
発売日: 2008年11月25日
ジャンル: インディーロック、ローファイ、パワーポップ
- Rivers Cuomoの未発表音源集、第2弾——よりパーソナルで実験的な一面
- 全曲レビュー
- 1. Victory on the Hill
- 2. I Want to Take You Home Tonight
- 3. The Purification of Water
- 4. I Was Scared
- 5. Harvard Blues
- 6. My Brain Is Working Overtime
- 7. I Don’t Want to Let You Go
- 8. Oh Jonas
- 9. Please Remember
- 10. Come to My Pod
- 11. Don’t Worry Baby
- 12. I Admire You So Much
- 13. You Won’t Get With Me Tonight
- 14. Turn It Up
- 15. The Rules
- 16. I Just Threw Out the Love of My Dreams
- 総評
- おすすめアルバム
Rivers Cuomoの未発表音源集、第2弾——よりパーソナルで実験的な一面
Weezer のフロントマン Rivers Cuomo によるホーム・レコーディング音源集の第2弾 Alone II: The Home Recordings of Rivers Cuomo は、前作 Alone: The Home Recordings of Rivers Cuomo(2007年)に続き、彼の創作プロセスや未発表楽曲を深く掘り下げる作品となっている。
本作は、1984年から2007年にかけて録音されたデモや未完成曲を集めたコレクション であり、Weezer の正式なアルバムには収録されなかった楽曲や、彼のソロ活動としての実験的なアプローチが反映された楽曲が詰まっている。スタジオアルバムとは異なるローファイな質感や、Cuomo の個人的な世界観が強く表れており、ファンにとっては貴重な内容となっている。
全曲レビュー
1. Victory on the Hill
アコースティックギターとエレクトロニックな要素を融合させた実験的なオープニング。控えめなボーカルとシンプルな構成が、CuomoのDIY精神を感じさせる。
2. I Want to Take You Home Tonight
キャッチーなメロディとパワーポップ的なアプローチが特徴の楽曲。Weezerの楽曲にもなり得たポテンシャルを持っている。
3. The Purification of Water
シンプルなピアノとボーカルのみで構成されたミニマルな楽曲。Cuomoの内省的な一面が垣間見える。
4. I Was Scared
Weezer のメインストリーム向けの楽曲とは一線を画す、ローファイな雰囲気が漂うナンバー。粗削りなギターが、彼のソングライティングの素朴な魅力を引き立てている。
5. Harvard Blues
Rivers Cuomo がハーバード大学に在籍していた頃に書かれた楽曲。大学生活の体験や葛藤が込められた歌詞が印象的。
6. My Brain Is Working Overtime
タイトル通り、精神的なプレッシャーや過剰な思考をテーマにした楽曲。アップテンポでノイジーなギターが特徴で、Weezer の初期のパンク的要素を思わせる。
7. I Don’t Want to Let You Go
後に Weezer のアルバム Raditude(2009年)にも収録されることになる楽曲のデモバージョン。オリジナルよりもローファイなサウンドが、よりエモーショナルな印象を与える。
8. Oh Jonas
Weezer の元ベーシスト Matt Sharp に対する感謝と敬意を込めた曲。彼らの関係性を垣間見ることができる貴重なナンバー。
9. Please Remember
フォーク調の優しいメロディが特徴のバラード。Weezer にはないシンプルなアコースティックのアプローチが新鮮。
10. Come to My Pod
Cuomo が構想していた幻のロック・オペラ Songs from the Black Hole の未発表曲のひとつ。シンセを多用したスペーシーな雰囲気が特徴的で、未完のプロジェクトの一端を感じさせる。
11. Don’t Worry Baby
The Beach Boys の名曲のカバー。Cuomo が影響を受けたバンドのひとつであり、彼のポップメロディのルーツが垣間見える。
12. I Admire You So Much
タイトル通り、誰かへの感謝や尊敬の念を歌ったシンプルなトラック。ローファイな録音が、歌詞のパーソナルな雰囲気を引き立てる。
13. You Won’t Get With Me Tonight
これも Songs from the Black Hole 用に書かれた楽曲。オペラ的な展開とユニークなリリックが特徴的。
14. Turn It Up
Cuomoのロック志向が表れたパワフルな楽曲。Weezer のアルバムに入っていても違和感がないサウンド。
15. The Rules
ストリップダウンされたアコースティックサウンドが印象的なトラック。彼のシンプルなソングライティングが際立つ。
16. I Just Threw Out the Love of My Dreams
元々 Pinkerton のセッション時に作られたが、Weezer ではなく、The Rentals の Rachel Haden がリードボーカルを務めたバージョンがリリースされた楽曲。ここではオリジナルのデモバージョンを聴くことができる。
総評
Alone II: The Home Recordings of Rivers Cuomo は、前作 Alone よりもさらに Cuomo のパーソナルな部分が掘り下げられた作品 であり、Weezer のスタジオアルバムとは異なる DIY スピリットを感じさせるアルバムだ。
特に、幻のプロジェクト Songs from the Black Hole の未発表楽曲が含まれている点は、熱心なファンにとって大きな価値がある。また、The Beach Boys のカバーや、ハーバード時代の体験を反映した楽曲など、Cuomo の多面的な音楽性が見える作品となっている。
おすすめのリスナー:
- Rivers Cuomo のソングライティングの背景に興味がある人
- Weezer のデモや未発表曲を掘り下げたい人
- ローファイなインディーロックや DIY 的な音楽を楽しめる人
おすすめアルバム
1. Weezer – Pinkerton (1996)
Cuomo の最もパーソナルな作品として知られ、Alone II に収録された曲のルーツが感じられる。
2. Guided by Voices – Alien Lanes (1995)
ローファイなインディーロックの代表作。Cuomo のソロ作品と共通する DIY スピリットがある。
3. The Rentals – Return of the Rentals (1995)
元 Weezer の Matt Sharp のバンドで、Cuomo の影響が感じられるシンセポップ的なアプローチが特徴。
4. Elliott Smith – Either/Or (1997)
アコースティックなローファイサウンドと内省的な歌詞が、Cuomo のソロ作品と共通する部分を持つ。
5. Daniel Johnston – Hi, How Are You (1983)
DIY 的な宅録のパイオニアとして、Cuomo の作風に通じる部分が多い。
Alone II は、Rivers Cuomo の音楽的探求心と、Weezer のスタジオ作品では見られない素の部分が垣間見える貴重な一枚だ。
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