発売日: 1989年6月27日
ジャンル: ダンスロック、ニューウェーブ、ポップロック
「Cosmic Thing」は、The B-52’sが1989年にリリースした5作目のスタジオアルバムで、彼らのキャリアの中でも商業的に最も成功した作品である。本作は、ギタリストRicky Wilsonの死という悲劇を乗り越えた後に制作され、バンドにとって再出発を意味する重要なアルバムとなった。彼らのトレードマークであるユーモアと奇抜さはそのままに、より洗練されたポップでダンサブルなサウンドを取り入れ、1980年代末の音楽シーンに鮮烈な印象を残した。
プロデューサーにNile Rodgers(Chic)とDon Was(Was (Not Was))を迎えたことで、ファンクやディスコ、ポップロックの要素が融合し、これまで以上に幅広い層にアピールできるアルバムに仕上がっている。「Love Shack」や「Roam」といったヒットシングルは、現在でもバンドの代表曲として親しまれている。
トラック解説
- Cosmic Thing
アルバムのオープニングを飾るタイトル曲で、ファンキーなリズムとサイケデリックなギターが特徴的。バンドのエネルギーが全開で、Ricky Wilsonへのオマージュが感じられる。 - Dry County
ゆったりとしたテンポの楽曲で、田舎町の乾燥地帯を舞台にした風刺的な歌詞がユニーク。Cindy WilsonとKate Piersonのハーモニーが楽曲に暖かみを与えている。 - Deadbeat Club
ノスタルジックでメランコリックな雰囲気を持つ一曲。バンドメンバーの青春時代を振り返る歌詞が親しみやすく、アコースティックなサウンドが新鮮。 - Love Shack
The B-52’sの代表曲で、1980年代のダンスロックを象徴する名曲。Nile Rodgersのプロデュースによるファンキーなグルーヴと、パーティー感あふれる歌詞が圧倒的な人気を集めた。 - Junebug
軽快なギターリフとリズミカルなドラムが心地よいトラック。昆虫をテーマにした歌詞が、バンドのシュールなユーモアを反映している。 - Roam
Kate PiersonとCindy Wilsonがリードボーカルを務めた美しい楽曲で、アルバムのもう一つの大ヒット曲。自由と冒険をテーマにした歌詞とメロディアスなサウンドが魅力的。 - Bushfire
アップテンポでエネルギッシュな一曲。自然への賛美とエネルギーが溢れる歌詞が、バンドのエコロジカルな一面を感じさせる。 - Channel Z
政治的なメッセージを込めた一曲で、環境問題や社会への不満がテーマ。ヘヴィなギターとダンスビートが融合したサウンドが特徴的。 - Topaz
スローでドリーミーな雰囲気の楽曲。Cindy Wilsonのボーカルが美しく響き、宇宙や自然を思わせる広がりのあるサウンドスケープが印象的。 - Follow Your Bliss
アルバムのエンディングを飾るインストゥルメンタルのトラック。壮大で感動的なアレンジが、アルバムを締めくくるにふさわしい。
アルバム総評
「Cosmic Thing」は、The B-52’sが自身の音楽性を進化させ、より洗練された形で提示したアルバムである。エネルギッシュで楽しい雰囲気を保ちながらも、歌詞やサウンドに深みを加えた本作は、ポップミュージックの新しい地平を切り開いた。
「Love Shack」や「Roam」といったヒットシングルは、商業的な成功だけでなく、バンドの代表曲として今日でも愛され続けている。また、環境問題や社会へのメッセージを込めた「Channel Z」など、意外性のあるテーマにも挑戦している点が印象的。リスナーを踊らせるだけでなく、彼らの創造性とエモーションが強く感じられる一枚だ。
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Dare by The Human League
シンセポップの名盤で、ダンサブルなビートとキャッチーなメロディが「Cosmic Thing」と共通する。
Like a Virgin by Madonna
Nile Rodgersがプロデュースしたアルバムで、ファンキーなリズムとポップなサウンドが魅力。
**Speaking in Tongues by Talking
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