- 発売日: 1989年3月6日
- ジャンル: プログレッシブメタル
Dream TheaterのデビューアルバムWhen Dream and Day Uniteは、プログレッシブメタルの先駆けとして重要な作品であり、バンドの音楽的な基盤を築いた一枚である。当時のメンバー構成は、ギターにジョン・ペトルーシ、ベースにジョン・マイアング、キーボードにケヴィン・ムーア、ドラムにマイク・ポートノイ、そしてボーカルにはチャーリー・ドミニシが参加しており、現在のフロントマン、ジェイムズ・ラブリエが加わる前の作品である。
このアルバムでは、早くもDream Theaterの複雑な構成と高度な演奏技術が発揮されており、後のプログレッシブメタルシーンに多大な影響を与えた。ヘヴィでテクニカルなギターリフ、緻密なリズム、そして豊かなキーボードアレンジがアルバム全体に広がっており、ジャンルを超えたサウンドが生み出されている。リリースから数十年経った今でも、その実験的な試みとサウンドの複雑さはリスナーに新鮮な印象を与える。
トラック解説
1. A Fortune in Lies
アルバムの冒頭を飾るこの曲は、スピーディーなリズムと複雑なギターリフが際立つ。チャーリー・ドミニシのボーカルがやや粗さを感じさせるが、その分、曲の荒削りなエネルギーが伝わってくる。メロディとリズムの変化が多く、Dream Theaterの音楽的な野心が初めから表れている。
2. Status Seeker
メロディックでキャッチーな一曲で、シンセサイザーが前面に出ており、他の曲よりもポップな要素が感じられる。歌詞では名声や社会的地位を追求する人々への風刺が込められており、バンドの哲学的なテーマが垣間見える。
3. The Ytse Jam
インストゥルメンタルで、メンバー全員の高度なテクニックが楽しめる曲。マイク・ポートノイの複雑なドラムパターン、ペトルーシの技巧的なギターリフ、そしてムーアのシンセサイザーが絡み合い、プログレッシブメタルの真髄を感じさせる。バンドのデビュー当時からのファンには特に愛されているトラック。
4. The Killing Hand
叙事的でドラマチックな一曲で、曲の長さと構成が特徴的。数つのパートに分かれており、各パートが物語のように展開していく。ギターソロやキーボードのソロが際立ち、曲が進むにつれて感情が高まっていく展開は、Dream Theaterならではのものだ。
5. Light Fuse and Get Away
リズムの変化とヘヴィなギターが印象的な曲。ポートノイのドラムプレイがリズムを引き締め、ペトルーシのギターワークがテクニカルかつ力強く響く。歌詞は自己探求と内面の葛藤をテーマにしており、哲学的な視点が描かれている。
6. Afterlife
メロディアスなリフとキャッチーなボーカルラインが特徴の曲で、アルバムの中でも特に聴きやすい一曲。サビが印象的で、ボーカルと楽器が調和している。内面の葛藤や希望について歌われており、ポジティブなエネルギーが感じられる。
7. The Ones Who Help to Set the Sun
静かなイントロから始まり、徐々に展開していくスリリングな曲。序盤はゆったりとしたテンポだが、中盤以降はリズムが激しくなり、ギターとキーボードのソロが印象的に響く。人々の信念や希望についてのテーマが込められており、哲学的なリリックがリスナーの心に響く。
8. Only a Matter of Time
アルバムの最後を締めくくるにふさわしい壮大な一曲で、バンドのポテンシャルを余すことなく発揮している。サビのメロディは特に印象的で、曲の後半に向けて徐々にエネルギーが高まっていく。時の流れや人間の運命についての深いテーマが歌詞に込められ、ドラマチックなフィナーレを迎える。
アルバム総評
When Dream and Day Uniteは、Dream Theaterがプログレッシブメタルの新境地を切り開いたデビューアルバムであり、バンドの後のキャリアに大きな影響を与えた重要な作品である。荒削りな部分もあるが、メンバーの演奏技術と複雑な楽曲構成はすでに完成されており、デビュー作とは思えない完成度を誇っている。ボーカルスタイルは後の作品と比べると異なるものの、チャーリー・ドミニシの熱量が楽曲に力強さを与えている。プログレッシブメタルの始まりを体感したいリスナーにとって、When Dream and Day Uniteは必聴の一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Images and Words by Dream Theater
ラブリエが加入した後の作品で、バンドのサウンドが一段と成熟。複雑な構成とキャッチーなメロディが融合し、プログレメタルの金字塔として名高い。 - Operation: Mindcrime by Queensrÿche
同時期に活動していたバンドのコンセプトアルバムで、劇的な展開と深いテーマが共通。ドラマチックなメタルサウンドが楽しめる。 - Rust in Peace by Megadeth
メタルの技巧が詰まった名盤で、Dream Theaterと同様、テクニカルな演奏が際立つ。メロディとリフの鋭さが際立つ一枚。 - Moving Pictures by Rush
プログレッシブロックの名盤で、複雑なリズムや叙事詩的な展開が特徴。Dream Theaterにも影響を与えたサウンドが体感できる。 - Awake by Dream Theater
さらにテクニカルなアプローチと深みのあるテーマで、バンドの音楽性が進化した作品。スリリングでダークな雰囲気が特徴。
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