発売日: 1976年9月11日
ジャンル: ロック, シンフォニック・ロック, ポップ・ロック
Electric Light Orchestra (ELO)の6作目となる『A New World Record』は、バンドにとって商業的にも音楽的にも重要な転機となった作品である。このアルバムでは、ジェフ・リンの卓越したメロディメイキングと、バンドの持つシンフォニックなサウンドがより一層洗練され、ELOのクラシックなスタイルが確立された。バンドのトレードマークであるストリングスとポップサウンドの融合が、以前の作品以上に調和し、楽曲のキャッチーさとオーケストレーションの美しさが際立つ一枚となっている。ヒットシングルも多く、ELOが国際的な成功を収めるきっかけとなったアルバムでもある。
各曲ごとの解説:
- Tightrope
アルバムのオープニングを飾る壮大な一曲。ストリングスとシンセサイザーがドラマティックに展開し、徐々にビートが加わる。ジェフ・リンの特徴的なヴォーカルが、夢見がちな歌詞と共にリスナーを引き込み、アルバム全体のムードを設定する。 - Telephone Line
ELOの代表的なバラードで、電話をテーマにした切なくノスタルジックな一曲。リンの甘いメロディとストリングスのアレンジが美しく調和し、感情的な歌詞が胸に響く。シングルカットされ、ELOの最も愛される楽曲の一つとなった。 - Rockaria!
ロックとクラシックの融合を試みたユニークなトラックで、オペラの要素を取り入れた異色の一曲。エネルギッシュなギターとアップテンポなリズムに、オペラのソプラノが重なり合い、楽しい雰囲気を作り出している。 - Mission (A World Record)
壮大でスペースオペラ的な要素を持つ曲。宇宙をテーマにした歌詞が、ELOのサウンドと絶妙にマッチしており、シンフォニックで幻想的な雰囲気が漂う。 - So Fine
軽快でファンキーなリズムが特徴の一曲。シンセサイザーとストリングスが絡み合い、ポップなメロディラインがキャッチーで心地よい。ダンサブルなエネルギーが溢れ、アルバムに明るさを加えている。 - Livin’ Thing
ELOの代表曲のひとつで、ポップなメロディとストリングスの華やかさが際立つトラック。切ない歌詞と軽快なリズムのバランスが絶妙で、ポップロックの名曲として広く愛されている。シングルとしても大ヒットし、ELOのサウンドが世に広まるきっかけとなった。 - Above the Clouds
メロウでドリーミーな一曲。リンの柔らかい歌声と、控えめなアレンジが幻想的な雰囲気を醸し出している。短い曲だが、アルバムの中で一息つくような役割を果たしている。 - Do Ya
ELOの初期の楽曲をリメイクしたトラックで、ストレートなロックサウンドが特徴的。エネルギッシュなギターリフとパワフルなボーカルが、バンドのロックルーツを感じさせる。ストリングスとギターの融合が効果的で、シンプルながらもインパクトの強い一曲。 - Shangri-La
アルバムの締めくくりを飾るバラードで、リンの美しいメロディメイキングが際立つ。歌詞には喪失感やノスタルジーが込められており、ストリングスとピアノのアレンジが曲全体に壮大さを与えている。心に残る美しいエンディングトラック。
アルバム総評:
『A New World Record』は、Electric Light Orchestraのシンフォニック・ロックとポップの融合がピークに達したアルバムであり、彼らの音楽的アイデンティティが完全に確立された作品だ。ジェフ・リンの卓越したメロディセンスと、オーケストラ的なアレンジの美しさが、これまで以上にバランスよく共存している。また、ポップなシングル曲が多く含まれており、商業的にも大きな成功を収めた。ELOの音楽を広く知らしめた重要なアルバムであり、彼らのディスコグラフィーの中でも特に完成度が高い名作である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Out of the Blue by Electric Light Orchestra
『A New World Record』の次作で、ELOのシンフォニック・ポップ路線がさらに深化した2枚組アルバム。ヒット曲が多く、バンドの全盛期を象徴する一枚。 - Goodbye Yellow Brick Road by Elton John
ピアノを中心としたポップロックの名盤で、壮大なメロディと感情的な歌詞がELOファンにも響く。 - A Night at the Opera by Queen
クラシックとロックを大胆に融合させたアルバムで、ドラマチックな展開とポップセンスがELOのスタイルに通じる。 - The Grand Illusion by Styx
シンフォニック・ロックとポップの融合が特徴のアルバム。壮大なサウンドとキャッチーなメロディがELOファンにぴったり。 - The Dark Side of the Moon by Pink Floyd
コンセプトアルバムとしての完成度が高く、シンフォニックで幻想的なサウンドスケープが『A New World Record』のファンにも楽しめる。
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