Carry On by Crosby, Stills, Nash & Young(1970)楽曲解説

1. 歌詞の概要

“Carry On” は、1970年にリリースされたクロスビー、スティルス、ナッシュ & ヤング(CSNY)のアルバム Déjà Vu のオープニング曲であり、人生の困難に立ち向かいながら前に進むことの大切さ をテーマにした楽曲です。スティーヴン・スティルスが作詞・作曲を手掛け、アルバムの冒頭を飾るにふさわしいエネルギッシュでダイナミックなナンバーとなっています。

歌詞では、「どんな時も乗り越えていくことができる」というポジティブなメッセージが込められており、1960年代から1970年代にかけての激動の時代において、人々に希望を与えた楽曲 として評価されています。また、曲の展開はめまぐるしく変化し、フォークロック、ブルース、サイケデリックな要素が融合した独特のサウンドが特徴です。

2. 歌詞のバックグラウンド

“Carry On” は、スティーヴン・スティルスが急遽アルバムのオープニング曲として書き上げた楽曲です。CSNYの代表曲 “Questions” のフレーズを引用しつつ、新たな楽曲として再構成したもの であり、即興的な要素を含んでいます。

この時期、アメリカはベトナム戦争、公民権運動、カウンターカルチャーの台頭など、社会的な変革の真っただ中にありました。そんな時代の中で、「困難に直面しても、前に進み続けることが重要だ」というメッセージ を込めたこの曲は、多くのリスナーにとって希望の象徴となりました。

また、CSNYはメンバーそれぞれが強い個性を持ち、政治的・社会的なメッセージを発信するバンドとして知られていましたが、“Carry On” はそうした思想的な側面よりも、より普遍的なテーマを持ち、幅広いリスナーに響く楽曲となっています。

3. 歌詞の抜粋と和訳

以下に、“Carry On” の印象的な歌詞を一部抜粋し、日本語訳とともに紹介します。

[Verse 1]
“One morning I woke up and I knew you were really gone”
(ある朝目覚めると、君が本当にいなくなったことを知った)

“A new day, a new way, and new eyes to see the dawn”
(新しい日、新しい道、新しい目で夜明けを見るんだ)

[Chorus]
“Carry on, love is coming, love is coming to us all”
(進み続けよう、愛はやってくる、すべての人に愛はやってくる)

[Bridge]
“Where are you going now, my love?”
(君は今どこへ向かうの?)

“Where will you be tomorrow?”
(明日はどこにいるの?)

“Will you laugh just like a child?”
(子どものように笑えるのだろうか?)

“Does it all go on forever?”
(すべては永遠に続くのだろうか?)

※ 歌詞の引用元: Lyrics.com

4. 歌詞の考察

“Carry On” の歌詞は、人生における変化と、それにどのように向き合うべきかをテーマにしています。愛する人が去った後も、人生は続いていく というメッセージが込められており、失ったものを悲しむだけでなく、新しい未来へ向かう強さを持つことの重要性が強調されています。

特にサビの「Carry on, love is coming(進み続けよう、愛はやってくる)」というフレーズは、非常に力強く、ポジティブなメッセージとなっています。この言葉は、個人的な失恋や悲しみだけでなく、当時のアメリカ社会の混乱に対する希望のメッセージとしても解釈することができます。

また、曲の中盤には、「Where are you going now, my love?(君は今どこへ向かうの?)」と問いかける部分があります。これは、未来に対する不安を表現しており、それに対して「Does it all go on forever?(すべては永遠に続くのだろうか?)」と、自問自答するような形で歌詞が進んでいきます。この部分は、人生の不可解さや、変化の中での迷いを象徴していると言えるでしょう。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

“Carry On” のようなエネルギッシュなフォークロックや、前向きなメッセージを持つ楽曲が好きな人には、以下の曲もおすすめです。

  • “Woodstock” by Crosby, Stills, Nash & Young – ウッドストック・フェスティバルの精神を象徴する名曲。

  • “Suite: Judy Blue Eyes” by Crosby, Stills & Nash – 複雑な構成と美しいハーモニーが特徴の名曲。

  • “Going to California” by Led Zeppelin – 旅と自己発見をテーマにしたアコースティック・フォークソング。

  • The Weight” by The Band – 人生の旅と出会いを描いたフォークロックの名曲。

  • Teach Your Children” by Crosby, Stills, Nash & Young – 世代を超えた学びの大切さを歌った楽曲。

6. “Carry On” の影響と評価

“Carry On” は、CSNYのキャリアの中でも特に象徴的な楽曲であり、アルバム Déjà Vu のオープニングとして、その後の楽曲の世界観を決定づける役割を果たしています。この曲の持つ前向きなメッセージは、1970年代だけでなく、現代においても多くのリスナーに影響を与え続けています。

また、ライブではしばしば即興的なジャムセッションが加えられ、アルバムバージョンとは異なるアレンジが披露されることもありました。特に、1974年のCSNYの再結成ツアーでは、よりサイケデリックなアプローチが加えられ、曲の魅力がさらに広がりました。

さらに、“Carry On” は映画やテレビ番組でも頻繁に使用されており、その力強いメッセージと爽快なサウンドは、あらゆる世代の人々に響き続けています。


“Carry On” は、単なるフォークロックの名曲ではなく、人生の変化や困難に立ち向かうためのアンセム です。その力強いメッセージと美しいハーモニーは、今なお多くの人々にインスピレーションを与え続けています。

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