発売日: 2016年5月13日
ジャンル: ガレージロック / インディーロック / フォークロック
Twin Peaksの3作目となる「Down in Heaven」は、彼らのこれまでのエネルギッシュなガレージロック路線から一歩踏み出し、よりリラックスしたトーンと温かみのあるフォークロックの要素を取り入れた作品だ。彼らがシカゴを離れ、田舎のコテージでアルバムを録音したという背景が、サウンドにも反映されており、全体的に落ち着きと成熟を感じさせる。
アルバムのテーマは、愛、友情、そして自己発見であり、歌詞には若者の人生の岐路や不安、そして希望が描かれている。アコースティックギターやリラックスしたリズムが際立ち、これまでのローファイで荒々しいエネルギーから一転して、感情的で親密な空気感が特徴だ。
各トラック解説
1. Walk to the One You Love
キャッチーなギターリフと軽快なリズムが特徴のオープニングトラック。愛の選択や複雑さをテーマにした歌詞が、シンプルなメロディに乗せて表現されている。Twin Peaksらしい陽気さを保ちながらも、成熟したサウンドが感じられる。
2. Wanted You
切ないラブソングで、恋愛の後悔と未練を歌った歌詞が印象的。アコースティックギターがメインのアレンジで、感情的なトーンが際立つ。
3. My Boys
友情をテーマにしたアンセミックな一曲。仲間たちとの絆や若者特有の無鉄砲な生活を祝福する内容で、軽快なビートとシンプルな歌詞が共感を呼ぶ。
4. Butterfly
フォークロックの影響を強く感じる楽曲。静かなギターとリラックスしたリズムが、歌詞に描かれる内省的なテーマを引き立てている。
5. You Don’t
ブルージーな要素が加わった楽曲。失恋の痛みを描いた歌詞と、感情的なボーカルが楽曲全体を支えている。ギターソロが印象的だ。
6. Cold Lips
シンプルなアレンジながらも、Twin Peaksらしいユーモアが光る一曲。歌詞には若者の葛藤や恋愛の複雑さが描かれている。
7. Heavenly Showers
アルバムの中でも特に優雅で美しいトラック。ストリングスが楽曲に深みを与え、人生の儚さや愛の希望を描く歌詞が感動を呼ぶ。
8. Keep It Together
リズミカルで陽気なナンバー。愛や友情を通じて自分を支えることの大切さを歌っており、ポジティブなメッセージが込められている。
9. Getting Better
タイトル通り、希望や前進をテーマにした楽曲。ミッドテンポのリズムと親しみやすいメロディが、楽曲を爽やかに仕上げている。
10. Holding Roses
軽快でロマンチックな楽曲。恋愛の駆け引きをテーマにした歌詞が、ユーモラスかつ繊細に描かれている。
11. Lolisa
ノスタルジックでメランコリックなトラック。アコースティックサウンドが歌詞の感情を際立たせ、リスナーに深い余韻を残す。
12. Stain
荒々しいガレージロックのエネルギーが復活した楽曲。これまでのTwin Peaksらしい勢いを感じるナンバーで、アルバムの中で異彩を放つ。
13. Have You Ever?
アルバムのラストを飾るトラック。シンプルで内省的な歌詞とメロディが、感動的な締めくくりを提供している。
アルバム総評
「Down in Heaven」は、Twin Peaksの音楽的な多様性と成熟を示す作品であり、バンドの新たな方向性を探る試みが感じられる一枚だ。これまでの荒々しいエネルギーに加え、アコースティックなサウンドや内省的な歌詞が取り入れられ、より深い感情を掘り下げた内容となっている。フォークやブルースの影響を受けた楽曲は、リラックスしたトーンながらも、青春の喜びと痛みを鮮烈に描き出しており、彼らの音楽が進化していることを感じさせる。「Walk to the One You Love」や「My Boys」など、親しみやすくも感情的なトラックが揃い、ファンにとっても新たな発見となるアルバムだ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Goodbye Terrible Youth by American Wrestlers
インディーロックとフォークの融合が特徴で、「Down in Heaven」と同様に感情的で親しみやすい作品。
Carrie & Lowell by Sufjan Stevens
内省的な歌詞と美しいアコースティックアレンジが、「Down in Heaven」の静謐なトーンに響く。
Never Twice by Nick Waterhouse
ブルースとソウルの要素が際立つ作品で、Twin Peaksのブルージーなサウンドが好きなリスナーにおすすめ。
Father, Son, Holy Ghost by Girls
フォークとガレージロックの融合が特徴で、青春の感情を描いた歌詞が「Down in Heaven」と共通。
Light Upon the Lake by Whitney
同じくシカゴを拠点に活動するバンドによるアルバムで、アコースティックなトーンと感情的な歌詞が特徴。
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