アルバムレビュー:『Third Album』 by The Jackson 5

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:1970年9月8日

ジャンル:ソウル、ポップ・ソウル、モータウン、R&B、バブルガム・ソウル、ファンク、ポップ

概要

The Jackson 5の『Third Album』は、1970年に発表された3作目のスタジオ・アルバムであり、彼らがモータウンの新世代スターとして急速に頂点へ駆け上がっていく過程を記録した重要作である。1969年の『Diana Ross Presents The Jackson 5』、1970年の『ABC』に続く本作は、デビューからわずか1年足らずの間に発表された作品でありながら、単なる勢い任せのアイドル的作品ではなく、The Jackson 5の音楽的な幅、Michael Jacksonの早熟な歌唱表現、そしてモータウンの制作システムの完成度を示している。

The Jackson 5は、Jackie、Tito、Jermaine、Marlon、Michaelの5兄弟によるグループである。彼らはインディアナ州ゲーリー出身で、父Joseph Jacksonの管理のもとで幼少期から厳しいリハーサルを重ね、地元のタレント・ショーやクラブで実力を磨いてきた。その後モータウンと契約し、Berry Gordyのもとで徹底的にスターとしてプロデュースされた。特に最年少のMichael Jacksonは、まだ子どもでありながら、驚異的なリズム感、音程の正確さ、感情表現、ステージ上の存在感を備えており、1970年の時点ですでにグループの中心的な声となっていた。

『Third Album』の最大の歴史的意義は、「I’ll Be There」を収録している点にある。この曲はThe Jackson 5の代表的なバラードであり、彼らが「I Want You Back」「ABC」「The Love You Save」といった弾けるようなアップテンポのポップ・ソウルだけでなく、成熟した感情を持つバラードも歌えることを証明した。Michael Jacksonの声はまだ少年の高い響きを持っているが、その表現には年齢を超えた深みがある。彼が後に世界的なポップ・アイコンへ成長していくことを考えると、「I’ll Be There」はその原点のひとつとして極めて重要である。

本作のサウンドは、モータウンらしい洗練されたポップ・ソウルを基盤にしている。The Corporationと呼ばれる制作チームが中心となり、キャッチーなメロディ、明快なリズム、厚いコーラス、ファンク的なベース、ストリングスやホーンを取り入れた華やかなアレンジが施されている。モータウンは1960年代にThe Supremes、The Temptations、Four Tops、Marvin Gaye、Stevie Wonderなどを通じて、黒人音楽をアメリカ全体、さらに世界のポップ市場へ届ける方法を確立した。The Jackson 5はそのモータウン・システムの1970年代版として登場したグループであり、若さ、家族性、ダンス、ポップ性、ソウルの伝統を一体化させた存在だった。

『Third Album』は、前2作に比べると、アップテンポの爆発力とバラードの比重がよりバランスよく配置されている。「How Funky Is Your Chicken」のようなコミカルでファンキーな曲、「Goin’ Back to Indiana」のような故郷への回帰を歌う曲、「Darling Dear」のような柔らかいポップ・ソウル、そして「Bridge Over Troubled Water」のようなカバー曲が並び、The Jackson 5が単なる子どもグループではなく、モータウンの幅広いレパートリーを担える存在であることを示している。

ただし、本作の重要性を考える上で、モータウン的な制作体制とThe Jackson 5自身の個性の関係も見逃せない。初期のThe Jackson 5のアルバムは、グループ自身によるセルフ・プロデュース作品ではなく、作家、アレンジャー、プロデューサー、スタジオ・ミュージシャンによって緻密に設計されたポップ商品でもあった。しかし、その中でMichael Jacksonの声は、制作側の計算を超えるほどの生命力を放っている。彼の歌声は、楽曲をただ与えられたものとして歌うのではなく、強い感情と個性を吹き込む。その点にこそ、本作の持続的な魅力がある。

1970年という時代は、アメリカのソウル・ミュージックが大きく変化していた時期でもある。Marvin Gayeはまもなく『What’s Going On』へ向かい、Stevie Wonderも70年代に入るとより自立した作家性を強めていく。ファンクではJames BrownやSly & The Family Stoneが音楽の重心を変え、ニュー・ソウルの流れも生まれつつあった。その中でThe Jackson 5は、政治的・実験的な方向ではなく、ポップな即効性、若さ、家族的な魅力、ダンスの楽しさを武器に、ソウルをより広い大衆へ届けた。『Third Album』は、そのモータウン的ポップ・ソウルの完成度を示す作品である。

