発売日: 2003年4月1日
ジャンル: ガレージロック、ブルースロック、パンクロック
The White Stripesの4作目のアルバムElephantは、ガレージロックの頂点を極めた作品として広く評価されている。このアルバムは、バンドがDIY精神を貫きつつ、より大胆で洗練された音楽的冒険に挑んだ結果として生まれた。ジャック・ホワイトのギターリフ、メグ・ホワイトのシンプルかつ力強いドラム、そしてローファイな録音手法が、荒々しさとエモーションを同時に伝える音楽体験を作り上げている。
グラミー賞を受賞したシングル「Seven Nation Army」をはじめとして、アルバム全体にわたりブルース、ロックンロール、パンクの要素が織り込まれている。本作は、彼らのシンプルなデュオ編成の中でどれだけ豊かな音楽が作れるかを証明する傑作であり、2000年代ロックの象徴的な存在となった。
トラック解説
1. Seven Nation Army
世界的に最も有名なギターリフで幕を開けるアルバムの代表曲。ジャックがベースのように演奏するギターパートと、メグのミニマルなドラムが絶妙に絡み合う。歌詞には名声や批判に対する抵抗が込められ、アンセム的な魅力を持つ。
2. Black Math
攻撃的なギターリフとエネルギッシュなボーカルが特徴のトラック。教育や社会的な圧力への疑問を投げかける歌詞が、直感的なロックサウンドに乗せられている。
3. There’s No Home for You Here
ゴスペル風のボーカルアレンジと激しいギタープレイが際立つ楽曲。繰り返されるフレーズが緊張感を高め、アルバムの中でも特にダイナミックな構成を持つ一曲。
4. I Just Don’t Know What to Do with Myself
ダスティ・スプリングフィールドのカバーで、ジャックの情感豊かなボーカルが新たな命を吹き込む。ギターが次第に盛り上がる構成がドラマチックで、原曲の感傷的なムードをロックに変換している。
5. In the Cold, Cold Night
メグ・ホワイトがボーカルを務めたミッドテンポのバラード。シンプルなアレンジの中で、メグの控えめで愛らしい歌声が楽曲に温かみを与えている。
6. I Want to Be the Boy to Warm Your Mother’s Heart
ジャックがピアノを演奏する叙情的な楽曲。歌詞には切実な愛と不安が描かれ、シンプルな構成がジャックの感情的なボーカルを際立たせている。
7. You’ve Got Her in Your Pocket
アコースティックギターを中心としたトラックで、繊細なメロディと抑えたボーカルが印象的。愛の儚さをテーマにした歌詞が心に響く。
8. Ball and Biscuit
7分超のブルースロック大作で、アルバムのハイライトの一つ。ジャックのギターソロが圧巻で、ブルースの伝統に敬意を表しつつも独自のスタイルを築いている。
9. The Hardest Button to Button
パワフルなギターリフとリズムが楽曲を牽引するシングル曲。家庭や人間関係の摩擦を描いた歌詞が、直感的なロックサウンドとともに迫力を増す。
10. Little Acorns
ユーモラスなナレーションで始まる楽曲。メグの重厚なドラムとジャックのギターが繰り返しのリフで勢いを増していく。自己改善と希望をテーマにした歌詞が印象的。
11. Hypnotize
短くスピーディーなパンクナンバー。攻撃的なギターとメグのドラムが疾走感を生み出し、ライブでの人気曲として知られる。
12. The Air Near My Fingers
軽快なギターリフとリズムが特徴的なトラック。青春時代の甘酸っぱい感情をテーマにしており、ジャックの歌詞には親しみやすさがある。
13. Girl, You Have No Faith in Medicine
アップテンポのロックナンバーで、鋭いギターリフとジャックの挑発的なボーカルが印象的。薬や治療に対する疑念をテーマにした歌詞が個性的だ。
14. Well It’s True That We Love One Another
カントリーテイストのデュエットソングで、ジャック、メグ、そしてホリー・ゴライトリーが参加。アルバムの締めくくりにふさわしいユーモラスで軽やかな一曲。
アルバム総評
Elephantは、The White Stripesの音楽的頂点を示すアルバムであり、ガレージロックリバイバルを象徴する作品として、今なお高く評価されている。「Seven Nation Army」の世界的ヒットだけでなく、「Ball and Biscuit」や「The Hardest Button to Button」など、多彩な楽曲がアルバム全体を引き締めている。ローファイで荒削りなサウンドが、ジャックとメグのシンプルな編成の中で豊かな音楽性を際立たせている。
バンドの持つブルース、ロック、パンクのエッセンスが融合し、シンプルながらも普遍的な力を持つ名盤だ。荒々しさと洗練のバランスが絶妙で、The White Stripesの代表作として語り継がれる理由が詰まっている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
The Black Keys – El Camino
ブルースとガレージロックを融合させた名作で、Elephantのファンにぴったり。
Led Zeppelin – Led Zeppelin II
ヘビーなギターリフとブルースロックの融合が、Elephantと共通する。
Queens of the Stone Age – Songs for the Deaf
攻撃的なギターサウンドとエネルギーに満ちた楽曲が、The White Stripesのダイナミズムを彷彿とさせる。
Pixies – Surfer Rosa
ローファイなプロダクションとエネルギッシュなパフォーマンスが、Elephantと相性が良い。
Jack White – Lazaretto
ジャック・ホワイトのソロ作品で、Elephantのブルースやロックの要素をさらに掘り下げたアルバム。
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