アルバムレビュー:Bolan’s Zip Gun by T. Rex

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※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日: 1975年2月16日
ジャンル: グラム・ロック、ロックンロール、ブルースロック、ソウル


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概要

『Bolan’s Zip Gun』は、T. Rexが1975年にリリースした6作目のスタジオ・アルバムであり、マーク・ボランがソウルやアメリカ音楽への傾倒を一層強め、従来のグラム・ロック像からさらに遠ざかった異色作である。
タイトルの“Zip Gun”は、即席で作られた簡易拳銃を意味し、DIY的な精神や荒削りなエネルギーが全体に漂っている。

本作は基本的に、1974年にアメリカでのみリリースされた『Light of Love』の再構成版とも言える内容で、新曲3曲を加えつつ、全体のトーンを再編したものである。
結果として、非常に短く、コンパクトなアルバムではあるが、ボランの自己探求と迷走が露わになった作品でもある。

サウンドは、ストレートなロックンロール、アーシーなブルース感覚、ファンキーなリズムに、ソウルフルな女性コーラスを加えた“グラム以降”の新たなT. Rex像を模索した内容となっている。
グロリア・ジョーンズの存在感も濃く、彼女との私生活と音楽的交錯が作品に色濃く反映されている。

当時の批評家・ファンからの評価は低かったが、現在ではボランの“ポップからの脱却”という文脈で再評価されつつある。


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全曲レビュー

1. Light of Love

ソウルとロックを掛け合わせた軽快なナンバーで、アルバムの出発点にふさわしいエネルギー。
シンプルなメロディに甘いコーラスが加わり、ボランの“ポップ性の名残”が垣間見える。

2. Solid Baby

ブルージーなギターとファンキーなリズムが印象的な、骨太のロック。
女性コーラスとの掛け合いが曲全体を引き締め、ソウル・グラム的な質感を生む。

3. Precious Star

恋人を讃える愛のバラード。
“かけがえのない星”というタイトル通り、ロマンチックな詞世界と柔らかいサウンドが特徴。

4. Token of My Love

“僕の愛のしるし”というシンプルなタイトルが示すように、ストレートなラブソング。
グルーヴは軽めだが、ファンキーなベースとエレクトリック・ギターの絡みが心地よい。

5. Space Boss

サイケとファンクが融合したようなサウンドに、ボランのしゃがれたボーカルが乗る異色作。
“宇宙のボス”というタイトル通り、SF的な世界観と演劇性を併せ持つ。

6. Think Zinc

アルバム『Zinc Alloy』の流れを汲む、電気仕掛けのファンク・ロック
“Zinc”というキーワードがボランの自己神話とリンクし、メタ的な自己表現となっている。

7. Till Dawn

哀愁のメロディとブルージーなギターが響くスローバラード。
夜明けまでの時間を描いた、切なくも温かみのある楽曲。

8. Girl in the Thunderbolt Suit

奇抜なタイトルに反して、音はシンプルでファンキー。
“稲妻のスーツを着た少女”というイメージがグラマラスで、ボランの視覚的センスが光る。

9. I Really Love You Babe

コール&レスポンスの構成を持つ、ゴスペル風味のラブソング。
グロリア・ジョーンズのバックコーラスが楽曲を力強く支える。

10. Golden Belt

タイトルの“金のベルト”は、名声や虚飾を暗示しているようでもある。
ロックンロールとファンクの間を行き来するグルーヴィーな楽曲で、最後まで“軽やかな迷宮”のような雰囲気を保つ。


総評

『Bolan’s Zip Gun』は、マーク・ボランがグラム・スターの仮面を脱ぎ捨て、“新しいアメリカ的ロック像”を模索した過渡期のアルバムである。
その結果、統一感にはやや欠け、楽曲も粒ぞろいとは言いがたいが、だからこそ“迷いながらも先へ進もうとする表現者のリアルな姿”がにじみ出ている。

T. Rexのキャッチーで華やかな印象に期待して聴くと肩透かしを食うかもしれないが、ブルースやファンク、ゴスペル、ソウルといった多彩なリズムが試されており、ボランの“音楽的な再構築”の記録として興味深い。
この作品は、彼が“グラムの魔法”を過去のものとし、もっと泥臭く、もっと人間的なロックへと近づこうとしていた瞬間をとらえている。

アルバムとしての完成度よりも、マーク・ボランという人間の“開き直り”や“等身大の感情”に触れられる作品として、深く味わいたい一枚である。


おすすめアルバム(5枚)

  1. Iggy Pop – Kill City (1977)
    スターの影から生まれた、アメリカン・ロックの荒涼。『Zip Gun』の虚無感と重なる。
  2. David BowieDiamond Dogs (1974)
    グラムからの逸脱、都市と幻想の混在。ボランの迷走と共鳴する側面あり。
  3. Sly & the Family Stone – Small Talk (1974)
    ファンクの内省化。音数の少ないグルーヴとソウルフルな展開に共通点あり。
  4. Todd Rundgren – Faithful (1976)
    音楽への誠実さと再構築の精神が、『Zip Gun』のポップ職人感と共振。
  5. Prince – Dirty Mind (1980)
    ミニマルでセクシュアルな音作り。ボランの後継者的感覚を強く持つ作品。

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