日本のリスナーにとって本作は、Michael Jacksonのソロ期、特に『Off the Wall』や『Thriller』以降のイメージからさかのぼって聴くと非常に興味深い。ここには、後のMichaelに通じるリズム感、フレーズの切れ味、感情の置き方、声の強い個性がすでにある。同時に、彼はまだ兄弟グループの一員であり、Jermaineのリード・ヴォーカルや兄弟のコーラスも重要な役割を果たしている。『Third Album』は、Michael Jacksonという個人の原点であると同時に、The Jackson 5という家族グループの魅力を捉えたアルバムである。

全曲レビュー

1. I’ll Be There

「I’ll Be There」は、『Third Album』の中心に位置するだけでなく、The Jackson 5のキャリア全体を代表する名バラードである。前作までの彼らは「I Want You Back」「ABC」「The Love You Save」のような、弾けるリズムと子どもらしいエネルギーを持つアップテンポ曲によって人気を確立していた。しかしこの曲では、そのイメージを一段広げ、深い愛と献身を歌うバラード・グループとしての可能性を示した。

歌詞では、相手が苦しんでいる時、孤独な時、必要としている時には必ずそばにいるという、無条件の支えが歌われる。ここでの愛は、軽い恋愛感情ではなく、保護、友情、忠誠、誓いに近い。まだ少年であるMichael Jacksonがこの内容を歌うことで、楽曲には独特の純粋さと切実さが生まれている。大人の恋愛バラードとは異なり、彼の声には無垢な信頼感がある。

サウンドは、モータウンらしい洗練を持ちながらも、過度に装飾されすぎていない。優しいギター、穏やかなリズム、温かいコーラスが、MichaelとJermaineの声を支える。特にMichaelのリード・ヴォーカルは非常に印象的で、フレーズの終わりにわずかな震えや感情の揺れを込めることで、歌詞の誠実さを強く伝えている。

「I’ll Be There」は、The Jackson 5が単なるバブルガム・ソウルのグループではないことを証明した楽曲である。さらに、後のMichael Jacksonが「She’s Out of My Life」「Human Nature」「Will You Be There」などで見せる、壊れやすさと献身を含んだバラード表現の原型もここにある。1970年のポップ・ソウルを代表する名曲であり、本作の最大の到達点である。

2. Ready or Not Here I Come (Can’t Hide from Love)

Ready or Not Here I Come (Can’t Hide from Love)」は、The Delfonicsの楽曲として知られるフィリー・ソウルの名曲をThe Jackson 5が取り上げたカバーである。原曲の滑らかで大人びたソウル感を、The Jackson 5はより明るく、若々しいポップ・ソウルとして再解釈している。

タイトルの「Ready or Not Here I Come」は、子どもの遊びで使われる「もういいかい、行くよ」という言葉を連想させる。恋愛をかくれんぼのように描き、愛からは逃げられないというテーマを軽快に表現している。The Jackson 5が歌うことで、この遊びのニュアンスがより自然に響き、子どもらしい無邪気さと恋愛の追いかける感覚が重なる。

サウンドは、原曲のソフトなフィリー・ソウルのムードを保ちながら、モータウンらしいリズムの明快さとコーラスの活気が加えられている。Michaelの声は、楽曲に軽やかな推進力を与え、兄弟のコーラスはフックを明確に支える。原曲よりも若いエネルギーが強く、The Jackson 5らしい親しみやすさがある。

この曲は、本作におけるカバー曲の中でも、彼らの個性が比較的自然に出ている。既存のソウル・クラシックを、子どもグループの魅力とモータウンのポップ感覚で再構成する。その方法がよく分かる楽曲である。

3. Oh How Happy

「Oh How Happy」は、もともとThe Shades of Blueのヒットとして知られる楽曲であり、The Jackson 5版では、幸福感に満ちたポップ・ソウルとして再生されている。タイトル通り、愛し合う二人がどれほど幸せかを歌う楽曲であり、アルバムの中でも明るく温かい雰囲気を持つ。

