Time by Pink Floyd（1973年）楽曲解説

ロック

2024.11.18 2024.11.17

1. 歌詞の概要
2. 歌詞のバックグラウンド
3. 歌詞の抜粋と和訳
- 英語の歌詞抜粋と和訳
4. 歌詞の考察
5. この曲が好きな人におすすめの曲
6. 録音とプロダクションのユニークさ

1. 歌詞の概要

“Time”は、1973年にリリースされたピンク・フロイドのアルバム『The Dark Side of the Moon』に収録されている楽曲です。この曲は、時間の経過とその取り返しのつかない本質をテーマにしています。若い頃の無関心や怠惰が、後々になって取り返しのつかない後悔を生むことを警告しており、リスナーに自己省察を促します。人生の貴重さや、時間を無駄にしないことの重要性が力強く訴えられています。

2. 歌詞のバックグラウンド

“Time”の作詞はピンク・フロイドのメンバー全員の共同作業で行われました。この曲は、アルバム全体を通じて描かれる「人間の存在とその困難」に関するテーマの一部として作られています。

アルバム『The Dark Side of the Moon』は、バンドのキャリアの中で最大の商業的成功を収めた作品であり、音楽史に残る名盤とされています。
「時間」というテーマは、作詞を手掛けたロジャー・ウォーターズが20代後半に差し掛かり、自身の人生を振り返った時に感じた感情に基づいています。
曲中で使用される時計の音や鐘の音は、録音技術者アラン・パーソンズによって収録され、象徴的なイントロとして知られています。

また、デヴィッド・ギルモアのエモーショナルなボーカルとギターソロが、この曲をピンク・フロイドの中でも特に記憶に残るものにしています。

3. 歌詞の抜粋と和訳

英語の歌詞抜粋と和訳

英語:

Ticking away the moments that make up a dull day,
Fritter and waste the hours in an off-hand way.

日本語訳:
つまらない一日を刻む瞬間たち、
何気なく時間を無駄にしている。

英語:

You are young and life is long and there is time to kill today,
And then one day you find ten years have got behind you.

日本語訳:
君は若く、人生は長い。そして今日を無駄にする時間もある。
しかしある日、気づけば10年が後ろに過ぎ去っている。

英語:

Hanging on in quiet desperation is the English way.
The time is gone, the song is over,
Thought I’d something more to say.

日本語訳:
静かな絶望の中で耐え忍ぶのがイギリスのやり方。
時間は過ぎ、歌は終わり、
もっと何か言いたいことがあったと思ったのに。

歌詞全体を通じて、時間の無情な流れと、若さを無駄にした後の後悔が描かれています。

4. 歌詞の考察

“Time”は、リスナーに「自分の時間をどう使うべきか」という根源的な問いを投げかけます。最初の節で描かれる日常の無気力さは、若い頃に特有の無自覚な時間の浪費を表しています。その後、歳月が過ぎ、取り返しがつかないと気づく瞬間が訪れる様子が描写されています。

曲のクライマックスであるギルモアのギターソロは、歌詞で表現された感情を音楽的に具現化しており、時間に押し流される悲しみや焦燥感が込められています。ロジャー・ウォーターズが言及する「静かな絶望」（quiet desperation）は、特にイギリス文化に根付いた感覚であり、人生を受け入れることへの葛藤を象徴しています。

この曲は、聴く者に時間の有限性を深く認識させ、日々の選択や行動に対する責任を再確認させるものです。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

“Us and Them” by Pink Floyd
同じアルバムに収録され、人生の矛盾や人間関係の葛藤をテーマにしています。
“Stairway to Heaven” by Led Zeppelin
人生の旅路とその選択について詩的に描かれた楽曲で、壮大な構成が特徴です。
“Bohemian Rhapsody” by Queen
時間や運命についての叙事詩的なテーマが描かれており、感情的な展開が共通点です。
“Breathe (In the Air)” by Pink Floyd
『The Dark Side of the Moon』の冒頭を飾る曲で、「時間」と共にアルバムのテーマを展開しています。