィーチャーした楽曲で、エレクトロとR&Bの要素が融合した感傷的なバラード。過去の恋愛の断片を振り返るような歌詞と、穏やかなビートが心に響く。
5. Knock Knock Knock (feat. YEBBA)
YEBBAのソウルフルな歌声が印象的なトラック。ゴスペルの影響を感じさせるコーラスとシンプルなビートが、彼女の力強いボーカルを際立たせている。
6. Don’t Leave Me Lonely (feat. YEBBA)
ピアノのメロディが美しい、失恋の痛みをテーマにしたエモーショナルなバラード。YEBBAの表現力豊かなボーカルと、Ronsonの洗練されたプロダクションが完璧に調和している。
7. When U Went Away (feat. YEBBA)
YEBBAが再び登場し、感情を込めたシンプルなバラードを披露。内省的な歌詞と控えめなアレンジが、彼女の声の持つ深みを際立たせている。
8. Truth (feat. Alicia Keys & The Last Artful, Dodgr)
Alicia KeysとThe Last Artful, Dodgrを迎えた、R&Bとファンクが融合したトラック。クラシックなソウルの要素を取り入れつつ、現代的なグルーヴが加えられたスタイリッシュな楽曲。
9. Nothing Breaks Like a Heart (feat. Miley Cyrus)
本作のリードシングルで、Miley Cyrusのボーカルをフィーチャー。カントリーポップとエレクトロニックなプロダクションが融合した、ユニークなサウンドが特徴的。失恋の痛みを壮大なスケールで描いた楽曲で、Cyrusの哀愁漂うボーカルが楽曲に深みを与えている。
10. True Blue (feat. Angel Olsen)
Angel Olsenを迎えたシンセポップ・バラード。80年代のニューウェーブサウンドを彷彿とさせるアレンジと、Olsenのドリーミーなボーカルが幻想的な雰囲気を作り出している。
11. Why Hide (feat. Diana Gordon)
Diana Gordonのパワフルな歌声が光るミッドテンポのバラード。切ないメロディとグルーヴィーなリズムが交錯し、アルバム全体のテーマである「失恋の感情」を総括するような楽曲。
12. 2 AM (feat. Lykke Li)
Lykke Liが再び参加し、深夜の静けさを感じさせるエレクトロポップバラードを披露。ミニマルなアレンジとシンプルなビートが、彼女の繊細なボーカルを際立たせる。
13. Spinning (feat. Ilsey)
アルバムのラストを飾る、静かでメランコリックなトラック。アンビエントなサウンドスケープが広がり、アルバム全体を締めくくる儚い余韻を残す。
総評
Late Night Feelingsは、Mark Ronsonのこれまでのダンスミュージックとは一線を画す、感情的で洗練されたアルバムである。「失恋のためのダンスミュージック」というテーマのもと、ディスコ、エレクトロポップ、R&Bを融合させ、切なくもグルーヴィーな作品を生み出した。
Miley Cyrusの「Nothing Breaks Like a Heart」や、Lykke Liの「Late Night Feelings」、Camila Cabelloの「Find U Again」など、ポップスの枠を超えた実験的な楽曲が並び、Ronsonのプロダクションの多様性と音楽的成熟が感じられる。また、全体的に女性アーティストをフィーチャーし、恋愛における女性の視点を強調している点も特徴的。
このアルバムは、クラブで踊るためのファンクミュージックとは異なり、夜に一人で聴きたくなるような、内省的なポップミュージックの傑作である。
おすすめアルバム
- Robyn – Honey (2018)
- メランコリックなダンスミュージックの最高傑作。
- Tame Impala – Currents (2015)
- Kevin Parkerが関与したエレクトロポップの名盤。
- Lana Del Rey – Norman Fucking Rockwell! (2019)
- シネマティックなサウンドと失恋のテーマが共通する。
- Christine and the Queens – Chris (2018)
- 80年代の影響を受けたシンセポップとR&Bの融合。
- Dua Lipa – Future Nostalgia (2020)
- ディスコとポップの現代的解釈。
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- ディスコとポップの現代的解釈。
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