発売日: 2022年4月8日
ジャンル: オルタナティブR&B / ネオソウル / エレクトロポップ
Broken Hearts Clubは、Sydの2枚目のソロアルバムであり、愛の喜びと失恋の痛みをテーマにしたコンセプトアルバムだ。彼女が所属するThe Internetで培ったネオソウルやオルタナティブR&Bの美学をベースに、より洗練されたプロダクションとパーソナルな物語が展開されている。
アルバムは恋愛の始まりから終焉、そして再生に至るまでの感情の旅を描いており、官能的なムードと感情的な深みが交錯する作品となっている。エレクトロポップ的な要素を取り入れた楽曲から、アコースティックで繊細なバラードまで、Sydの多彩な音楽性がアルバム全体を通じて感じられる。
プロダクションには、同じくThe InternetのメンバーであるSteve Lacyや、ケイトラナダ(Kaytranada)などの著名なプロデューサーが参加しており、アルバムの多層的なサウンドを支えている。
トラック解説
1. CYBAH (feat. Lucky Daye)
アルバムの冒頭を飾るトラックで、ミッドテンポの官能的なR&Bナンバー。Lucky DayeのスムーズなボーカルがSydの声と美しく調和し、恋愛の始まりの期待感を描く。
2. Tie the Knot
甘いメロディと軽快なリズムが特徴の楽曲。結婚や永遠の愛を夢見る初期の恋愛の興奮が、シンプルでキャッチーな歌詞に込められている。
3. Fast Car
80年代のエレクトロポップの影響を感じさせる楽曲で、自由と解放感を歌うドライブ感溢れる一曲。ポップで明るいトーンがアルバムの冒頭部分を彩る。
4. Right Track (feat. Smino)
Sminoをフィーチャーした心地よいトラック。恋人との相性や関係性の確かさを歌い、軽快なギターラインとリズムが特徴的だ。
5. Sweet
恋愛の甘さと親密さを描いたシンプルでエモーショナルなバラード。控えめなアレンジがSydのボーカルを際立たせている。
6. Control
失恋の痛みが静かに語られるミッドテンポの楽曲。Sydの歌声が持つ感情的な深みと、シンプルなビートがリスナーを引き込む。
7. No Way
恋愛の終わりに向かう不安と疑念を描いた楽曲。ダークなプロダクションと内省的な歌詞が印象的で、アルバムのムードに深みを加えている。
8. Getaway
別れた後の解放感をテーマにした楽曲。軽快なビートと自由を感じさせるメロディが特徴的で、希望が込められている。
9. Out Loud (feat. Kehlani)
Kehlaniを迎えたエモーショナルなデュエットソング。別れを直面する中での感情の衝突が、二人のボーカルを通じて切実に伝わってくる。
10. Heartfelt Freestyle
インストゥルメンタルに近いトラックで、感情の整理をしながら前進するようなモノローグ的な楽曲。アルバム全体のテーマを集約する役割を果たしている。
11. Goodbye My Love
恋人への別れを歌う切ないバラード。ピアノとアコースティックギターが楽曲を支え、Sydのボーカルが最も感情的に響く一曲。
12. Missing Out
アルバムの最後を飾るトラックで、新たな始まりを感じさせる希望に満ちた楽曲。未来を見据える前向きなメッセージが美しい余韻を残す。
アルバム総評
Broken Hearts Clubは、Sydの音楽的成長と個人的なストーリーテリングが完璧に融合したアルバムだ。恋愛の喜びから別れ、再生に至るまでの感情の旅は、彼女の繊細なボーカルと洗練されたプロダクションを通じて描かれており、リスナーに深い共感を呼び起こす。
「CYBAH」や「Out Loud」のようなコラボレーショントラックは、アルバムに多様性を加え、Sydの音楽的ビジョンをより広げている。また、官能的で内省的な楽曲の数々は、Sydの持つアーティストとしての魅力をさらに引き立てている。本作は、R&Bの新たなマスターピースとして、彼女のキャリアにおいて重要な位置を占めるだろう。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
CTRL by SZA
恋愛の甘さと苦さを描いた感情的なR&Bの名盤で、Sydのアルバムと共通するテーマが多い。
Ego Death by The Internet
Sydがフロントを務めたバンドの傑作で、ネオソウルとR&Bが融合した洗練されたサウンド。
It Was Good Until It Wasn’t by Kehlani
恋愛の複雑さをテーマにしたエモーショナルなR&Bアルバムで、Sydとのコラボを楽しめるファンにおすすめ。
Blonde by Frank Ocean
ミニマルで感情的なサウンドが特徴の作品で、内省的なR&Bが好きな人にピッタリ。
Take Me Apart by Kelela
エレクトロニカとR&Bを融合させた革新的なアルバムで、Sydの作品と共通する繊細な美学が感じられる。
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