発売日: 2002年8月27日
ジャンル: オルタナティヴ・ロック、ストーナーロック、ハードロック
2002年にリリースされたQueens of the Stone Ageの3作目『Songs for the Deaf』は、バンドのキャリアを決定づけるマスターピースである。このアルバムは、ストーナーロックというジャンルを世界的な注目の的に押し上げ、バンドの代表作として多くのリスナーに愛されている。ジョシュ・ホーミが牽引するこのアルバムは、メンバー間の化学反応が極限まで高まった結果生まれたものだ。
特にドラマーとして参加したデイヴ・グロール(Nirvana、Foo Fighters)の存在感は圧倒的で、パワフルで精密なドラミングが全編を通じてアルバムの骨格を支えている。さらに、マーク・ラネガン(Screaming Trees)の深みのあるボーカルと、ホーミのメロディセンスが融合し、ストーナーロックを超えた普遍的な魅力を生み出している。
『Songs for the Deaf』は、架空のラジオ局を巡るロードトリップをコンセプトにしており、ラジオDJの音声やチューニングのエフェクトが楽曲の間に挟まれている。このユニークな構成がアルバム全体を一つのストーリーに仕立て上げ、聴く者を旅へと誘う。ヘヴィでありながらメロディアスな楽曲群は、エネルギーと感情のダイナミクスに満ちており、何度聴いても新たな発見がある。
- トラックごとの解説
- 1. You Think I Ain’t Worth a Dollar, But I Feel Like a Millionaire
- 2. No One Knows
- 3. First It Giveth
- 4. A Song for the Dead
- 5. The Sky Is Fallin’
- 6. Six Shooter
- 7. Hangin’ Tree
- 8. Go with the Flow
- 9. Gonna Leave You
- 10. Do It Again
- 11. God Is in the Radio
- 12. Another Love Song
- 13. A Song for the Deaf
- 14. Mosquito Song
- アルバム総評
- このアルバムが好きな人におすすめの5枚
トラックごとの解説
1. You Think I Ain’t Worth a Dollar, But I Feel Like a Millionaire
アルバムの幕開けを飾るこの楽曲は、ニック・オリヴェリがリードボーカルを務める攻撃的なトラック。荒々しいギターリフとグロールの爆発的なドラミングが、即座にリスナーを引き込む。
2. No One Knows
アルバムの代表曲であり、QOTSAの知名度を一気に押し上げた名曲。ホーミの特徴的なファズギターリフとメロディアスなボーカルが絶妙に絡み合う。歌詞は曖昧で謎めいており、曲全体に夢のような浮遊感をもたらしている。
3. First It Giveth
シンプルながら力強いリズムが特徴の楽曲。歌詞は、創作のインスピレーションがもたらす喜びと、それに伴う自己破壊的な側面について描いている。特にサビのパワフルな展開が印象的。
4. A Song for the Dead
マーク・ラネガンがリードボーカルを務めるヘヴィなトラック。グロールのドラミングが際立つこの楽曲は、アルバムの中でも特に暗く重厚な一曲。終盤に向かうドラマティックな構成が聴き応え抜群だ。
5. The Sky Is Fallin’
夢幻的な雰囲気とヘヴィなサウンドが融合した楽曲。浮遊感のあるギターリフとホーミのボーカルが、壮大なサウンドスケープを作り出している。
6. Six Shooter
ニック・オリヴェリが叫び声のようなボーカルを披露する、パンク色の強いトラック。わずか1分半という短さながら、激烈なエネルギーが詰め込まれている。
7. Hangin’ Tree
ラネガンの低音ボーカルが楽曲全体を支配する、不穏でミステリアスな一曲。ギターのシンプルなフレーズが緊張感を高め、アルバムの中でも異色の存在感を放つ。
8. Go with the Flow
ノスタルジックでありながらエネルギッシュなロックナンバー。ホーミの歌声が軽快なリズムと絶妙にマッチし、アルバムの中で最もポップな要素を持つ楽曲だ。
9. Gonna Leave You
ニック・オリヴェリの柔らかなボーカルが意外性を生むトラック。ミディアムテンポで進むこの曲は、アルバムの中で一息つけるような心地よい存在だ。
10. Do It Again
荒々しいギターリフとアップテンポなビートが特徴の楽曲。歌詞には中毒的な行動への皮肉が込められており、聴き手を挑発するようなエネルギーに満ちている。
11. God Is in the Radio
ブルージーでグルーヴィーな楽曲。ラネガンのボーカルが再び登場し、深みのある音像を作り上げている。途中のギターソロが特に印象的で、アルバムの中でも異彩を放つ。
12. Another Love Song
メロウでメロディアスなトラック。軽快なテンポと柔らかいコーラスが心地よい。歌詞には皮肉が込められており、甘さだけではない奥深さを感じさせる。
13. A Song for the Deaf
タイトル曲としてアルバム全体を象徴する大作。変則的なリズムと重厚なギターサウンドが圧倒的な迫力を生む。ラネガンとホーミが交互にボーカルを取る構成も興味深い。
14. Mosquito Song
アコースティックギターを基調とした異色の楽曲で、アルバムのフィナーレを飾る。ホーンやストリングスが加わり、ストーナーロックの枠を超えた壮大な音楽作品として締めくくられる。
アルバム総評
『Songs for the Deaf』は、Queens of the Stone Ageがストーナーロックの頂点を極めると同時に、新たなロックの地平を切り開いた作品である。重厚なサウンドと独特のメロディ、ダークな歌詞が融合し、リスナーを深く引き込む。このアルバムは単なるロックアルバムではなく、全編を通じて一つの旅を体験するような感覚を味わわせてくれる。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Rated R by Queens of the Stone Age
多様なサウンドと実験的なアプローチが楽しめる前作。『Songs for the Deaf』への進化の過程を感じられる。
Ten by Pearl Jam
ヘヴィで感情的なロックアルバムとして共通点が多く、90年代オルタナティヴロックの名盤。
Master of Reality by Black Sabbath
ストーナーロックのルーツとも言える作品で、ヘヴィなリフとダークなムードが類似している。
In Utero by Nirvana
デイヴ・グロールがドラマーとして参加している点で直接的なつながりがあり、ヘヴィで荒々しいロックが共通している。
Funeral by Arcade Fire
コンセプトアルバムとしてのまとまりがあり、ジャンルは異なるが物語性やアルバム全体の流れを重視するリスナーに響く。
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