発売日: 1968年1月22日
ジャンル: サイケデリックロック、ハードロック
Iron Butterflyのデビューアルバム『Heavy』は、彼らの後の成功を予感させるスタートとなる作品であり、サイケデリックロックとハードロックを結びつける重要な一枚である。このアルバムでは、彼らの象徴ともいえるオルガン主導のサウンドや、ブルースに根ざしたギターリフ、そしてダークで幻想的な雰囲気がすでに確立されている。
1960年代後半、サイケデリックムーブメントがピークに達していた時代にリリースされた『Heavy』は、キャッチーなメロディーとサイケデリックなエフェクトを駆使しながらも、後のハードロックやヘヴィメタルの原型となるヘヴィなサウンドが特徴だ。Doug Ingleの力強いボーカルと、Danny Weisのギターリフがアルバム全体を支えており、サイケデリックな試みとロックのダイナミズムがバランスよく融合している。
トラック解説
1. Possession
アルバムの冒頭を飾る楽曲で、ヘヴィなギターリフとオルガンのリフレインが特徴。ダークで神秘的な雰囲気を持ちながらも、キャッチーなメロディーが耳に残る。
2. Unconscious Power
アップテンポでエネルギッシュな楽曲。ブルースに影響を受けたギターと軽快なリズムが印象的で、ライブでも盛り上がりそうな一曲。
3. Get Out of My Life, Woman
ブルースの影響を色濃く受けたカバー曲で、サイケデリックなアレンジが加わっている。Doug Ingleの感情的なボーカルとリズムセクションが見事に調和している。
4. Gentle as It May Seem
明るいトーンとメロウなメロディーが特徴の楽曲。オルガンが控えめに彩りを加え、アルバムの中で異色の柔らかい雰囲気を持つ。
5. You Can’t Win
ミステリアスなイントロから始まり、重厚なギターリフが曲を牽引する。歌詞には不安感や怒りが込められており、Iron Butterflyのダークな側面が表れている。
6. So-Lo
オルガンとギターの掛け合いが際立つインストゥルメンタルトラック。短いながらも、バンドの演奏力が光る一曲である。
7. Look for the Sun
爽やかなメロディーラインが印象的な楽曲。アルバム全体のダークなトーンの中で、一瞬の光を感じさせる。
8. Fields of Sun
サイケデリックな雰囲気を強調した楽曲。オルガンの浮遊感とギターのメロディーが、幻想的な世界観を作り上げている。
9. Stamped Ideas
重厚なビートと力強いボーカルが特徴。バンドのダイナミックなサウンドが際立つ楽曲で、後のハードロックの原型を感じさせる。
10. Iron Butterfly Theme
アルバムの締めくくりを飾るインストゥルメンタル。バンド名を冠したこのトラックは、彼らのサウンドを象徴する一曲であり、オルガンとギターの掛け合いが壮大なフィナーレを演出している。
アルバム総評
『Heavy』は、Iron Butterflyの基盤を築いたアルバムであり、サイケデリックロックとハードロックの架け橋となる作品である。このアルバムには、彼らの後の名作『In-A-Gadda-Da-Vida』で確立されたスタイルの萌芽が見られると同時に、彼らのエネルギーと創造性が存分に発揮されている。特に「Possession」や「Iron Butterfly Theme」は、バンドのダイナミックな演奏とヘヴィなサウンドを象徴する楽曲として際立つ。サイケデリックロックのファンや、ハードロックのルーツを探るリスナーにとって必聴の一枚だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Disraeli Gears by Cream
ブルースを基調としながらサイケデリックな要素を加えた作品で、Iron Butterflyファンにおすすめ。
Are You Experienced by The Jimi Hendrix Experience
ギターの革新性とサイケデリックなサウンドが、『Heavy』のエネルギーと共鳴する。
Surrealistic Pillow by Jefferson Airplane
美しいメロディーとサイケデリックな雰囲気が、『Heavy』のファンに親しみやすい。
Truth by Jeff Beck
ブルースとハードロックの融合が、『Heavy』のサウンドに通じる。
Led Zeppelin by Led Zeppelin
Iron Butterflyのヘヴィなサウンドが好きなリスナーには、このハードロックの原点的なアルバムが必聴。
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