発売日: 1983年
ジャンル: ローファイ, インディーロック, アートロック
Hi, How Are Youは、アメリカのシンガーソングライターであるダニエル・ジョンストンが1983年にカセットテープ形式でリリースしたアルバムで、ローファイな音質と率直な歌詞が印象的な作品である。このアルバムは、ジョンストンの精神状態や孤独感、愛に対する複雑な思いが、彼独自の素朴で不安定なボーカルと伴に表現されており、アート的なアプローチが色濃い。また、アルバムジャケットに描かれたシンボリックなキャラクター「Jeremiah the Innocent(無垢なジェレマイア)」も非常に有名で、後にこのキャラクターはジョンストンの象徴的なイメージとなった。
本作の音質はホームレコーディングならではの粗さがあり、シンプルなピアノやギター、ジョンストンの息遣いがそのまま収められている。このアルバムはローファイミュージックの草分け的存在として、インディーミュージックの分野においても影響力を持つ作品であり、ニルヴァーナのカート・コバーンをはじめ多くのアーティストに支持され、カルト的な人気を誇っている。
- 曲ごとの解説
- 1. Poor You
- 2. Big Business Monkey
- 3. Walking the Cow
- 4. I Picture Myself with a Guitar
- 5. Despair Came Knocking
- 6. I Am a Baby (In My Universe)
- 7. Nervous Love
- 8. I’ll Never Marry
- 9. Get Yourself Together
- 10. Running Water
- 11. Desperate Man Blues
- 12. Hey Joe
- 13. She Called Pest Control
- 14. Keep Punching Joe
- 15. No More Pushing Joe Around
- アルバム総評
- このアルバムが好きな人におすすめの5枚
曲ごとの解説
1. Poor You
開幕を飾る静かなピアノ曲で、切ないメロディが印象的。シンプルな歌詞の中に孤独と自己憐憫が込められており、ジョンストンの脆さと純粋さが心に刺さる。
2. Big Business Monkey
ジョンストンのギター弾き語りが光る楽曲で、資本主義やビジネスの虚しさを皮肉的に歌っている。粗削りな演奏が逆に楽曲のメッセージを引き立てる。
3. Walking the Cow
ジョンストンの代表曲の一つで、幻想的なメロディが特徴的。「生きることの困難」を象徴するような歌詞が切なく響く。彼の朴訥としたボーカルが、聴き手に孤独と不安を伝える。
4. I Picture Myself with a Guitar
夢見がちな一曲で、ジョンストンが理想とする姿を描く。簡素な歌詞とメロディが、彼の純粋さと不器用さを感じさせる。
5. Despair Came Knocking
孤独と絶望についての内面的な表現が込められている。ジョンストンの切ないボーカルが、苦悩を静かに伝える。
6. I Am a Baby (In My Universe)
自己の無力感と子供らしさを表現したトラック。奇妙で愛らしいメロディが、ジョンストンの独特な視点を反映している。
7. Nervous Love
不安定な愛に対する恐れと葛藤がテーマで、ジョンストンの率直な歌詞が心に残る。彼の脆さが垣間見える一曲。
8. I’ll Never Marry
愛と孤独への恐れが描かれた楽曲で、ジョンストンの簡素なピアノとボーカルが、切実な心情を伝える。
9. Get Yourself Together
ポジティブなメッセージを込めた一曲で、ジョンストンが自分に言い聞かせるような歌詞が特徴。明るいメロディが逆に哀愁を引き立てる。
10. Running Water
リズミカルなギターと歌詞が印象的で、シンプルなサウンドがジョンストンの不安と希望の混じる心境を表している。
11. Desperate Man Blues
ブルース調の楽曲で、孤独と苦悩がにじみ出る。彼のボーカルとギターの即興的なアプローチが、感情を剥き出しにしている。
12. Hey Joe
伝統的な「Hey Joe」とは異なり、ジョンストンの個人的な物語が展開される。シンプルながらも深いメッセージが込められた一曲。
13. She Called Pest Control
短く奇妙な曲で、心の中にある混乱と葛藤を表現している。ジョンストンのユーモアが垣間見える。
14. Keep Punching Joe
ジョンストンの応援歌ともいえる一曲で、シンプルな言葉が心に響く。彼自身に向けた励ましと決意が感じられる。
15. No More Pushing Joe Around
アルバムの最後を締めくくる曲で、自己肯定と決意を歌った一曲。ジョンストンが人生を前向きに生きようとする意志が垣間見える。
アルバム総評
Hi, How Are Youは、ダニエル・ジョンストンの内面を素直に反映した作品であり、ローファイでありながらも強い感情が感じられるアルバムだ。ジョンストンの素朴でありながらも痛切なボーカルと、シンプルなメロディが彼の個性を際立たせている。このアルバムは、ジョンストンの精神状態や自己探求がそのまま音楽として結晶化されており、多くのリスナーにとって共感を呼ぶ作品となっている。Hi, How Are Youは、カート・コバーンをはじめとする多くのアーティストに影響を与え、現在でもカルト的な人気を誇る名作だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
ジョンストン同様、深い内面を歌うシンガーソングライターの名盤で、繊細で孤独なメロディが印象的。ローファイでありながらも温かみがある。
ローファイなサウンドと感情的な歌詞が共鳴するアルバム。ジョンストンのファンには、その飾り気のない表現が共感を呼ぶだろう。
内省的な歌詞と繊細なメロディが特徴で、ジョンストンと同様に個人の苦悩や孤独を描いた作品。心に響く名作だ。
- Bee Thousand by Guided by Voices
ジョンストンと同じく、ローファイサウンドを得意とするインディーロックの名盤。短い曲と不完全な美学が魅力的。
ジョンストンのもう一つの代表作で、Hi, How Are You同様にローファイな録音と個性的な歌詞が特徴。彼の独自の音楽性が詰まったアルバム。
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