
発売日: 2020年1月24日
ジャンル: ポップ、オルタナティブポップ
内省的で等身大の感情——Tate McRaeのデビューEP
カナダ出身のシンガーソングライター Tate McRae にとって、All the Things I Never Said はメジャーデビューEPであり、10代ならではの葛藤や心の傷、未熟な恋愛をテーマにした、内省的でエモーショナルな作品 となっている。
McRae は、もともとダンサーとして活躍し、『So You Think You Can Dance』で注目を浴びた後、YouTube でのオリジナル楽曲投稿を通じて音楽活動を本格化。やがて RCA Records と契約し、このEPをリリースすることになった。
本作では、ミニマルなピアノやエレクトロニック・ビートを基調としたサウンド に、McRae の繊細で儚げなボーカルが際立っており、Billie Eilish や Olivia Rodrigo といったアーティストにも通じる、オルタナティブポップの魅力を持っている。
全曲レビュー
1. Tear Myself Apart
EPのオープニングを飾る楽曲で、悲しみと自己破壊的な感情を歌ったナンバー。ピアノとエレクトロニック・ビートのシンプルなアレンジが、歌詞の切なさを引き立てている。
2. All My Friends Are Fake
友情の偽りや孤独感をテーマにした楽曲。キャッチーなメロディとダークな歌詞の対比が印象的で、ティーンのリアルな心情を表現している。
3. That Way
静かでミニマルなピアノバラード。報われない恋を描いた歌詞が心に刺さる楽曲で、McRae の透明感のあるボーカルが際立つ。
4. Kids Are Alright
思春期の不安や自己疑問をテーマにした曲。優しくも切ないメロディが、リスナーに共感を与える。
5. Stupid
このEPの中で最もアップテンポな楽曲のひとつ。恋愛の中での矛盾した感情をユーモラスに描いており、キャッチーなフックがクセになる。
総評
All the Things I Never Said は、Tate McRae の繊細なソングライティングと、エモーショナルなボーカルが詰まったデビュー作 であり、彼女が持つアーティストとしての可能性を強く印象づけるEPとなった。
特に「That Way」や「Tear Myself Apart」のようなバラードでは、彼女の感情表現の豊かさが際立ち、リスナーに深い共感を呼び起こす。また、「Stupid」や「All My Friends Are Fake」では、キャッチーなポップセンスも見せており、McRae の多面的な魅力を感じられる作品となっている。
おすすめのリスナー:
- Billie Eilish や Olivia Rodrigo のようなエモーショナルなポップが好きな人
- 10代の葛藤や恋愛をテーマにした音楽に共感できる人
- シンプルなピアノバラードやオルタナティブポップが好きな人
おすすめアルバム/EP
1. Billie Eilish – dont smile at me (2017)
同じく若いアーティストによる内省的なポップ作品で、McRae のサウンドに通じるものがある。
2. Olivia Rodrigo – SOUR (2021)
失恋や10代の感情をリアルに描いたアルバムで、歌詞の内容や雰囲気が似ている。
3. Gracie Abrams – minor (2020)
エモーショナルな歌詞とミニマルなサウンドが魅力のEP。
4. Madison Beer – Life Support (2021)
エレクトロニックな要素を取り入れつつ、感情的なボーカルが際立つアルバム。
5. Sasha Sloan – Only Child (2020)
シンガーソングライターとしての繊細な表現が光る作品で、McRae の楽曲とも相性が良い。
Tate McRae のデビューEP All the Things I Never Said は、彼女のアーティストとしての可能性を強く感じさせる作品であり、内省的なポップの新たな才能としての一歩を示す。今後の進化が楽しみなアーティストの、最初の重要なステップとなるEPだ。
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