発売日: 2011年1月18日
ジャンル: インディーポップ / サーフポップ / ローファイ
Cape Doryは、夫婦デュオTennisのデビューアルバムであり、航海をテーマにしたユニークでノスタルジックな作品だ。このアルバムは、メンバーのAlaina Moore（ボーカル）とPatrick Riley（ギター）が、大学卒業後に行った8カ月間のセーリング旅からインスピレーションを得て制作された。彼らが旅の中で感じた自由、喜び、そして海への憧れが、アルバム全体を通じて美しく表現されている。
サーフポップや60年代のガールグループから影響を受けたローファイなサウンドと、Alainaの透明感のあるボーカルが特徴。どの楽曲もシンプルでキャッチーながらも、甘酸っぱい郷愁と冒険のスリルが感じられる。海風や波の音を思わせる軽やかなメロディは、リスナーをまるで船のデッキの上へ誘うようだ。
トラック解説
1. Take Me Somewhere
アルバムの幕開けを飾る楽曲で、セーリング旅の興奮をそのまま音楽に閉じ込めたような一曲。軽快なリズムとAlainaの甘いボーカルが、冒険の始まりを予感させる。
2. Long Boat Pass
ノスタルジックな雰囲気が漂うミッドテンポのトラック。シンプルなギターリフと優しいメロディが、海を渡るゆったりとした時間を想起させる。
3. Cape Dory
アルバムのタイトル曲で、旅の喜びとロマンチックなムードを象徴する一曲。波の音のように揺れ動くメロディが、セーリングの自由な感覚を完璧に伝えている。
4. Marathon
シングルとしてリリースされた代表曲。キャッチーなメロディと軽やかなリズムが印象的で、太陽の下で過ごす幸せな時間を感じさせるポップな楽曲だ。
5. Bimini Bay
穏やかなアレンジとリラックスしたムードが特徴の楽曲で、リスナーをビーチの景色へと誘う。シンプルながらも豊かな情感を持つ一曲。
6. South Carolina
アルバムの中でも特にメランコリックな雰囲気を持つ楽曲。旅の途中で感じる一瞬の孤独や懐かしさが、詩的な歌詞とともに描かれる。
7. Pigeon
アップテンポで軽快な楽曲。AlainaのボーカルとPatrickのギターワークが絡み合い、爽やかな印象を与える。
8. Seafarer
セーリング旅の中心にいるような感覚を与える楽曲で、波に揺れるリズムとドリーミーなメロディが特徴的。アルバムの中でも特に幻想的だ。
9. Baltimore
軽快でありながらもどこか切なさを含む楽曲。旅の終わりを予感させるようなメロディと歌詞が心に残る。
10. Waterbirds
アルバムのラストを飾る、静かで感動的な楽曲。旅の終わりと新たな始まりを象徴するような内容で、余韻を残すエンディングとなっている。
アルバム総評
Cape Doryは、Tennisがセーリング旅の経験を通じて生み出した、ユニークでノスタルジックな作品だ。60年代のガールグループやサーフポップの影響を感じさせつつも、ローファイな質感と現代的な感覚が新鮮な印象を与える。アルバム全体を通して、一貫したテーマとムードがあり、まるで日記のように旅の思い出を音楽で綴っている。
特に「Marathon」や「Cape Dory」といった楽曲は、Tennisの代表作として広く知られており、彼らの特徴的なサウンドを象徴する曲だ。本作は、リスナーをセーリングの旅へと誘い、自由で夢見るようなひとときを提供する名作である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Crazy for You by Best Coast
ローファイなサウンドとノスタルジックな雰囲気が共通するアルバムで、夏の気分を楽しみたい人にぴったり。
Days Are Gone by Haim
ドリーミーでキャッチーなポップソングが多く、Tennisのファンにも響く作品。
Surfer Rosa by Pixies
サーフロックの要素と独特のエネルギーが、Tennisのサウンドと共通する部分を持つ。
Born to Die by Lana Del Rey
ノスタルジックでムーディーな雰囲気があり、Tennisの叙情的なサウンドが好きなリスナーにおすすめ。
Dive by Tycho
リラックスしたムードとドリーミーなサウンドスケープが、Cape Doryの持つ穏やかな雰囲気に通じる。
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