発売日: 1978年3月3日
ジャンル: パンク・ロック、アート・ロック
Easterは、パティ・スミスが1978年にリリースした3作目のアルバムで、彼女の商業的な成功を後押しした作品である。プロデューサーにはブルース・スプリングスティーンとの共作もあるジミー・アイオヴィンを迎え、シンプルでストレートなロックサウンドと、スミスの詩的で情熱的な歌詞が調和したアルバムとなっている。特にシングル「Because the Night」は、スプリングスティーンが曲を共作したこともあり、ラジオヒットとなったことでスミスの名前がさらに広まった。このアルバムでは、彼女の反骨精神や社会的なメッセージも健在で、詩的な感性とロックのエネルギーが融合した傑作である。Easterは、彼女のキャリアを新たな次元へと引き上げ、多くのファンにとって象徴的な作品となっている。
各曲解説
- Till Victory
アルバムの幕開けにふさわしいエネルギッシュなロックナンバーで、希望と闘志が込められている。スミスの力強いボーカルが、戦い続ける精神を表現しており、シンプルながらも力強いリフが印象的。 - Space Monkey
重いベースラインとリズミカルなドラムが特徴の曲で、スミスの詩的で不思議な歌詞が物語性を持たせている。物憂げでミステリアスな雰囲気が漂う一曲。 - Because the Night
スミスとブルース・スプリングスティーンが共作したアルバムの代表曲。愛の情熱と切なさが歌詞に込められており、キャッチーなメロディとスミスの情熱的なボーカルが多くのリスナーに響く名曲。 - Ghost Dance
ネイティブ・アメリカンの文化やスピリチュアルなテーマが取り入れられた曲。リズムが神秘的で、スミスの歌声が祈りを捧げるように響き、異世界的な雰囲気を醸し出している。 - Babelogue
スミスが詩の朗読をするインタールード的なトラック。彼女のエネルギッシュで挑戦的な言葉が詰め込まれており、次の曲「Rock N Roll Nigger」に向けての導入として機能している。 - Rock N Roll Nigger
自由と反逆の精神が爆発する一曲で、スミスの叫びが聴く者に強烈な印象を与える。反骨心とパワフルなロックが融合し、彼女のパンク的なアティチュードが顕著に表れている。 - Privilege (Set Me Free)
映画『特権 (Privilege)』からインスパイアされた曲で、自由を求める強いメッセージが込められている。スミスの情熱的な歌声が、切迫した歌詞と共鳴している。 - We Three
切ないメロディが印象的なバラードで、スミスの柔らかいボーカルが心に響く。友情や愛についての複雑な感情が歌詞に込められており、彼女の内面的な一面が垣間見える。 - 25th Floor
力強いギターリフとスミスの荒々しいボーカルが特徴の曲。自由と解放をテーマにした歌詞が、スミスのエネルギッシュなパフォーマンスと相まって、リスナーを引き込む。 - High on Rebellion
スミスの反逆的な精神が炸裂する一曲で、ポエトリーリーディングのようなスタイルがユニーク。社会や規範への反発がテーマで、スミスの情熱が迸っている。 - Easter
タイトル曲で、アルバムのラストを飾る美しいバラード。復活と再生をテーマにした歌詞が象徴的で、彼女の深い信仰心と希望が感じられる。静かで荘厳なメロディが心に残る一曲。
アルバム総評
Easterは、パティ・スミスが商業的な成功を収めつつも、アーティストとしての個性と反骨精神を維持したアルバムである。シングル「Because the Night」が多くのリスナーに愛され、スミスの名声を確立するきっかけとなったが、その他の楽曲にも彼女の独特の詩的表現と激しいエネルギーが詰まっている。愛と反逆、自由と祈りといったテーマが交錯する中、スミスは彼女ならではの視点でこれらのテーマに向き合っている。ジミー・アイオヴィンのプロデュースにより、音楽的にも洗練されつつ、スミスの持つラフなエネルギーがしっかりと保持された本作は、彼女のキャリアにおける代表作として多くのファンにとって必聴のアルバムである。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Bruce Springsteen – Darkness on the Edge of Town
「Because the Night」の共作者であるスプリングスティーンのアルバム。人間の苦悩や希望を描いた歌詞と力強いサウンドが、スミスのファンにも共鳴する。
Iggy Pop – Lust for Life
パンクとロックの境界を打ち破るエネルギッシュな作品で、スミスと同様に強烈な表現力が特徴。反骨心と自由の精神が感じられる。
Blondie – Parallel Lines
パンクとポップの要素が融合したアルバムで、パティ・スミスと同時期に活躍したブロンディの名盤。キャッチーでありながらも反逆的なエネルギーが楽しめる。
Lou Reed – Transformer
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのルー・リードによるソロアルバムで、シンプルながらも詩的な表現が光る。スミスの詩的なスタイルと共鳴する要素が多い。
Television – Marquee Moon
ニューヨークパンクシーンで活躍したテレヴィジョンの代表作。ギターの絡み合いと鋭いリリックが特徴で、スミスのファンにも深く響く作品だ。
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