歌詞は非常にシンプルで、愛する人と結ばれる喜びを素直に表現している。複雑な心理やドラマよりも、愛がもたらす幸福そのものが中心である。The Jackson 5の若々しい声で歌われることで、この幸福感は非常にまっすぐに伝わる。大人のソウル・グループが歌う場合の甘さとは異なり、ここでは家族グループならではの清潔感と明るさがある。

サウンドは軽快で、コーラスが非常に重要な役割を果たしている。兄弟たちの声が重なることで、曲は単なるリード・ヴォーカルの歌ではなく、グループ全体の祝福のように響く。モータウンのアレンジは、楽曲のポップ性を前面に出し、幅広いリスナーに届く形に整えている。

「Oh How Happy」は、『Third Album』の中で大きな劇的展開を担う曲ではないが、作品全体に柔らかな幸福感を与える重要な曲である。The Jackson 5が、アップテンポのダンス曲や切ないバラードだけでなく、こうした素直な愛の歌でも魅力を発揮できることを示している。

4. Bridge Over Troubled Water

「Bridge Over Troubled Water」は、Simon & Garfunkelの名曲をThe Jackson 5がカバーした楽曲である。原曲は1970年を代表するバラードのひとつであり、困難な時に相手を支える存在になるというテーマを持つ。The Jackson 5がこの曲を取り上げたことは、「I’ll Be There」と同様に、彼らが支えと献身を歌えるグループであることを強調している。

原曲がフォーク/ポップの文脈で、静謐かつ荘厳に展開するのに対し、The Jackson 5版はソウル・バラードとして再構成されている。Michaelの声には若さがありながら、非常に強い感情表現がある。歌詞の「困難な水の上に橋を架ける」という比喩は、彼の声を通じて、より直接的な励ましとして響く。

この曲を少年のMichaelが歌うことには、独特の効果がある。大人が人生経験をもとに相手を支えるというより、純粋な善意と優しさが歌われているように感じられる。そのため、原曲の持つ宗教的・精神的な荘厳さとは異なる、無垢な救済感が生まれている。

アレンジは、原曲のスケールを尊重しながらも、モータウン的なコーラスとソウルの響きを加えている。The Jackson 5版は原曲を超えるというより、異なる世代と文脈からこの名曲を再解釈したものといえる。本作の中で、彼らのバラード表現の幅を示す重要なカバーである。

5. Can I See You in the Morning

「Can I See You in the Morning」は、穏やかでロマンティックなポップ・ソウル・ナンバーである。タイトルは「朝に君に会えるだろうか」という意味を持ち、恋愛における期待、約束、そして少しの不安を含んでいる。The Jackson 5のアルバムの中でも、柔らかく親密な表情を持つ楽曲である。

歌詞では、夜の終わりや別れ際に、翌朝もまた会えるのかを問いかける心情が描かれる。これは単なる予定の確認ではなく、関係が続くことへの願いである。朝に会えるということは、一時的な感情ではなく、翌日にも続く愛を意味している。少年の声で歌われることで、この願いは非常に純粋に響く。

サウンドは、派手なファンクや強いダンス・ビートではなく、メロディとコーラスを中心にした柔らかな構成である。Michaelのリード・ヴォーカルは、言葉を丁寧に置き、曲の持つ少し切ないムードを表現している。兄弟のコーラスも控えめに支え、曲全体を温かく包んでいる。

「Can I See You in the Morning」は、アルバム内では大きなヒット曲ではないが、The Jackson 5の繊細なポップ・ソウル表現を示す楽曲である。若さの中にある不安や期待を、明るすぎず、重すぎずに描いている点が魅力である。

6. Goin’ Back to Indiana

「Goin’ Back to Indiana」は、The Jackson 5の出身地であるインディアナ州への回帰を歌う楽曲であり、彼らの自伝的イメージと強く結びついた曲である。タイトルが示す通り、成功後も故郷へ戻るというテーマを持ち、グループの家族性やルーツを強調している。

サウンドは非常に活気があり、ロックンロール的な勢いとモータウン・ソウルの明快さが混ざっている。リズムは力強く、ステージでのパフォーマンスを想像させるようなエネルギーがある。The Jackson 5の若さと躍動感がよく表れた楽曲である。

