発売日: 2021年9月10日
ジャンル: インディーロック / オルタナティブロック / エレクトロポップ
「Back in Love City」は、The Vaccinesがリリースした5作目のアルバムであり、これまでのキャリアを通じて進化してきたサウンドをさらに広げ、洗練されたものにした一枚だ。本作では、「Love City」という架空の都市を舞台に、愛や孤独、疎外感といったテーマがSF的な視点から描かれている。アルバム全体がコンセプトに基づいて構築されており、ダイナミックなロックサウンドとエレクトロポップの要素が絶妙に融合している。
シングル「Back in Love City」や「Headphones Baby」では、バンドのエネルギーと洗練されたプロダクションが際立ち、現代的な音楽性とThe Vaccinesらしいエッジの効いたスタイルが見事に調和している。
各トラック解説
1. Back in Love City
アルバムのタイトル曲で、壮大でアンセミックなオープニングトラック。疾走感のあるリズムと力強いギターが、アルバムのテーマを力強く宣言している。
2. Alone Star
ノスタルジックでメランコリックなトラック。孤独と希望を交錯させた歌詞と、シンプルなメロディが心に響く。
3. Headphones Baby
キャッチーなメロディとエレクトロポップの要素が融合したシングル。孤独を紛らわせるためのヘッドフォンをテーマにした歌詞が、現代的で共感を呼ぶ。
4. Wanderlust
軽快なリズムと浮遊感のあるシンセが特徴のトラック。旅や自由への渇望を歌った内容で、アルバムの中でも特に明るい一曲。
5. Paranormal Romance
ダークでミステリアスな雰囲気が漂う楽曲。幽霊との恋愛を比喩的に描いた歌詞が独特で、実験的なサウンドが印象的。
6. El Paso
荒野を思わせるカントリー調のトラック。シンプルながらも味わい深いギターとボーカルが、アルバムに一風変わったアクセントを加えている。
7. Jump Off the Top
エネルギッシュでダンサブルなロックトラック。ライブ映えする勢いとキャッチーなコーラスが魅力的。
8. XCT
エレクトロニカの要素が強い実験的な楽曲。シンセサウンドとリズムが絡み合い、未来的な雰囲気を作り出している。
9. Bandit
カントリーとロックが融合した楽曲。自由奔放な歌詞と躍動感のあるアレンジが、聴いていて楽しい一曲。
10. Peoples’ Republic of Desire
ダークで緊張感のあるトラック。消費社会や人間の欲望について考えさせられる歌詞が、鋭いサウンドに乗せられている。
11. Savage
重厚なギターリフとボーカルが際立つトラック。荒々しいエネルギーが楽曲全体を支配しており、アルバムのハイライトの一つ。
12. Heart Land
穏やかで感情的なバラード。シンプルなアレンジと繊細な歌詞が、リスナーに深い余韻を残す。
13. Pink Water Pistols
アルバムを締めくくる感傷的な楽曲。優しいメロディと幻想的なアレンジが、Love Cityへの別れを告げるフィナーレにふさわしい。
アルバム総評
「Back in Love City」は、The Vaccinesがこれまで培ってきたロックサウンドをさらに洗練し、コンセプトアルバムとしての物語性と音楽的な深みを追求した作品だ。SF的な視点から愛や孤独を描く歌詞と、エレクトロポップやカントリーといった多様なジャンルを取り入れたサウンドが融合し、聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。「Headphones Baby」や「Back in Love City」といった楽曲は、バンドの進化とエネルギーを象徴する名曲として際立っている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Hot Fuss by The Killers
キャッチーなメロディと未来的なサウンドが、「Back in Love City」と共鳴する。
Oracular Spectacular by MGMT
SF的なテーマやエレクトロポップの要素が、「Back in Love City」のファンに響く。
The Bones of What You Believe by CHVRCHES
シンセサウンドを活かした楽曲が多く、「Headphones Baby」のような楽曲が好きな人におすすめ。
Humbug by Arctic Monkeys
ダークでミステリアスな雰囲気が、「Paranormal Romance」や「Peoples’ Republic of Desire」と通じる。
Fear Fun by Father John Misty
カントリーやフォークの要素を取り入れた実験的なアルバムで、「El Paso」や「Bandit」のような楽曲が好きな人にぴったり。
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