アルバムレビュー：Home Again by New Edition

アルバムレビュー

2025.03.13

発売日: 1996年9月10日
ジャンル: R&B、ニュー・ジャック・スウィング、ヒップホップ・ソウル

栄光の再集結――New Editionが6人で築いたR&Bの新たな頂点
全曲レビュー
総評
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栄光の再集結――New Editionが6人で築いたR&Bの新たな頂点

1996年にリリースされた『Home Again』は、1985年にボビー・ブラウンが脱退して以来初めて、オリジナルメンバー6人全員が揃った待望の再結成アルバムである。ボビー・ブラウン、ジョニー・ギルの2人が加わったことで、グループのヴォーカルとスタイルの幅がさらに広がり、ニュー・ジャック・スウィングと90年代のヒップホップ・ソウルが融合した、洗練されたR&Bアルバムとなった。

プロデューサー陣には、ジャム＆ルイス、Sean “Puffy” Combs（現Diddy）、Jermaine Dupri、Babyfaceといった90年代R&Bのトッププロデューサーが参加し、当時の最先端のサウンドを導入。全米アルバムチャート1位を獲得し、シングル「Hit Me Off」「I’m Still in Love with You」は大ヒットを記録した。

しかし、ツアー中にボビー・ブラウンがグループを去るなど、内部の対立が再燃し、結果的にNew Editionとしての活動は一時停止。アルバムの成功とは裏腹に、グループの未来に新たな試練が訪れることとなった。

全曲レビュー

1. Oh, Yeah, It Feels So Good

再結成の喜びを表現したかのような、アップビートでグルーヴィーなオープニングトラック。6人のヴォーカルが交互に登場し、彼らのハーモニーが健在であることを示す。

2. Hit Me Off

アルバムのリードシングルで、90年代のヒップホップ・ソウルの影響が色濃い楽曲。Puffyのプロダクションを思わせるようなサウンドが特徴的で、ファンキーなビートとラップパートが加わり、New Editionの進化を感じさせる一曲。

3. You Don’t Have to Worry

ジャム＆ルイスによる洗練されたR&Bバラード。スムーズなハーモニーとジョニー・ギルのソウルフルなヴォーカルが光る。

4. Tighten It Up

Jermaine Dupriがプロデュースしたヒップホップ要素の強いトラック。ファンキーなベースラインと軽快なフローが心地よい。

5. Shop Around

60年代のクラシック曲をリメイクし、現代風のR&Bサウンドに仕上げた楽曲。遊び心のあるアレンジが特徴的。

6. Hear Me Out

シリアスなテーマを持つ、スローテンポの楽曲。メンバーそれぞれのヴォーカルの個性が際立ち、エモーショナルな仕上がりとなっている。

7. Something About You

滑らかなR&Bバラード。90年代の大人向けのスロージャムを思わせるサウンドで、落ち着いた雰囲気が漂う。

8. Try Again

ベイビーフェイスがプロデュースした、感動的なバラード。New Editionの成熟した表現力が光り、シンプルなメロディが美しい。

9. How Do You Like Your Love Served

グルーヴ感のあるミッドテンポの楽曲。都会的なサウンドが心地よく、メンバーの軽やかなヴォーカルが映える。

10. One More Day

アルバムの締めくくりにふさわしい、エモーショナルなバラード。離れ離れになった恋人との再会を願う内容で、グループの再結成とも重なるテーマを持つ。

総評

『Home Again』は、New Editionが90年代のR&Bシーンに順応しながらも、グループの本質を失わずに進化した作品である。ニュー・ジャック・スウィングのリズムを残しながらも、当時流行していたヒップホップ・ソウルやスムーズなR&Bサウンドを取り入れ、モダンなアプローチを展開している。

6人が揃ったことで、ボビー・ブラウンのワイルドなスタイル、ジョニー・ギルのソウルフルなボーカル、ラルフ・トレスヴァントのスムーズな歌声、Bell Biv DeVoeのクールなハーモニーが見事に融合し、グループとしての可能性を最大限に引き出している。しかし、内部の不和によってツアーは混乱し、結果的に本作は6人での唯一のアルバムとなった。

商業的には成功を収めたものの、New Editionのメンバー間の複雑な関係を象徴する作品でもある。