発売日: 1965年11月
ジャンル: ブルースロック、ガレージロック、サイケデリックロック
『Having a Rave Up with The Yardbirds』は、The Yardbirdsにとって重要なスタジオアルバムであり、エリック・クラプトン時代のブルース志向と、後任のジェフ・ベックがもたらしたサイケデリックで実験的なサウンドが融合した作品だ。このアルバムは、The Yardbirdsの進化を示すもので、クラプトンのギターが中心となるブルースカバーと、ベックが主導した独自のロックサウンドが共存している。アルバムの前半にはスタジオ録音が、後半にはライブパフォーマンスが収録されており、バンドの技術的な多様性とエネルギーを感じさせる構成となっている。
特に「Heart Full of Soul」や「Evil Hearted You」といったヒット曲は、ベックの革新的なギターワークが際立ち、サイケデリックな要素とロックの融合を先取りしたサウンドで、当時の音楽シーンに大きな影響を与えた。
各曲ごとの解説:
- You’re a Better Man Than I
アルバムのオープニングを飾るこの曲は、ジェフ・ベックのファズギターと、反権力的なテーマを持つ歌詞が特徴。ベックのサイケデリックで実験的なギターワークが、The Yardbirdsの新しい音楽的方向性を示している。 - Evil Hearted You
グラハム・グールドマンによるソングライティングで、ベックのギターが哀愁漂うメロディを引き立てる。この曲は、シタール風のギターサウンドを使い、異国情緒を感じさせるサイケデリックな雰囲気を持っている。 - I’m a Man
ボ・ディドリーのカバーで、エネルギッシュなリズムとエリック・クラプトン時代のブルース志向が融合した一曲。バンドのパワフルな演奏が魅力で、ベースラインとリズムがシンプルながらもダイナミック。 - Still I’m Sad
グレゴリオ聖歌にインスパイアされた、暗くメランコリックなトラック。ボーカルのハーモニーとベックのサイケデリックなギタープレイが、重厚な雰囲気を作り出している。ロックとクラシカルな要素が融合したユニークな曲だ。 - Heart Full of Soul
このアルバムの代表曲で、ジェフ・ベックのファズギターとエキゾチックなサウンドが特徴的。シタールを思わせるギターリフと、ソウルフルなボーカルが完璧に調和しており、The Yardbirdsの新しい音楽的な方向性を示す一曲だ。 - The Train Kept A-Rollin’
ジョニー・バーネットの曲をカバーしたナンバーで、バンドのライブ定番曲でもある。ジェフ・ベックの荒々しいギタープレイが曲を支え、スピード感とエネルギーが満ち溢れるパフォーマンスとなっている。ロックンロールのスピリットを感じる一曲。 - Smokestack Lightning
ハウリン・ウルフのブルースクラシックのカバーで、クラプトン時代のライブパフォーマンスが収録されている。長尺のジャムセッションスタイルで、クラプトンのブルースギターが中心となる。ブルースとロックの融合が見事に表現された曲だ。 - Respectable
テンポの速いロックンロールナンバーで、クラプトンのブルース志向を感じさせる一曲。シンプルでエネルギッシュなギターリフとドラムがリードし、ライブ感溢れる演奏が楽しめる。 - I’m a Man (Live)
アルバムの2回目の「I’m a Man」で、これはライブバージョン。観客を沸かせる即興的なジャムセッションが展開され、エリック・クラプトンのブルースギターが前面に出ている。バンドの即興演奏の力強さが際立つトラック。 - Here ‘Tis
ライブアルバムの締めくくりを飾るこの曲は、エネルギッシュでジャムセッション的なパフォーマンスが特徴。クラプトンのギターソロが見事で、バンドの即興演奏が最大限に発揮された一曲だ。
アルバム総評:
『Having a Rave Up with The Yardbirds』は、The Yardbirdsの音楽的な変遷を記録した重要なアルバムであり、クラプトン時代のブルース志向とベックによるサイケデリックな革新が見事に融合している。前半のスタジオ録音ではベックの実験的なギターサウンドが際立ち、後半のライブトラックではクラプトンのブルースギターが存分に楽しめる。特に「Heart Full of Soul」や「Still I’m Sad」は、サイケデリックロックの先駆的な作品として評価され、ロックシーンに大きな影響を与えた。ブルース、ロック、サイケデリックの要素が融合したこのアルバムは、60年代のロックの進化を象徴する一枚と言える。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Truth by Jeff Beck
ジェフ・ベックがThe Yardbirds脱退後にリリースしたソロアルバム。ブルースロックとサイケデリックロックの融合が際立つ名盤で、The Yardbirdsのサウンドを好むリスナーにおすすめ。 - Blues Breakers with Eric Clapton by John Mayall & the Bluesbreakers
クラプトンがThe Yardbirdsを去った後に参加したJohn Mayallのバンドで、彼のブルースギタースタイルを堪能できる作品。『Having a Rave Up』のクラプトン時代を追体験したい人に最適。 - Are You Experienced by The Jimi Hendrix Experience
ジミ・ヘンドリックスのデビューアルバムで、エクスペリメンタルなギターワークとサイケデリックサウンドが際立つ。ジェフ・ベックの革新的なギターサウンドに感動したリスナーにおすすめ。 - The Rolling Stones (England’s Newest Hit Makers) by The Rolling Stones
初期のローリング・ストーンズはブルースとロックンロールを基盤にしており、The Yardbirdsのブルースカバーと共通点が多い。60年代のブルースロックファンにぴったり。 - Fresh Cream by Cream
エリック・クラプトンが後に結成したスーパーグループCreamのデビューアルバム。ブルースとハードロックの融合が楽しめる一枚で、The Yardbirds時代のクラプトンファンにおすすめ。
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