発売日: 1968年5月28日
ジャンル: スワンプロック, ルーツロック
1968年にリリースされたCreedence Clearwater Revival(CCR)のデビューアルバムCreedence Clearwater Revivalは、アメリカ南部のスワンプサウンドとロックンロールが融合した独特のスタイルで、後に続くCCRサウンドの基盤を築いた作品である。ジョン・フォガティの特徴的なハスキーボイスとブルースを基調としたギターが、聴く者を引き込む。このアルバムは、ブルース、サイケデリックロック、ロカビリーなど、さまざまなジャンルの影響を受けながら、シンプルで力強い演奏が際立つ。
特に、デビューアルバムでありながら「Susie Q」や「I Put a Spell on You」などのカバー曲が大ヒットし、彼らのブルースやルーツロックへの愛と卓越した演奏力が評価された。また、サイケデリックロック全盛期の1968年にリリースされたにもかかわらず、CCRはむしろ古き良きアメリカの音楽に回帰するようなシンプルなスタイルを貫いており、他のバンドとは一線を画している。
曲ごとの解説
1. I Put a Spell on You
スクリーミン・ジェイ・ホーキンスのブルースクラシックを力強くカバーした、アルバムのオープニングナンバー。ジョン・フォガティの魂のこもったボーカルとヘヴィなギターリフが、曲全体に強烈なインパクトを与える。独自のアレンジが施され、オリジナルを尊重しながらもCCRらしい味わいが加わっている。
2. The Working Man
フォガティの労働者に対する共感が歌詞に表れており、シンプルでタフなリフが特徴的。CCRのサウンドにブルースのエッセンスが注がれ、労働者の日常の困難と哀愁を描いている。フォガティのボーカルがリスナーにリアリティを感じさせる一曲。
3. Susie Q
デイル・ホーキンスの1957年のヒット曲を約8分にわたりカバーしたサイケデリックブルースロックの代表作。ギターリフが繰り返される中、フォガティの粘り強いボーカルとリズムセクションが絡み合い、ブルージーでトランス的な演奏が聴く者を引き込む。特にライブ感あふれる即興演奏が特徴で、CCRのパフォーマンス力を証明している。
4. Ninety-Nine and a Half (Won’t Do)
ウィルソン・ピケットのソウルクラシックをカバー。力強いリズムとギターリフが原曲に新たなエネルギーを与えている。フォガティのボーカルが情熱的で、スワンプロックの要素を取り入れたアレンジがCCRらしさを加えている。
5. Get Down Woman
ブルース調のギターリフが印象的なオリジナル曲で、ラフで情熱的なCCRのスタイルが色濃く出ている。フォガティのボーカルとギターが絡み合い、ブルースとロックのエネルギーが曲全体を支配している。激しい感情がそのまま音楽に変わったような一曲。
6. Porterville
切ないメロディとフォガティの情熱的なボーカルが印象的な一曲。歌詞には孤独感や郷愁が表現されており、CCRのシンプルながらも力強い音作りが際立つ。サイケデリックな要素を感じさせる曲調で、アルバムの中でも異彩を放っている。
7. Gloomy
フォガティが内なる不安と葛藤を描いたブルージーなナンバー。ダークでスローなテンポが続き、サイケデリックな雰囲気が漂う。フォガティのボーカルが力強く響き、聴く者に深い感情を呼び起こさせる一曲。
8. Walk on the Water
アルバムのラストを飾るこの曲は、スローなイントロから一気に力強いロックサウンドへと展開する。川の流れを思わせるようなリズムとフォガティの情感あふれる歌声が、自然の力と人間の儚さを表現しているようだ。ブルースとサイケデリックの要素が融合した壮大なフィナーレとしてアルバムを締めくくる。
アルバム総評
Creedence Clearwater Revivalは、当時の音楽シーンにおいて他とは一線を画したシンプルで力強いデビューアルバムだ。ジョン・フォガティのソウルフルなボーカルとスワンプサウンドの融合が新鮮で、ブルースロックとサイケデリックな要素が絶妙にブレンドされている。アルバム全体を通して流れるダウン・トゥ・アースな感覚と、サイケデリックロック全盛期にアメリカの伝統的な音楽スタイルを尊重したアプローチは、CCRの独自性を際立たせている。これ以降、CCRはさらに多くの名曲を生み出し、アメリカンロックの代表的なバンドとしての地位を確立していく。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Bayou Country by Creedence Clearwater Revival
CCRの2作目で、さらに熟成されたスワンプロックが味わえる。代表曲「Born on the Bayou」や「Proud Mary」など、より南部のサウンドに傾倒した楽曲が収録されている。
Music from Big Pink by The Band
ルーツロックの名盤で、アメリカ南部の影響を色濃く受けた作品。CCRのファンにも通じる温かみのあるサウンドが特徴的だ。
Johnny Winter by Johnny Winter
ブルースとロックを融合させたジョニー・ウィンターの名作。CCRのスワンプロックと共通する、アメリカ南部の荒々しいブルースサウンドが楽しめる。
Willy and the Poor Boys by Creedence Clearwater Revival
CCRの4作目で、バンドの全盛期を象徴するアルバム。名曲「Fortunate Son」を収録し、CCRの音楽的な幅広さと社会的なメッセージが感じられる。
The Dock of the Bay by Otis Redding
ソウルの名盤であり、スワンプサウンドとも共鳴する温かみのあるサウンドが魅力。CCRのファンには、アメリカ南部の深みあるサウンドが共通する一枚。
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