歌詞では、故郷インディアナへの愛着、成功しても忘れないルーツ、家族や地域への誇りが描かれる。The Jackson 5はモータウンによって全国的・国際的なスターへと売り出されたが、その物語の中で「ゲーリー出身の兄弟」というイメージは重要だった。この曲は、その物語を音楽化している。

「Goin’ Back to Indiana」は、後にテレビ・スペシャルのタイトルにも用いられ、The Jackson 5の初期イメージを象徴する楽曲のひとつとなった。華やかなスターでありながら、故郷を忘れない家族グループ。その親しみやすい物語が、この曲には込められている。

7. How Funky Is Your Chicken

「How Funky Is Your Chicken」は、アルバムの中でも特にコミカルでファンキーな楽曲である。タイトルからして遊び心に満ちており、ダンス、掛け声、ファンクのリズムを子どもグループらしい楽しい形で表現している。

1970年前後のソウル/R&Bでは、James BrownやSly & The Family Stoneの影響により、ファンクのリズムが強い存在感を持つようになっていた。The Jackson 5は本格的なファンク・バンドではないが、この曲ではその時代のリズム感を、モータウンらしいポップで親しみやすい形に取り入れている。

歌詞は深刻な内容ではなく、「君のチキンはどれだけファンキーか」という奇妙で楽しいフレーズを中心に、ダンスやノリの楽しさを前面に出している。チキンという言葉は、当時のダンスやファンキーな動きを連想させる遊びの記号として機能している。The Jackson 5の若さとステージ上の躍動感に非常によく合う。

サウンドは、ベースとドラムのグルーヴが強く、コール・アンド・レスポンス的な要素もある。Michaelの声は快活で、楽曲にコミカルな生命力を与える。「How Funky Is Your Chicken」は、アルバムに軽さとファンク感を加える曲であり、The Jackson 5のパフォーマンス・グループとしての魅力を示している。

8. Mama’s Pearl

「Mama’s Pearl」は、The Jackson 5の初期代表曲のひとつであり、後にシングルとしても大きな成功を収めた楽曲である。『Third Album』の中でも特に完成度の高いポップ・ソウル・ナンバーで、弾むリズム、キャッチーなメロディ、Michaelのリード・ヴォーカルが見事に組み合わされている。

タイトルの「Mama’s Pearl」は、母親の大切な宝物のような女性を意味する。歌詞では、恋の対象となる少女が母親に大事にされている存在として描かれ、語り手はその少女に近づこうとする。ここには、初期The Jackson 5らしい少年恋愛のテーマがある。恋愛感情はあるが、まだどこか無邪気で、家族や大人の視線の中に置かれている。

サウンドは非常にモータウン的である。リズムは明快で、ベースは弾み、コーラスはフックを強く支える。Michaelの声はリズムに鋭く乗り、曲全体を引っ張る。彼の歌には、子どもらしい明るさと、すでにプロのソウル・シンガーとしての正確さが同居している。

「Mama’s Pearl」は、「I Want You Back」や「ABC」の延長線上にある、The Jackson 5らしいポップ・ソウルの完成形のひとつである。踊れる楽しさ、恋の高揚、家族的な親しみやすさが一体になっており、本作の中でも最も即効性のある楽曲のひとつである。

9. Reach In

「Reach In」は、アルバムの中でややメッセージ性を持つ楽曲であり、内面に手を伸ばすこと、自分の中にある可能性や愛を見つけることをテーマにしている。タイトルの「Reach In」は、外へ手を伸ばすのではなく、内側へ向かう動作を示しており、ポップ・ソウルの中に自己発見的な要素を含んでいる。

サウンドは、モータウンらしい明快さを持ちながら、やや落ち着いた雰囲気もある。強烈なダンス曲ではないが、リズムはしっかりしており、コーラスが楽曲を支える。The Jackson 5の声の重なりが、メッセージを柔らかく伝える役割を果たしている。

歌詞では、外部の評価や状況に左右されるのではなく、自分の内側を見つめることが促される。1970年前後のソウルには、自己肯定や精神的な成長を扱う楽曲も増えていくが、この曲はそれをThe Jackson 5らしいポップな形で提示している。深刻な社会批評ではなく、前向きな励ましとして表現されている点が特徴である。

「Reach In」は、本作において派手な代表曲ではないが、アルバムの感情的な幅を広げている。恋愛やダンスだけでなく、自分自身を見つめる視点も含まれていることが分かる楽曲である。

