発売日: 1969年1月17日
ジャンル: サイケデリックロック、ハードロック
Iron Butterflyの3枚目のスタジオアルバム『Ball』は、前作『In-A-Gadda-Da-Vida』の大成功を受けてリリースされた作品であり、サイケデリックロックの時代の中でも洗練された音楽性を追求したアルバムである。本作では、ヘヴィなギターリフやオルガン主導のサウンドを基盤にしながらも、より緻密でメロディアスなアプローチが試みられている。
『Ball』は、サイケデリックなムードとキャッチーな楽曲のバランスが特徴で、アルバム全体を通してダークで神秘的な雰囲気が漂っている。Doug Ingleの特徴的なボーカルとオルガン、そしてバンド全体の演奏力がさらに向上し、音楽的な成熟が感じられる内容だ。このアルバムは、1960年代後半のサイケデリックロックシーンにおけるIron Butterflyの地位をさらに確立させた作品と言える。
トラック解説
1. In the Time of Our Lives
アルバムの幕開けを飾る壮大な楽曲で、ダークでドラマチックなイントロが印象的。オルガンのリフと力強いリズムが楽曲を牽引し、バンドのサイケデリックな側面を象徴している。
2. Soul Experience
メロウでリラックスした雰囲気を持つトラック。浮遊感のあるオルガンとブルージーなギターリフが、心地よいサイケデリック体験を提供する。
3. Lonely Boy
軽快なリズムとキャッチーなメロディーが特徴的な楽曲。Doug Ingleの感情豊かなボーカルが、楽曲に温かみを与えている。
4. Real Fright
アップテンポでエネルギッシュなトラック。ギターとオルガンの掛け合いが見事で、バンドの演奏力の高さが際立つ。
5. In the Crowds
ミステリアスで幻想的な雰囲気を持つ楽曲。オルガンの浮遊感のあるサウンドと静かなボーカルが、聴き手を夢の中へ誘う。
6. It Must Be Love
ポップで親しみやすい楽曲。シンプルな構成の中に、Iron Butterflyらしいサイケデリックな要素が散りばめられている。
7. Her Favorite Style
美しいメロディーが印象的なトラック。控えめなアレンジが楽曲のロマンティックな雰囲気を引き立てている。
8. Filled with Fear
不穏で緊張感のある楽曲。低音のリフとオルガンのディストーションが、ダークなムードを作り出している。
9. Belda-Beast
アルバムを締めくくる長尺のトラックで、壮大なサウンドスケープが展開される。自由奔放なギターソロと幻想的なアレンジが、アルバム全体を象徴するフィナーレとなっている。
アルバム総評
『Ball』は、Iron Butterflyがサイケデリックロックの先駆者としての地位をさらに確立したアルバムである。『In-A-Gadda-Da-Vida』の成功に続く形で、より緻密で洗練された楽曲が揃っており、バンドの音楽的な成長が感じられる。「In the Time of Our Lives」や「Soul Experience」のような楽曲は、サイケデリックなムードとキャッチーさが絶妙に融合しており、アルバム全体を通して一貫性のある仕上がりとなっている。このアルバムは、1960年代後半のサイケデリックロックを象徴する作品として、今なお多くのリスナーに愛されている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Surrealistic Pillow by Jefferson Airplane
サイケデリックな雰囲気とキャッチーなメロディーが、『Ball』のファンに親しみやすい。
Disraeli Gears by Cream
サイケデリックロックとブルースの融合が、『Ball』のサウンドと共鳴する。
Electric Ladyland by The Jimi Hendrix Experience
幻想的なサウンドスケープとギターの革新性が、『Ball』の実験性に通じる。
Meddle by Pink Floyd
サイケデリックロックからプログレッシブロックへの橋渡しをするような作品で、『Ball』のダイナミズムと共通点が多い。
Led Zeppelin by Led Zeppelin
ハードロックの原点ともいえる作品で、Iron Butterflyのヘヴィな要素を好むリスナーにおすすめ。
コメント