- 発売日: 2008年6月9日
- ジャンル: ロック、ガレージロック、パンクロック
Here We Standは、The Fratellisの2枚目のスタジオアルバムで、デビュー作Costello Musicのポップでパーティー感溢れるスタイルからやや離れ、より成熟した音楽性と内省的なテーマに焦点を当てた作品である。サウンド面では、彼ら特有のキャッチーでダンサブルな要素に加えて、クラシックロックやブルースの影響も感じられ、バンドの幅広い音楽性が楽しめる。より落ち着きのあるトーンや、リフ重視のアプローチが目立ち、ロックバンドとしての深みが増している。
本作では、リードシングル「Mistress Mabel」や「Look Out Sunshine!」などが注目を集め、若さや無鉄砲さをテーマにしつつも、少し大人びた視点で描かれている。The Fratellisは自らの音楽性を新たな領域に広げ、パーティーソングのバンドというイメージから脱却を図っている。
トラック解説
1. My Friend John
アルバムの幕開けを飾るトラックで、アップテンポのビートとエネルギッシュなギターが特徴。シンプルで力強いリフと、軽快なドラムが曲に勢いを与えている。友情と裏切りをテーマにした歌詞が印象的で、バンドのロックンロールのエッセンスが詰まった一曲。
2. A Heady Tale
メロディアスでドラマチックなトラックで、The Fratellisの新しい音楽的方向性が感じられる。物語性のある歌詞が曲の深みを増しており、少しレトロなロックサウンドが特徴的。ブリッジ部分のコーラスが印象的で、バンドの成長が伺える。
3. Shameless
明るくポップなビートが魅力のナンバーで、フックの効いたリフが耳に残る一曲。ジョン・フラテリスのボーカルが勢いよく響き、軽快なメロディが楽しいムードを作り出している。テーマには若干の皮肉が込められており、エネルギッシュでポップな一面が引き立つ。
4. Look Out Sunshine!
バンドの一貫した明るさとポジティブさを感じさせるトラックで、元気づけられるような歌詞が印象的。シングルとしても人気が高く、ジョンのボーカルが情感豊かに響く。カントリーやブルースの影響が感じられ、温かみのあるメロディがリスナーを引き込む。
5. Stragglers Moon
少しダークでメランコリックなトラックで、The Fratellisにとって新しい一面を感じさせる。静かなイントロから徐々に盛り上がり、終盤にかけてエネルギーが爆発する構成がドラマチック。ブルースとロックが融合したサウンドが独特の雰囲気を醸し出している。
6. Mistress Mabel
アルバムのリードシングルで、キャッチーなメロディとリズムが特徴的な一曲。恋愛をテーマにした歌詞で、パーティー感覚が漂いながらも、落ち着きのあるアレンジが加わっている。親しみやすいギターリフとジョンのボーカルが絶妙に絡み合い、ライブでも人気の曲。
7. Jesus Stole My Baby
ややレトロなロックの影響が強く、カントリー調の要素が取り入れられているトラック。切ないメロディとジョンのエモーショナルな歌詞が、別れと失望を表現しており、アルバム全体のムードに深みを与えている。
8. Baby Doll
軽快なビートとノスタルジックなメロディが融合したポップナンバーで、ジョンの明るいボーカルが冴える。若々しいエネルギーとシンプルなリフが心地よく、リスナーを楽しませるようなパーティー感が表現されている。
9. Tell Me a Lie
アップテンポで力強いロックナンバーで、ジョンの歌詞には自己反省と疑念が込められている。ギターとリズムが生み出す一体感が心地よく、The Fratellisのエネルギッシュな演奏が楽しめる一曲。
10. Acid Jazz Singer
フックの効いたメロディとジョンのユーモラスな歌詞が特徴的。軽快なリズムと独特のギタープレイが聴きどころで、バンドの遊び心が垣間見える楽曲。少しファンキーでカジュアルな雰囲気が、アルバム全体に楽しいアクセントを加えている。
11. Lupe Brown
ロマンチックで情感豊かなトラックで、恋愛における喜びと悲しみを歌っている。ジョンのボーカルが切なくも力強く響き、ブルース調のメロディが印象的。アルバムの中でも特にエモーショナルな一曲。
12. Milk and Money
アルバムのエンディングを飾るバラードで、穏やかでメランコリックな雰囲気が漂う。アコースティックギターが曲に温かみを加え、アルバムのテーマにふさわしい、心に沁みるエンディングを提供する。
アルバム総評
Here We Standは、The Fratellisのサウンドがより成熟し、幅広い音楽性を取り入れた作品である。デビューアルバムの陽気で無鉄砲なパーティーサウンドから一歩進み、ブルースやクラシックロックの影響を加えたことで、バンドとしての奥行きが感じられる。キャッチーなシングル「Mistress Mabel」や「Look Out Sunshine!」はもちろん、アルバム全体を通してシンプルながらも心に響く楽曲が揃っており、The Fratellisが新たな成長を遂げたことがよくわかる。パーティーソングだけでなく、落ち着きや情感をもたらす楽曲も楽しめる、充実した内容のアルバムである。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Employment by Kaiser Chiefs
ポップでエネルギッシュなロックサウンドが特徴。親しみやすくキャッチーな曲が揃っており、Here We Standのファンにも響く内容。 - Favourite Worst Nightmare by Arctic Monkeys
刺激的でエッジの効いたギターロックアルバム。勢いと成熟が共存しており、The Fratellisのファンにはおすすめ。 - Only by the Night by Kings of Leon
落ち着いたロックサウンドと深みのある歌詞が楽しめる一枚。ブルースやクラシックロックの影響が感じられ、Here We Standのファンにぴったり。 - Hot Fuss by The Killers
キャッチーなロックとエレクトロの融合が楽しめる作品で、エネルギッシュでありながらもポップなアルバムが好きな人におすすめ。 - Magic and Medicine by The Coral
レトロでノスタルジックなサウンドが特徴の一枚。ブルースやフォークの影響があり、Here We Standと同様に成熟した雰囲気が漂う。
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