10. The Love I Saw in You Was Just a Mirage

「The Love I Saw in You Was Just a Mirage」は、Smokey Robinson & The Miraclesの楽曲をカバーしたものであり、The Jackson 5がモータウンの先輩たちのレパートリーを受け継いでいることを示す一曲である。タイトルは「君の中に見た愛は、ただの蜃気楼だった」という意味で、失恋と幻想の崩壊をテーマにしている。

歌詞では、相手の愛を信じていたが、それは実際には存在しなかったという痛みが描かれる。蜃気楼という比喩は非常に印象的で、遠くからは本物に見えても、近づくと消えてしまう愛を示している。初期The Jackson 5のレパートリーの中では、やや大人びた失恋のテーマである。

Michaelの声でこの曲が歌われると、原曲の大人の悲しみとは異なる響きが生まれる。彼の声にはまだ少年らしい透明感があるが、感情表現は非常に的確である。失望や切なさを過度に重くせず、ポップ・ソウルとして聴きやすく表現している。

サウンドは、モータウンのクラシックなソウル感を保ちつつ、The Jackson 5らしい若いコーラスと明るいアレンジが加わっている。この曲は、モータウンの伝統とThe Jackson 5の新世代感覚が交差する楽曲である。彼らが単に新しい子どもスターではなく、モータウンの楽曲遺産を受け継ぐ存在であったことを示している。

11. Darling Dear

アルバムの最後を飾る「Darling Dear」は、The Jackson 5の初期作品の中でも非常に洗練されたポップ・ソウル・ナンバーである。タイトルは親愛なる相手への呼びかけであり、楽曲全体には甘さ、優しさ、リズムの心地よさがある。終曲として、アルバムを明るく柔らかく締めくくる役割を果たしている。

サウンドは非常に軽快で、ベースラインの動きが印象的である。モータウンらしいリズムの明快さに加え、少しファンキーな感覚もあり、後の70年代ソウルへ向かう空気が感じられる。コーラスは厚く、Michaelのリードを兄弟たちが鮮やかに支える。

歌詞では、相手への愛情が素直に歌われる。大きなドラマや深い悲しみではなく、親密で温かい恋愛感情が中心である。Michaelの声は、軽やかにメロディを運びながら、言葉に明るい表情を与えている。

「Darling Dear」は、The Jackson 5のポップ・ソウルの完成度を示す隠れた名曲として評価されることも多い。シングル曲ほどの派手さはないが、グルーヴ、メロディ、コーラス、ヴォーカルのバランスが非常に良い。アルバムを締めくくるにふさわしい、洗練された楽曲である。

総評

『Third Album』は、The Jackson 5がモータウンの新世代スターとして確固たる地位を築いた時期の重要作である。前2作で示された弾けるようなポップ・ソウルの魅力を継承しながら、本作ではバラード、カバー、ファンク風ナンバー、故郷を歌う楽曲など、より幅広い表現が試みられている。特に「I’ll Be There」の存在によって、The Jackson 5は単なる元気な子どもグループではなく、深い感情を伝えるヴォーカル・グループとしての評価を得た。

本作の中心にあるのは、Michael Jacksonの驚異的な歌唱力である。彼は当時まだ少年でありながら、音程、リズム、感情の表現、フレーズの切り方において、すでに非常に高い完成度を持っていた。「I’ll Be There」では献身と優しさを表現し、「Mama’s Pearl」では軽快な恋の高揚を歌い、「Bridge Over Troubled Water」では名曲の重みを自分の声で受け止めている。後のソロ期のMichael Jacksonを知る耳で聴くと、本作にはその原型が随所にある。

同時に、本作はThe Jackson 5というグループの作品でもある。Jermaineの声、兄弟たちのコーラス、ステージを想像させるリズム感、家族グループとしての一体感が、楽曲に温かさを与えている。Michaelの才能が突出していることは明らかだが、彼の声が輝く背景には、兄弟たちのコーラスとグループとしてのフォーマットがある。The Jackson 5の魅力は、個人の天才性と家族的な集合感が同時に存在する点にある。

