発売日: 1964年12月
ジャンル: ブルースロック、ロックンロール、ガレージロック
『Five Live Yardbirds』は、The Yardbirdsのライブアルバムであり、1960年代のロックシーンを象徴する作品だ。ブルースをベースにしながらも、エネルギッシュなロックンロールと即興的なジャムセッションが特徴で、バンドのライブパフォーマンスの実力を存分に発揮している。このアルバムは、若かりしエリック・クラプトンがギタリストとして参加していた時期のもので、彼の鋭いブルースギターが楽曲を力強く支えている。録音されたライブは、1964年3月にロンドンのマーキー・クラブで行われたもので、観客を沸かせるパフォーマンスと情熱的な演奏が収められている。特にブルースのカバーが多く、The Yardbirdsが当時のイギリスのブルースリバイバルを牽引したことがよく分かる一枚だ。
各曲ごとの解説:
- Too Much Monkey Business
チャック・ベリーの曲をカバーしたオープニングトラックで、ロックンロールのエネルギーが溢れるパフォーマンス。エリック・クラプトンのギターワークがキレを見せ、バンド全体の緊張感とダイナミズムが際立っている。ブルースとロックンロールが融合した、観客を一気に引き込む一曲。 - I Got Love If You Want It
スリム・ハーポのブルースクラシックをカバーした曲で、エリック・クラプトンのスライドギターとキース・レルフのブルースハーモニカが印象的。テンポが落ち着いているものの、バンドの確かな演奏力が光るトラックだ。観客の心にブルースの深みを響かせる。 - Smokestack Lightning
ハウリン・ウルフの名曲のカバーで、アルバムの中でも特に長尺のブルースジャムが繰り広げられる。エリック・クラプトンのギターソロとキース・レルフの独特なボーカルが、原曲の持つダークなムードを引き立てている。バンドの即興的なアプローチが存分に楽しめる一曲だ。 - Good Morning Little Schoolgirl
サニー・ボーイ・ウィリアムソンのブルースをカバーしたナンバーで、スウィング感のあるリズムが特徴。キース・レルフのブルースハープとクラプトンのギターが絶妙に絡み合い、若々しいエネルギーが感じられる。Yardbirdsらしい生々しいブルースロックが楽しめる。 - Respectable
ボイド・ベネットの「My Boy Flat Top」をベースにしたロックナンバーで、スピーディーなテンポとシンプルなビートが際立つ。バンドのロックンロール的なアプローチが光り、ブルースからの影響を感じさせつつも、ダンサブルな要素が強い曲だ。 - Five Long Years
エディ・ボイドのブルースクラシックをカバーしたこのトラックでは、クラプトンのギタープレイが特に輝いている。長尺のギターソロが中心となっており、バンドのリズムセクションも安定感がある。ブルースの深い悲しみとエネルギーを表現した、見事な演奏が特徴的だ。 - Pretty Girl
リズミカルで明るいロックンロール調のナンバー。クラプトンの軽やかなギターと、シンプルで楽しいメロディが印象的。ライブの観客も盛り上がるような一曲で、アルバム全体に軽快なリズムを与えている。 - Louise
ジョン・リー・フッカーのカバーで、The Yardbirds流のブルースロックが炸裂している。シンプルなブルースのフレーズが繰り返され、クラプトンのギターとレルフのボーカルが楽曲に深みを与えている。 - I’m a Man
ボ・ディドリーのカバーで、アルバムを締めくくるダイナミックなナンバー。パワフルなリズムとギターリフが強烈な印象を残し、ライブのエネルギーをそのまま封じ込めたような迫力ある演奏が楽しめる。クラプトンのギターソロがこのトラックをさらに盛り上げている。
アルバム総評:
『Five Live Yardbirds』は、The Yardbirdsの若き日のエネルギッシュなライブパフォーマンスを捉えた重要な作品であり、特にエリック・クラプトンのブルースギターが光るアルバムだ。彼らのブルースカバーには即興的なジャムセッションの要素が強く、ロックバンドとしての力量を発揮している。ハウリン・ウルフやボ・ディドリーといったブルースレジェンドたちのカバーを通じて、The Yardbirdsがブルースを基盤にしながらも独自のロックサウンドを確立していったことがよく分かる。特に「Smokestack Lightning」や「I’m a Man」などの楽曲は、彼らの持つブルースとロックの融合を象徴しており、後にクラプトンがギター界の巨匠としての地位を確立する布石とも言える。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Blues Breakers with Eric Clapton by John Mayall & the Bluesbreakers
エリック・クラプトンがThe Yardbirds脱退後に参加したバンドで、彼のブルースギターが堪能できる名盤。『Five Live Yardbirds』のファンには必聴の一枚。 - Rave Up by The Yardbirds
The Yardbirdsのスタジオアルバムで、エリック・クラプトンの後任であるジェフ・ベックが参加。ブルースとロックの融合がさらに進化したサウンドが楽しめる。 - The Rolling Stones (England’s Newest Hit Makers) by The Rolling Stones
ブルースロックを基盤にした初期ローリング・ストーンズのデビューアルバムで、同じくブルースリバイバルの流れを感じさせる。The Yardbirdsのサウンドと共通する部分が多い。 - Peter Green’s Fleetwood Mac by Fleetwood Mac
ピーター・グリーン率いる初期のFleetwood Macは、ブルースロックを基盤にしており、クラプトンの影響を感じさせるギターワークが楽しめる。 - Live at the Regal by B.B. King
ブルースギターの巨匠B.B.キングのライブアルバムで、The Yardbirdsのライブの即興性やエネルギーに共通するブルースの感動を体験できる。
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