発売日: 1995年10月3日
ジャンル: ポップ、R&B、アダルト・コンテンポラリー
Daydreamは、マライア・キャリーが音楽性とボーカル力をさらに進化させた通算5作目のスタジオアルバムであり、彼女のキャリアにおける重要なマイルストーンとして知られている。前作「Music Box」で築いたバラード路線とポップ性を引き継ぎながらも、R&Bやヒップホップの要素がより強調され、音楽的な幅が広がっている。プロデューサーには長年のコラボレーターであるウォルター・アファナシエフや、そして新たにベイビーフェイスが参加し、アルバム全体が洗練されたサウンドに仕上がっている。また、本作ではボーイズIIメンやジャーメイン・デュプリといったアーティストを迎え、R&Bとポップの融合をさらに進化させた。
アルバムには、彼女の代表曲の一つである「Fantasy」をはじめ、「One Sweet Day」や「Always Be My Baby」など、数々のヒットシングルが収録されている。特に「One Sweet Day」は、ビルボード・ホット100で16週連続1位を記録し、当時の歴代記録を樹立した。マライアの透き通るような高音から力強い低音まで、彼女のボーカルテクニックが存分に発揮されており、豊かな感情表現と共にリスナーを引き込む作品である。
トラックごとの解説
1. Fantasy
アルバムのリードシングルで、トム・トム・クラブの「Genius of Love」をサンプリングした軽快なトラック。ポップとR&Bの要素が融合し、キャッチーなメロディとダンサブルなビートが特徴的。明るく夢見るような雰囲気がアルバム全体のテーマを象徴する。
2. Underneath the Stars
スムーズでドリーミーなバラードで、1970年代のソウルやR&Bの影響が感じられる。マライアの柔らかいボーカルと美しいメロディが心に響くロマンティックな一曲で、リスナーをノスタルジックな雰囲気に包む。
3. One Sweet Day (with Boyz II Men)
ボーイズIIメンと共演した感動的なバラードで、失った愛する人への思いを歌ったトラック。力強い歌声と美しいハーモニーが印象的で、聴く者に深い感動を与える。ビルボード・ホット100で16週連続1位を獲得した歴史的な名曲。
4. Open Arms
ジャーニーの名曲をカバーしたバラードで、マライアのソウルフルで感情的なボーカルが際立っている。オリジナルに忠実でありながら、彼女のスタイルが加わることで新たな魅力が引き出されている。
5. Always Be My Baby
ジャーメイン・デュプリがプロデュースしたポップR&Bナンバーで、心地よいリズムとキャッチーなメロディが特徴的。永遠の愛をテーマにしたリリックが、リスナーに親しみやすさを与える。軽やかで楽しげな雰囲気が人気を集めた一曲。
6. I Am Free
自己解放と再生をテーマにしたスピリチュアルなトラックで、ピアノが美しく響くバラード。マライアのボーカルが徐々に高揚し、感情が高まる様子が聴く者の心に強く響く。
7. When I Saw You
シンプルで甘いバラードで、マライアの優しいボーカルが恋の喜びを描写している。ピアノとストリングスが加わり、純粋でロマンティックなムードを演出している。
8. Long Ago
ヒップホップとR&Bを融合させたトラックで、90年代の都会的な雰囲気が漂う。マライアの低音ボーカルとグルーヴ感のあるビートが印象的で、彼女の多彩な音楽性を感じさせる。
9. Melt Away
ベイビーフェイスがプロデュースしたスムーズなバラードで、切なくも甘い恋愛の感情を表現。メロウなメロディとマライアのソウルフルなボーカルが心に残る一曲。
10. Forever
懐かしいポップバラードで、恋愛の永続性と純粋さがテーマ。70年代や80年代のソウルやバラードの影響が感じられ、シンプルながらもエモーショナルなサウンドが印象的。
11. Daydream Interlude (Fantasy Sweet Dub Mix)
「Fantasy」のリミックスバージョンで、アップテンポのダンスビートがアルバムにエネルギーを加えている。クラブシーンを意識したリズミカルなトラックで、アルバムに多彩な表情をもたらしている。
12. Looking In
アルバムのラストを飾る内省的なバラードで、自己探求と内面の葛藤を歌ったトラック。シンプルな伴奏の中で、マライアのボーカルが静かに心に染み渡り、アルバムを締めくくる余韻を残す。
アルバム総評
「Daydream」は、マライア・キャリーがキャリアのピークに到達したアルバムであり、彼女の音楽的成長が感じられる傑作である。ポップとR&Bを基調にしながらも、ヒップホップやソウルの要素を大胆に取り入れ、時代を象徴するサウンドを作り上げている。「Fantasy」や「One Sweet Day」、「Always Be My Baby」といったシングルは、マライアの代表曲として今も愛され、彼女のボーカルテクニックとソングライティングの才能を証明する楽曲ばかりである。「Daydream」は、彼女のファンだけでなく、90年代ポップとR&Bの名盤として後世に語り継がれる作品である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Music Box by Mariah Carey
マライアの大ヒット作で、感動的なバラードが多く収録されている。「Daydream」のバラード好きにはぴったり。
My Life by Mary J. Blige
90年代R&Bの名盤で、深い感情とソウルフルな歌唱が印象的。マライアのR&Bファンにおすすめ。
CrazySexyCool by TLC
R&Bとポップの融合が楽しめる名作。90年代の雰囲気が詰まっており、「Daydream」のファンにも共鳴する一枚。
Waiting to Exhale (Soundtrack) by Various Artists
ホイットニー・ヒューストンやTLCなどが参加したサウンドトラックで、R&Bバラードが満載。90年代のR&B好きには最適。
Secrets by Toni Braxton
感情豊かなバラードとR&Bサウンドが特徴。マライアのスムーズでソウルフルなバラードが好きなリスナーにおすすめ。
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