発売日: 2015年6月2日
ジャンル: インディーロック、アートポップ、バロックポップ
Florence + The Machineの3枚目のアルバムHow Big, How Blue, How Beautifulは、前作Ceremonialsの壮大でゴシックなサウンドから一歩引き、よりパーソナルで感情的なトーンにシフトした作品だ。プロデューサーにMarcus Dravs(Arcade FireやColdplayといったアーティストを手掛けた名プロデューサー)を迎え、バンドの持つドラマチックな要素を活かしつつ、よりシンプルで温かみのあるサウンドに仕上がっている。
本作は、Florence Welch自身の内面的な葛藤や自己再生の旅を描いたアルバムであり、愛や喪失、孤独、再生といった普遍的なテーマを扱っている。ホーンセクションやアコースティック楽器が取り入れられ、自然や広大な空を思わせる壮大な雰囲気を持つ一方で、歌詞の中には痛みや脆さが色濃く表現されている。
各曲ごとの解説
1. Ship to Wreck
アルバムの幕開けを飾るエネルギッシュな楽曲。自己破壊的な行動をテーマにした歌詞が、キャッチーなメロディとともに展開される。明るいサウンドに隠された内面的な葛藤が印象的。
2. What Kind of Man
重厚なギターリフが特徴的なトラックで、Florence Welchの感情的なボーカルが際立つ。強烈な愛と怒りを描いた歌詞が、圧倒的なエネルギーでリスナーに迫る一曲。
3. How Big, How Blue, How Beautiful
アルバムのタイトル曲であり、広大な空と希望を象徴する壮大なバラード。ホーンセクションが曲全体に優雅さを加え、Florenceのボーカルが空に向かって広がっていくような感覚を生み出している。
4. Queen of Peace
ドラマチックなアレンジとエモーショナルな歌詞が光る楽曲。愛と平和への渇望を描いた歌詞と、躍動感のあるリズムが融合し、アルバムの中でも特に印象的な一曲となっている。
5. Various Storms & Saints
静かなギターと控えめなアレンジが、Florenceのボーカルを引き立てるトラック。失恋の痛みや孤独を詩的に表現した歌詞が、静かな中にも深い感情を感じさせる。
6. Delilah
テンポの速いビートとダイナミックなボーカルが特徴的なトラック。誘惑や自己発見をテーマにしており、エネルギッシュなサウンドが印象的。
7. Long & Lost
内省的なバラードで、失われた愛や喪失を描写した歌詞が心に響く。シンプルなアレンジが感情の深みを引き立てている。
8. Caught
繊細なアレンジと感情的な歌詞が特徴的な楽曲。迷いや葛藤をテーマにしており、Florenceのボーカルが内面の苦悩をリアルに表現している。
9. Third Eye
アルバムの中でも特に高揚感のある楽曲。希望や再生をテーマにした歌詞が、ポジティブなエネルギーをリスナーに届ける。
10. St. Jude
聖人St. Judeをモチーフに、祈りや希望を歌う静かなトラック。ミニマルなアレンジが、歌詞の持つ精神性を際立たせている。
11. Mother
アルバムのラストを飾る力強い楽曲。母性や自然への賛歌を思わせる歌詞と、ダイナミックなアレンジが壮大な締めくくりを演出している。
フリーテーマ:感情の旅路と自然への賛歌
How Big, How Blue, How Beautifulは、Florence Welch自身の内面を掘り下げながら、自然や広大な空を象徴的に描いたアルバムだ。Marcus Dravsのプロデュースによる洗練されたアレンジが、Florenceのドラマチックなボーカルを引き立てつつ、アルバム全体に一貫性を持たせている。希望と痛み、再生と葛藤が交錯するこの作品は、リスナーに深い感動を与える。
アルバム総評
How Big, How Blue, How Beautifulは、Florence + The Machineの新たな一歩を示す成熟した作品だ。ドラマチックなサウンドとパーソナルな歌詞が見事に融合し、愛や喪失、再生といったテーマが壮大なスケールで描かれている。特に「Ship to Wreck」や「What Kind of Man」、「How Big, How Blue, How Beautiful」などの楽曲は、バンドの進化を象徴するものとして長く語り継がれるだろう。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Ceremonials by Florence + The Machine
壮大でドラマチックなアレンジが共通するバンドの2作目。
Funeral by Arcade Fire
感情的な歌詞と壮大なアレンジが響き合う名作。
A Moon Shaped Pool by Radiohead
内省的で緻密なアレンジが好きな人におすすめ。
Lost in the Dream by The War on Drugs
広がりのあるサウンドと感情的な歌詞が共通するアルバム。
Hounds of Love by Kate Bush
独創的な音楽性と詩的な歌詞がFlorence + The Machineのファンにも響く作品。
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