- 発売日: 2011年9月13日
- ジャンル: プログレッシブメタル、プログレッシブロック
Dramatic Turn of Eventsは、Dream Theaterにとって大きな転機となった11枚目のスタジオアルバムである。長年のドラマーであったマイク・ポートノイがバンドを離脱し、新たにマイク・マンジーニが加入したことで、バンドのサウンドに新しい息吹が吹き込まれている。このアルバムでは、Dream Theaterのクラシカルなプログレッシブメタルスタイルに回帰し、エモーショナルでメロディアスな楽曲が多く収録されている。
本作は、バンドにとって困難な時期の中で生まれた作品であり、ポートノイ不在の中で新しい音楽的ダイナミズムを探求する姿勢が感じられる。ジョン・ペトルーシとジョーダン・ルーデスの緻密なアレンジとメロディが際立ち、マンジーニのテクニカルかつタイトなドラミングがバンドのサウンドを支えている。重厚なテーマとエモーショナルなメロディが織り成す楽曲群は、バンドの新たなフェーズの幕開けを告げるものである。
トラック解説
1. On the Backs of Angels
アルバムのリードシングルであり、Dream Theaterのクラシックなプログレメタルサウンドを象徴する一曲。静かなアコースティックギターのイントロから始まり、次第に壮大な展開へと移行する。重厚なリフとメロディアスなコーラスが組み合わさり、バンドの力強い復活を印象づける。
2. Build Me Up, Break Me Down
ダークでメロディックなトラックで、エレクトロニックな要素がアクセントとして加わっている。歌詞には自己崩壊や再生がテーマとして込められており、ラブリエの感情的なボーカルがリスナーに深いインパクトを与える。
3. Lost Not Forgotten
11分を超える長尺曲で、ペトルーシとルーデスによるテクニカルなインストパートが際立つ。リズムの変化が激しく、プログレッシブメタルの真髄が詰め込まれている。歌詞には歴史や信念についてのテーマが描かれており、バンドの哲学的な側面が感じられる。
4. This is the Life
メロディアスでドラマチックなバラード。ラブリエのボーカルが特にエモーショナルで、歌詞には自己探求や生きることの意味が込められている。シンプルながらも、感情に訴えるメロディが美しく、ペトルーシのギターソロが楽曲に深みを加えている。
5. Bridges in the Sky
ダークで重厚なリフとシンフォニックなアレンジが特徴の楽曲。シャーマニズムや精神的な成長がテーマに取り入れられており、霊的な旅が描かれている。イントロの不気味なボーカルや壮大なサウンドスケープが物語の奥行きを増し、バンドの実験精神が感じられる。
6. Outcry
壮大なスケールで展開される11分を超えるトラックで、困難や逆境に対する叫びが歌われている。複雑なリズムチェンジとインストパートが際立ち、ポートノイ不在のバンドが新たな方向へと歩み出した象徴的な一曲。ペトルーシとルーデスの掛け合いが圧巻で、バンドのプログレッシブな側面が最大限に表現されている。
7. Far from Heaven
美しいピアノとラブリエの穏やかなボーカルが響くバラードで、アルバム中で最も静かな楽曲。人生の儚さや悲しみが表現され、感情的な深みが感じられる。シンプルな構成ながらも、静かな感動が伝わってくる。
8. Breaking All Illusions
アルバムのハイライトとも言える大作で、複雑な構成とエモーショナルなメロディが融合した楽曲。ペトルーシとルーデスによる壮大なインストパートが圧巻で、スピリチュアルなテーマと自己探求が歌詞に込められている。ファンの間でも特に人気の高い曲で、バンドの音楽的成熟が感じられる。
9. Beneath the Surface
アルバムを締めくくる穏やかなアコースティックバラード。シンプルなギターとラブリエの優しい歌声が心に響く。愛や失われた関係をテーマにしており、アルバム全体のドラマティックな流れを静かに締めくくる。
アルバム総評
A Dramatic Turn of Eventsは、Dream Theaterが新たな章を開いた作品であり、ポートノイの脱退後にバンドがいかにして再び団結し、新しい音楽的方向性を探求したかを示している。ヘヴィな要素とエモーショナルなメロディが融合し、クラシックなプログレメタルのエッセンスを持ちながらも、バンドの進化と成長が感じられる。マンジーニのタイトなドラミングが全体を支え、ペトルーシとルーデスの緻密なアレンジが楽曲を彩っている。本作は、Dream Theaterが試練を乗り越えて新たな高みに達した作品として、長年のファンにも新たなリスナーにも訴求する一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Awake by Dream Theater
メロディアスでありながらもヘヴィなサウンドが特徴。エモーショナルなテーマと重厚なリフが好きなリスナーにぴったり。 - Scenes from a Memory by Dream Theater
複雑なストーリーと高度なアレンジが楽しめるコンセプトアルバム。バンドの代表作として、多くのファンに愛されている。 - Octavarium by Dream Theater
プログレッシブな長尺曲とドラマチックなメロディが特徴。バンドの技巧と叙情的な側面が詰まった一枚。 - Black Clouds & Silver Linings by Dream Theater
重厚でダークなサウンドが魅力で、哲学的なテーマが多い。ヘヴィな楽曲とドラマチックなメロディが楽しめる。 - Lateralus by Tool
プログレッシブメタルの実験的要素が強く、深遠なテーマが描かれている。変拍子や複雑なリズムが好きなリスナーにおすすめ。
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