- 発売日: 1982年3月22日
- ジャンル: ヘヴィメタル
The Number of the Beastは、Iron Maidenが1982年にリリースした3枚目のスタジオアルバムで、ヘヴィメタル史上最も重要な作品のひとつとして広く評価されている。このアルバムは、ブルース・ディッキンソンがボーカリストとして初参加した作品でもあり、彼のパワフルでドラマチックなボーカルスタイルが、Iron Maidenのサウンドを一気に押し上げた。この作品には、「The Number of the Beast」や「Run to the Hills」などの象徴的な楽曲が収録され、バンドの代名詞となるトラックが多数含まれている。
アルバム全体はスティーヴ・ハリスのエネルギッシュなベースラインとエイドリアン・スミス、デイヴ・マーレイのツインギターの調和が美しく、複雑な構成とメロディの美しさが見事に融合している。また、タイトルや歌詞には宗教的、あるいは悪魔的なイメージが取り入れられ、リリース当時には論争を巻き起こしたものの、その衝撃的なコンセプトと独創的なアートワークはアルバムのインパクトを増幅させた。Iron Maidenのサウンドが成熟し、ヘヴィメタルの象徴としての地位を確立する一枚である。
トラック解説
1. Invaders
アルバムの幕開けを飾る疾走感あふれるトラックで、リフの力強さとスピードが聴き手を圧倒する。テーマはバイキングの侵略で、ブルース・ディッキンソンの力強いボーカルが楽曲に緊迫感を与え、アルバム全体のエネルギーを象徴している。
2. Children of the Damned
ミッドテンポで進行するエモーショナルなトラックで、ディッキンソンのボーカルが持つ繊細さと力強さが融合している。テーマは1964年の映画『Village of the Damned』に基づいており、ダークでメロディアスなギターが印象的である。
3. The Prisoner
テレビドラマ『プリズナーNo.6』からインスピレーションを受けたトラックで、物語性のある歌詞とリズムの変化が楽曲に深みを与えている。リフとボーカルの掛け合いが絶妙で、力強いコーラスがエネルギーを引き立てている。
4. 22 Acacia Avenue
娼婦をテーマにした「Charlotte the Harlot」シリーズの続編で、物語的な要素とヘヴィなリフが特徴的な一曲。エモーショナルなボーカルとギターソロがドラマティックに楽曲を展開させ、聴きごたえのある構成となっている。
5. The Number of the Beast
アルバムのタイトル曲であり、最も象徴的なトラックのひとつ。重厚なイントロとスリリングなリフが不気味な雰囲気を作り上げ、悪魔的なテーマが歌詞に込められている。ディッキンソンのシャウトとパワフルなコーラスが圧巻で、Iron Maidenの代表曲としてヘヴィメタルファンに広く愛されている。
6. Run to the Hills
シングルとしてリリースされたこの曲は、インディアンとヨーロッパ人の戦いをテーマにしており、エネルギッシュでキャッチーなメロディが特徴的。ディッキンソンの高音とリズミカルなギターリフが楽曲を盛り上げ、ライブでも大いに盛り上がる定番曲である。
7. Gangland
デイヴ・マーレイとドラマーのクライヴ・バーによる共作で、スピード感のあるリズムと切れ味鋭いリフが印象的なトラック。ストリートの危険さをテーマにしており、ハードでスリリングなサウンドが疾走感を生み出している。
8. Hallowed Be Thy Name
アルバムのラストを飾る壮大なトラックで、処刑を待つ囚人の心情を歌った楽曲。ゆっくりとしたイントロからスピーディな展開へと移行し、ディッキンソンのボーカルが楽曲のドラマ性をさらに高めている。重厚で複雑なギターソロが聴きどころで、バンドの名曲としても広く知られている。
アルバム総評
The Number of the Beastは、Iron Maidenがヘヴィメタルの頂点へと上り詰めるきっかけとなったアルバムであり、彼らのキャリアを代表する作品である。ブルース・ディッキンソンの加入により、バンドのサウンドはさらにパワフルでダイナミックになり、複雑な楽曲構成やドラマチックなボーカルが多くのファンに強い印象を与えた。メタルの新しい形を提示し、時に物議を醸しつつも強烈な影響を与えた本作は、現在も多くのリスナーに支持され、Iron Maidenの象徴として輝き続けている。
このアルバムは、リフの緻密な構成、エネルギッシュな演奏、そしてストーリー性のある歌詞が一体となり、Iron Maidenの音楽的な進化を感じさせる。名曲ぞろいのThe Number of the Beastは、80年代メタルシーンの象徴であり、ヘヴィメタルファンにとって必聴の一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Piece of Mind by Iron Maiden
The Number of the Beastの次作で、さらに進化したメロディとリフが堪能できる。ブルース・ディッキンソンのボーカルがさらに冴える名作。 - Screaming for Vengeance by Judas Priest
同時期にリリースされた名盤で、エネルギッシュでキャッチーなリフとボーカルが楽しめる。Iron Maidenと同じくメタルの進化を象徴する作品。 - Heaven and Hell by Black Sabbath
Dio加入後の名作で、Iron Maidenと同様にドラマチックでエモーショナルな楽曲が揃っている。 - Holy Diver by Dio
Dioのソロデビューアルバムで、パワフルなリフとボーカルが楽しめる。エネルギッシュなメタルサウンドがIron Maidenファンにも刺さる。 - Ride the Lightning by Metallica
メタルの進化を見せた名作で、スピードとメロディが融合したサウンドが特徴的。ドラマティックな構成がIron Maidenと共通する。
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