発売日: 2014年5月13日
ジャンル: インディーポップ、ドリームポップ、シンセポップ
『Days of Abandon』は、The Pains of Being Pure at Heartが2014年にリリースしたサードアルバムで、バンドの音楽的アプローチがさらに変化した作品だ。前作『Belong』で見せた力強くノイズの効いたギターサウンドとは異なり、本作では繊細で軽やかなアレンジが特徴。ドリームポップやシンセポップに寄った柔らかなサウンドが、親しみやすくも儚い雰囲気を生み出している。
アルバム全体を通じて、明るいメロディーとノスタルジックな感情が交差し、青春の喪失感や新しい愛への期待といったテーマが描かれる。また、女性ボーカルのジェン・ゴーマンが参加しており、これまでの作品に比べて多様なテクスチャーが加わっている。これまでの激しいサウンドから距離を置いた一方で、バンドの持つ叙情的な魅力が際立った一枚だ。
トラック解説
- Art Smock
アコースティックギターと控えめなアレンジが特徴の穏やかなオープニングトラック。喪失感や孤独感を歌った歌詞が、アルバム全体のテーマを予感させる。 - Simple and Sure
明るくキャッチーなメロディーが特徴のポップソング。軽快なリズムと繊細なシンセが楽曲を彩り、アルバムの中でも特に親しみやすい一曲だ。 - Kelly
女性ボーカルが前面に出た楽曲で、バンドの新たな一面を示している。甘くも切ないメロディーが青春の懐かしさを引き出している。 - Beautiful You
アルバムの中でも特にドリーミーな雰囲気が漂う楽曲。シンセサウンドが楽曲全体を包み込み、穏やかで幻想的な空気感を作り出している。 - Coral and Gold
アコースティックな響きとシンプルな構成が印象的な楽曲。控えめなボーカルと優しいメロディーが、リスナーに穏やかな余韻を与える。 - Eurydice
アップテンポなギターポップで、古典的なギリシャ神話のオルフェウスとエウリュディケをモチーフにした歌詞が特徴的。エネルギッシュなメロディーがアルバムの中で際立つ。 - Masokissed
シンセポップ的な要素とインディーポップの柔らかさを融合させた楽曲。歌詞の中に青春の感情的な葛藤が垣間見える。 - Until the Sun Explodes
疾走感のあるギターポップで、エネルギーと高揚感に満ちた一曲。『Belong』の時期を思い出させるような勢いが感じられる。 - Life After Life
美しいメロディーと重層的なボーカルが印象的な楽曲。生と死、愛と喪失といったテーマが詩的に描かれている。 - The Asp at My Chest
アルバムのラストを飾る静かな楽曲。アコースティックなサウンドと淡々としたボーカルが、感情を穏やかに締めくくる。
アルバム総評
『Days of Abandon』は、The Pains of Being Pure at Heartが新たな音楽的方向性を追求した作品だ。力強いノイズポップを取り入れた『Belong』から一転して、より繊細でドリーミーなサウンドが中心となっている。感情的な歌詞と柔らかなメロディーが融合し、青春の切なさや愛の喜びがアルバム全体を通じて描かれる。アルバムとしてのまとまりが良く、リスナーに穏やかな余韻を残す一枚で、バンドの多様な音楽性を楽しむことができる。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Teen Dream by Beach House
ドリーミーでノスタルジックなサウンドが特徴のアルバムで、『Days of Abandon』と同様に感情的な深みを感じられる。
Give Up by The Postal Service
シンセポップとインディーロックの融合が特徴的で、『Days of Abandon』の親しみやすいメロディーが好きな人におすすめ。
Let Go by Nada Surf
軽快なインディーポップの名作で、青春の感情を描いた歌詞とキャッチーなメロディーが共通している。
In Ghost Colours by Cut Copy
シンセポップ的なアレンジとポップなメロディーが際立つアルバム。『Days of Abandon』のサウンドの進化に共鳴する。
Clinging to a Scheme by The Radio Dept.
控えめで繊細なポップサウンドと、感情的な歌詞が特徴で、『Days of Abandon』のファンにぴったりの一枚。
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