アルバムレビュー：Core by Stone Temple Pilots

発売日: 1992年9月29日
ジャンル: グランジ / オルタナティブロック

Stone Temple Pilotsのデビューアルバム『Core』は、1990年代初頭のグランジムーブメントの一翼を担う作品として、強いインパクトを与えた。Scott Weilandの低音でソウルフルなボーカルと、Dean DeLeoのヘヴィでメロディックなギターワークが特徴的で、グランジの陰鬱さとハードロックのエッジを融合させた独自のサウンドを展開している。このアルバムは、バンドの最大のヒット曲「Plush」を含み、オルタナティブロックのクラシックとして今でも多くのファンに愛されている。

各曲ごとの解説:

1. Dead & Bloated

アルバムは、ハードで迫力のある「Dead & Bloated」で幕を開ける。Weilandの荒々しいボーカルが印象的で、重厚なギターリフとダークなリリックが、バンドのハードロック的要素を前面に押し出している。イントロの「I am smellin’ like the rose that somebody gave me on my birthday deathbed」という歌詞が、楽曲全体の荒々しいトーンを象徴している。

2. Sex Type Thing

「Sex Type Thing」は、アルバムからのファーストシングルであり、ヘヴィなリフと激しいビートが特徴のハードロックナンバー。Weilandの挑発的なボーカルと、性的暴力や権力の乱用を批判する鋭い歌詞が際立つ。ギターリフの強烈さとリズムセクションのダイナミズムが曲を推進し、ライブでも人気の一曲だ。

3. Wicked Garden

「Wicked Garden」は、WeilandのボーカルとDean DeLeoのギターが織りなす緊張感のある楽曲。人間の内面や心の汚れを象徴する歌詞が印象的で、オルタナティブロックの象徴的なサウンドとメロディックなリフが融合している。感情の起伏が激しいパフォーマンスが特徴だ。

4. No Memory

短いインストゥルメンタルのトラックで、Dean DeLeoによる静かなギターが中心のサウンドスケープを展開する。アルバムの中で感情的なクールダウンを提供し、次の激しい曲へのつなぎとしての役割を果たしている。

5. Sin

「Sin」は、重くゆったりとしたリズムで進行し、Weilandの深くダークな歌詞が曲に厚みを加えている。特にサビの爆発的なエネルギーが印象的で、感情的な盛り上がりを感じさせる楽曲だ。ギターリフとWeilandのボーカルが完璧に調和し、アルバムの中でも特に印象的なトラックの一つ。

6. Naked Sunday

「Naked Sunday」は、怒りと混沌が入り混じる激しいロックナンバー。荒々しいギターリフと力強いドラムビートが特徴で、歌詞では社会の権威に対する挑戦と反抗がテーマとなっている。バンドのエネルギッシュな演奏が際立つ一曲だ。

7. Creep

「Creep」は、アコースティックギターのイントロから始まるバラードで、アルバムの中でも異色の存在。静かなメロディと内省的な歌詞が特徴で、Weilandのボーカルが感情を込めて紡ぐ。孤独や自己嫌悪といったテーマを扱い、メロウなサウンドが多くのリスナーの共感を呼ぶ名曲。

8. Piece of Pie

「Piece of Pie」は、ギターリフが重厚で、バンドのブルースロック的な一面が感じられる楽曲。テンポが緩急に富み、エネルギーに満ちた演奏が展開されている。特にサビのWeilandのボーカルは、感情の爆発を感じさせる力強さがある。

9. Plush

アルバムの中でも最も成功を収めた曲で、グランジのアンセムとも言える「Plush」。Dean DeLeoの印象的なギターリフが曲をリードし、Weilandのエモーショナルなボーカルが特徴的。愛と喪失をテーマにした歌詞が聴く者の心に強く響く。グランジ特有のダークな雰囲気と、キャッチーなメロディのバランスが絶妙で、バンドを一躍スターダムに押し上げた。

10. Wet My Bed

「Wet My Bed」は、Weilandの即興的な語りをフィーチャーした実験的なトラック。短く不穏な雰囲気を持つ曲で、アルバムの流れに一瞬の不安定さを加えている。音楽的に挑戦的な構成がユニークだ。

11. Crackerman

「Crackerman」は、テンポの速いハードロックナンバーで、エネルギッシュなギターとアグレッシブなボーカルが印象的。曲全体を通して疾走感があり、ライブパフォーマンスでも人気のある一曲。強烈なリフが曲を推進し、アルバムのクライマックスを飾る。

12. Where the River Goes

「Where the River Goes」は、アルバムのフィナーレにふさわしい壮大なトラック。スローなテンポで重厚なサウンドが特徴で、Weilandのボーカルが深い感情を込めて歌い上げる。ギターソロやダイナミックなリズムセクションが、バンドの演奏力の高さを示している。

アルバム総評:

Stone Temple Pilotsのデビューアルバム『Core』は、グランジムーブメントの中でも独自の地位を確立した作品であり、ヘヴィなギターリフとWeilandのソウルフルなボーカルが特徴的だ。商業的にも成功を収め、「Plush」や「Creep」などのヒット曲が生まれ、彼らを90年代ロックシーンの中心に押し上げた。シアトルのグランジとは異なるカリフォルニア出身のバンドながらも、暗く感情的なテーマを取り扱い、グランジの精神を体現したこのアルバムは、オルタナティブロックの歴史に残る名盤として評価されている。

このアルバムが好きな人におすすめの5枚:

Ten by Pearl Jam
グランジのクラシックであり、感情豊かなボーカルとヘヴィなギターサウンドが「Core」に通じる。Pearl Jamのエディ・ヴェダーの深みのある歌声は、Scott Weilandのボーカルスタイルと共通する部分がある。
Dirt by Alice in Chains
ダークでヘヴィなサウンドと、グランジ特有の陰鬱さが融合したアルバム。Stone Temple Pilotsのファンには、Alice in Chainsの重厚なサウンドが響くはず。
Superunknown by Soundgarden
グランジとメタルが融合した傑作。Stone Temple Pilotsのヘヴィなギターワークが好きなリスナーには、Soundgardenのエッジの効いたサウンドも楽しめるだろう。
Vs. by Pearl Jam
「Ten」に続くPearl Jamの名作。社会的なテーマや個人的な内省が色濃く反映されたアルバムで、Stone Temple Pilotsの感情的な歌詞と通じるものがある。
Nirvana by Nevermind
グランジの象徴的なアルバムで、「Core」と同時期にリリースされ、シーンに大きな影響を与えた。キャッチーなメロディとダークなテーマのバランスが、Stone Temple Pilotsと共通している。