発売日: 2000年6月20日
ジャンル: ガレージロック、ブルースロック、フォークロック
The White StripesのセカンドアルバムDe Stijlは、ジャック・ホワイトとメグ・ホワイトが持つ音楽的センスとアートへの情熱が詰まった一枚である。タイトルはオランダの美術運動「デ・ステイル」（De Stijl）から取られており、ミニマルでシンプルながらも力強い表現を目指したコンセプトが反映されている。
前作の荒々しいローファイサウンドを引き継ぎつつも、フォーク、ブルース、さらにはアコースティックな要素を取り入れることで、より多面的なサウンドを展開。ジャックの歌詞は人間関係や個人的なテーマに焦点を当て、ストーリーテリングの要素が際立つ。アルバム全体に流れる緩やかなブルース感と鋭いガレージロックのエネルギーが見事に融合した作品だ。
トラック解説
1. You’re Pretty Good Looking (For a Girl)
軽快なギターフレーズが印象的なオープニングトラック。短くシンプルながらもキャッチーで、ジャックのストレートな歌詞が耳に残る。アルバム全体のポップな側面を予感させる一曲。
2. Hello Operator
ブルースロックの影響が色濃いトラック。メグの重いドラムとジャックの鋭いギタープレイが絡み合い、エネルギーに満ちた楽曲に仕上がっている。ライブでも人気の高い定番曲。
3. Little Bird
フォークとブルースが融合した楽曲で、アコースティックギターの温かみが際立つ。歌詞は自由を求める気持ちを描いており、シンプルなアレンジがジャックのボーカルを引き立てている。
4. Apple Blossom
ピアノを取り入れた柔らかいバラード。シンプルな構成ながらも、歌詞には優しさと包容力が込められている。後にタランティーノの映画『ヘイトフル・エイト』で使用されるなど、バンドの代表曲の一つ。
5. I’m Bound to Pack It Up
アコースティックギターを基調にしたメロディックなフォークソング。ジャックの感傷的な歌詞が、アルバム全体の中でもひときわ感情的な深みを与えている。
6. Death Letter
デルタブルースの巨匠サン・ハウスの楽曲をカバーしたトラック。ジャックの激しいギタープレイとエモーショナルなボーカルが、原曲に新たな命を吹き込んでいる。
7. Sister, Do You Know My Name?
穏やかなリズムと控えめなギターが特徴のトラック。歌詞には懐かしさやノスタルジーが込められており、アルバム全体の中で緩やかなひとときを提供している。
8. Truth Doesn’t Make a Noise
ピアノとギターが絡み合う独特のサウンドが印象的な楽曲。歌詞には人間関係の複雑さが描かれており、メロディとリリックが深い感情を喚起する。
9. A Boy’s Best Friend
暗いトーンを持つトラックで、歌詞には孤独感や喪失感が込められている。アコースティックギターがメインのミニマルなアレンジが、歌詞のテーマを際立たせている。
10. Let’s Build a Home
再びエネルギッシュなギターリフが炸裂するアップテンポなトラック。短いながらも、ジャックのギターが楽曲をダイナミックに彩っている。
11. Jumble, Jumble
混沌としたエネルギーを放つロックナンバー。スピード感のある展開とジャックの荒々しいボーカルが、アルバム全体にスパイスを加えている。
12. Why Can’t You Be Nicer to Me?
メランコリックな雰囲気が漂う一曲で、歌詞には人間関係の摩擦が反映されている。ジャックのギターとメグのシンプルなドラムが、楽曲の感情的なテーマを際立たせる。
13. Your Southern Can Is Mine
ブラインド・ウィリー・マクテルのカバーで、アルバムの締めくくりにふさわしい楽しいブルーストラック。リズミカルなギターとジャックの軽やかなボーカルが、アルバムを心地よく締めくくる。
アルバム総評
De Stijlは、The White Stripesがブルース、ガレージロック、フォークといった多彩な要素を取り入れながら、シンプルな二人組編成の限界を超える豊かなサウンドを実現したアルバムである。ミニマリズムと感情的な深みを両立させた楽曲は、デビュー作から一歩進んだ成熟を感じさせる。
特に「Hello Operator」や「Apple Blossom」、「Death Letter」のような楽曲は、彼らの音楽的な幅広さを象徴する傑作だ。荒々しさと繊細さが共存する本作は、The White Stripesのキャリアにおける重要なステップであり、ガレージロックファンにとって必聴の一枚だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
The Kills – Midnight Boom
シンプルな編成とエッジの効いたサウンドが、The White Stripesのスタイルに近い。
The Black Keys – Thickfreakness
ブルースロックとガレージサウンドを融合させたアルバムで、De Stijlのファンにおすすめ。
Led Zeppelin – Led Zeppelin III
アコースティックとブルースを組み合わせたスタイルが、De Stijlの雰囲気に通じる。
Jack White – Blunderbuss
ジャック・ホワイトのソロアルバムで、De Stijlのフォークやブルースの要素をさらに深めた作品。
Son House – The Legendary Son House: Father of Folk Blues
The White Stripesが強く影響を受けたブルースの巨匠によるアルバムで、「Death Letter」のオリジナルも収録。
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