アルバムレビュー:Electric Warrior by T. Rex

AD
※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 1971年9月24日
ジャンル: グラム・ロック、ロックンロール、サイケデリック・ポップ


AD

概要

『Electric Warrior』は、T. Rexが1971年に発表した2作目のアルバム(Tyrannosaurus Rex時代を含めれば6作目)であり、マーク・ボランが率いるT. Rexがグラム・ロックの先駆者としてその名を不動のものとした決定的な作品である。

アコースティックで牧歌的なサイケ・フォークから、エレクトリックでセクシャルなグラム・ブギーへの転換を完全に成し遂げた本作は、まさに“電気仕掛けの戦士”というタイトル通りの衝撃を当時のロック・シーンに与えた。
全英アルバム・チャートで6週間にわたり1位を獲得し、収録曲「Get It On(Bang a Gong)」はアメリカでもヒットするなど、T. Rexを国際的スターへと押し上げた。

プロデューサーはトニー・ヴィスコンティ。
ストリングス、ホーン、リバーブ、サウンドの間(ま)に至るまで緻密に設計された本作は、シンプルなコード進行とリズムの反復に乗せて、マーク・ボランの妖しくも魅惑的なポエジーが炸裂する。
サウンドもヴィジュアルも、グラム・ロックという“新たな様式美”を決定づけた歴史的アルバムである。


AD

全曲レビュー

1. Mambo Sun

ブギーとボサノヴァの狭間のようなグルーヴが心地よい、官能的なオープニング・トラック。
“マンボの太陽”というイメージは、セクシュアリティと幻想性を柔らかく混ぜ合わせており、ボランのウィスパー気味のヴォーカルも艶めかしい。

2. Cosmic Dancer

ストリングスとアコースティック・ギターが美しく絡む、ボラン屈指の名バラード。
“僕は2歳の時から踊っていた”という印象的な一節が、人生そのものをダンスに喩える哲学的メタファーとなっている。
永遠性と儚さが同居する、グラム・ロックの詩情を象徴する一曲。

3. Jeepster

ブルースの枠組みをベースにしたブギー・ロック。
タイトルの“Jeepster”は架空の言葉で、女性へのフェティッシュな欲望を軽妙に語る。
キャッチーなコーラスとクラップが、グラムの“遊び心”を体現している。

4. Monolith

“モノリス”という抽象的存在を通じて、宇宙と存在の詩的探求を行うミステリアスなトラック。
サイケデリックなスロウ・グルーヴに乗せた幻想的な語りは、Tyrannosaurus Rex時代の残り香を感じさせる。

5. Lean Woman Blues

ブルース・ロックを下敷きにした、粘り気のあるセクシャルな一曲。
シンプルな構成ながら、ボランのヴォーカルとギターが一体となってグルーヴを生み出している。
“痩せた女のブルース”という語感の妙も秀逸。

6. Get It On(Bang a Gong)

T. Rex最大のヒット曲にして、グラム・ロックのアンセム。
「Bang a Gong, Get It On」というフレーズは、性的暗喩であると同時に“感じるままに動け”という解放の合図でもある。
エレキ・ギターのグルーヴ、ピアノの刻み、ホーンの彩り、そしてボランのけだるい声――すべてが完璧に噛み合った名曲。

7. Planet Queen

リズムの反復と抑制された演奏が特徴の、ミニマルなグラム・ブギー。
“惑星の女王”というイメージが、ボランらしい宇宙神話とフェミニン幻想を融合させている。
一見シンプルながら中毒性の高い楽曲。

8. Girl

ピアノを中心とした優雅なバラードで、アルバム中でも特に静謐な瞬間を提供する。
女性に対する繊細な眼差しと、ロマンティックな表現が調和し、アルバムに豊かな起伏をもたらす。

9. The Motivator

チャック・ベリーばりのロックンロールを、グラム的な装飾で包み込んだ一曲。
エネルギッシュで軽快、かつどこか気怠さも残る、ボランの魅力が全開のナンバー。

10. Life’s a Gas

“人生はガス(気体)のようなもの”という一節がすべてを物語る、諦念と美しさを含んだ名曲。
アコースティック主体のアレンジと、ボランの柔らかい声が絶妙に合わさり、リスナーに静かな余韻を残す。
後年、パンクバンドRAMONESもこの曲に言及した。

11. Rip Off

アルバムを締めくくる、カオティックでラウドなロックンロール。
“Rip off”という直接的な表現に、時代と音楽産業に対する不信や皮肉が込められているようにも思える。
ジャズのようなアドリブ感もあるスリリングなラスト。


総評

『Electric Warrior』は、グラム・ロックというジャンルを確立したのみならず、その官能性・詩性・反復美・視覚美をひとつの“様式”へと昇華させた決定的な作品である。
マーク・ボランはここで、ロックの肉体性と詩的幻想の間を自在に行き来する存在となり、David Bowieと並んで“70年代のアイコン”として位置づけられることになる。

ボランの書く詩は、しばしば意味を超えた音と語感の美しさそのものに焦点が当てられており、それがヴィスコンティの繊細なサウンド・プロダクションと重なり合うことで、単なるロック・アルバム以上の芸術性を持つに至っている。
耳に残るグルーヴと、心に残るメロディ。そして何より、時代の気分そのものを映し出した美学。

T. Rexの代表作としてだけでなく、70年代ロックの金字塔、そしてポピュラー音楽史におけるスタイル革命としての位置づけを持つ本作は、今なお新鮮で、眩しく、陶酔的である。


おすすめアルバム(5枚)

  1. David BowieThe Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars (1972)
    グラム・ロックと宇宙神話、セクシュアリティの融合。T. Rexの美学と深く響き合う。
  2. Roxy MusicFor Your Pleasure (1973)
    耽美と騒乱、芸術性と快楽主義の交錯。グラムの先鋭的側面を体現。
  3. Slade – Slayed? (1972)
    T. Rexよりも直線的だが、同じくグラム的高揚感に満ちた傑作。
  4. New York Dolls – New York Dolls (1973)
    T. Rexのファッション性とブギー精神をNYパンク的に継承。
  5. Prince – Dirty Mind (1980)
    セクシュアリティ、ファルセット、ミニマル・グルーヴの革新性で、ボランの精神を引き継ぐ異端児。

コメント

タイトルとURLをコピーしました