
発売日: 1983年3月1日
ジャンル: R&B、ポップ、ニュー・ジャック・スウィング
ボーイズグループの新時代を切り開いたデビュー作
1983年にリリースされた『Candy Girl』は、New Editionのデビューアルバムであり、後のボーイズグループブームの礎を築いた歴史的な作品だ。プロデューサーのMaurice Starrが手掛けたこのアルバムは、明らかにジャクソン5の影響を受けたポップでキャッチーなR&Bサウンドを特徴とし、当時10代だったメンバーたちのフレッシュでエネルギッシュなパフォーマンスが詰まっている。
タイトル曲「Candy Girl」は全米R&Bチャートで1位を獲得し、New Editionは「80年代のジャクソン5」として瞬く間に人気を集めることとなった。本作は、ニュー・ジャック・スウィング誕生前夜のサウンドとしても興味深く、のちにBobby BrownやBell Biv DeVoeといった派生グループを生む、伝説的なキャリアの幕開けとなった。
全曲レビュー
1. Candy Girl
アルバムを代表するヒット曲。ジャクソン5の「ABC」にインスパイアされたような、軽快でポップなサウンドが特徴的。「君は僕のキャンディガール!」というフックが強烈にキャッチーで、10代の恋の甘さを描いた歌詞も魅力的。
2. Gimme Your Love
シンセベースとファンクの要素が強いアップテンポな楽曲。まだ少年らしさの残るボーカルと、プロデューサーのMaurice Starrによる洗練されたアレンジが光る。
3. She Gives Me a Bang
リズミカルなドラムとクラップが印象的なダンスナンバー。タイトルの通り、恋のときめきをストレートに表現したエネルギッシュな楽曲。
4. Is This the End
アルバムの中でも特にエモーショナルなバラード。シンプルなピアノの伴奏と、メンバーの切ないボーカルが印象的で、後のNew Editionの成熟したR&Bサウンドの片鱗が感じられる。
5. Pass the Beat
ヒップホップの要素を取り入れたユニークな楽曲。ラップパートもあり、当時のヒップホップシーンの流れを取り入れようとした実験的な一曲。
6. Popcorn Love
ポップで可愛らしいラブソング。タイトル通り弾けるような恋の感覚を表現した歌詞とメロディが特徴的。軽快なリズムが心地よい。
7. Jealous Girl
甘酸っぱい失恋を歌ったバラード。シンプルながらも、当時のR&Bらしいメロウな雰囲気を持っており、メンバーのヴォーカルの個性が際立つ楽曲。
8. Candy Girl (Reprise)
アルバムのエンディングを飾るリプライズバージョン。よりリラックスしたアレンジになっており、アルバム全体のテーマを締めくくる。
総評
『Candy Girl』は、80年代初頭のポップR&Bシーンにおいて重要な役割を果たしたアルバムであり、のちのボーイズグループのフォーマットを確立した作品でもある。ジャクソン5を意識した楽曲やアレンジが目立つが、そこに80年代ならではのシンセやドラムマシンを取り入れ、時代に合ったポップでダンサブルなサウンドに仕上げている。
このアルバムの成功によって、New Editionはスターへの階段を上り、90年代にかけてR&Bシーンを牽引する存在となった。特に「Candy Girl」「Is This the End」「Popcorn Love」は、彼らのキャリアの中でも象徴的な楽曲として今なお愛されている。
現在の視点から聴くと、プロダクションはややシンプルに感じるかもしれないが、ボーイズグループのルーツとしての価値は計り知れない。80年代R&Bの甘さとポップの融合を楽しめる、まさに時代を超えて聴く価値のある一枚だ。
おすすめアルバム
- New Edition – New Edition (1984)
- 本作の翌年にリリースされた2ndアルバムで、より成熟したR&Bサウンドへと進化している。
- The Jackson 5 – ABC (1970)
- 『Candy Girl』のサウンドのルーツとなった、ジャクソン5の代表作。
- Bobby Brown – Don’t Be Cruel (1988)
- New Editionを離れたBobby Brownが、ニュー・ジャック・スウィングのブームを牽引した名盤。
- Boyz II Men – Cooleyhighharmony (1991)
- New Editionの影響を色濃く受けた90年代のボーイズグループによるデビュー作。
- Bell Biv DeVoe – Poison (1990)
- New Editionのメンバーが結成したユニットで、ヒップホップ色の強いR&Bを確立したアルバム。
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- New Editionのメンバーが結成したユニットで、ヒップホップ色の強いR&Bを確立したアルバム。
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