モータウンの制作システムも、本作の完成度を支えている。The Corporationをはじめとする作家・プロデューサー陣は、The Jackson 5の若さを最大限に活かしながら、幅広い市場に届く楽曲を用意した。明快なメロディ、覚えやすいフック、タイトなリズム、洗練されたアレンジは、モータウンが長年築いてきたポップ・ソウルのノウハウの結晶である。本作は、モータウンが1970年代初頭においてもなお、ポップ市場で強い影響力を持っていたことを示している。

ただし、本作は完全に均質なアルバムというより、ヒット曲、カバー曲、アルバム曲が混在する、当時のモータウンらしい構成を持つ。現代的な意味での一貫したアルバム・コンセプトは強くない。しかし、その中にThe Jackson 5の魅力が多面的に詰め込まれている。アップテンポの楽しさ、バラードの感動、カバーの解釈、ファンクの遊び心、故郷への愛情。それらが一枚の中で軽やかに並んでいる。

歌詞面では、恋愛、献身、幸福、失恋、自己発見、故郷への帰属が扱われる。The Jackson 5の初期楽曲は、少年少女の恋愛をテーマにしたものが多いが、本作では「I’ll Be There」や「Bridge Over Troubled Water」のように、より大きな愛や支えを歌う曲も重要である。この広がりによって、The Jackson 5は子ども向けのポップ・グループを超え、幅広い世代に届く存在となった。

『Third Album』は、1970年のソウル/ポップの中で、重い社会性や実験性よりも、明るい大衆性と感情の普遍性を担った作品である。同時代のMarvin GayeやSly & The Family Stoneがより社会的・革新的な方向へ向かっていたのに対し、The Jackson 5はモータウンらしいポップの力によって、人々に愛、楽しさ、希望を届けた。これは軽い音楽という意味ではない。むしろ、広いリスナーに届くために高度に設計されたポップ・ソウルである。

日本のリスナーにとって本作は、Michael Jacksonの原点を知るために非常に重要なアルバムである。『Off the Wall』や『Thriller』以降の洗練されたポップ・スター像とは異なり、ここには家族グループの中で輝く若きMichaelがいる。その声はまだ幼いが、すでに聴き手の感情を直接動かす力を持っている。特に「I’ll Be There」は、彼が後に世界中のリスナーに届く存在になることを予告するような楽曲である。

『Third Album』は、The Jackson 5の初期黄金期を代表する作品であり、モータウン・ポップ・ソウルの魅力を凝縮したアルバムである。バラードの深み、アップテンポの楽しさ、カバー曲の解釈力、兄弟グループとしての一体感、そしてMichael Jacksonの早熟な才能。そのすべてがここにある。1970年代初頭のポップ・ソウルを理解するうえで欠かせない一枚である。

おすすめアルバム

1. Diana Ross Presents The Jackson 5 by The Jackson 5

The Jackson 5のモータウン・デビュー作であり、「I Want You Back」を収録した歴史的アルバム。グループの若さ、エネルギー、Michael Jacksonの圧倒的な声の魅力が最初に大きく提示された作品である。『Third Album』の前提となる初期スタイルを理解するために欠かせない。

2. ABC by The Jackson 5

1970年発表の2作目で、「ABC」「The Love You Save」などを収録した代表作。アップテンポのバブルガム・ソウル路線が最も鮮やかに表れており、『Third Album』と合わせて聴くことで、The Jackson 5の初期黄金期の勢いを把握できる。

3. Maybe Tomorrow by The Jackson 5

1971年発表のアルバムで、初期の勢いを維持しながら、よりメロウなソウルやバラードも含む作品である。Michael Jacksonの歌唱表現がさらに深まり、グループが単なる子どもスターから成長していく過程を確認できる。

4. Going Back to Indiana by The Jackson 5

テレビ・スペシャルと関連するライヴ/サウンドトラック的作品で、The Jackson 5のステージ・パフォーマンスの熱気を知ることができる。『Third Album』収録の「Goin’ Back to Indiana」とも関連が深く、彼らの故郷イメージとライヴ・グループとしての魅力を理解できる。

5. Got to Be There by Michael Jackson

1972年発表のMichael Jacksonのソロ・デビュー作。The Jackson 5の中で際立っていたMichaelの歌唱力が、ソロ・アーティストとしてどのように展開されていくかを示す重要作である。『Third Album』でのバラード表現が、ソロ初期の楽曲へつながっていく流れを確認できる。

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