発売日: 1971年4月7日
ジャンル: フォークロック, カントリーロック, アコースティックロック, ライブアルバム
Crosby, Stills, Nash & Youngのライブアルバム『4 Way Street』は、彼らのステージでの素晴らしいパフォーマンスを収めた、フォークロック史に残る名作である。このアルバムは、1970年に行われたCSNYの全盛期のツアーのライブ録音を集めたもので、4人のアコースティックなサウンドと、個々の楽曲の魅力がリアルに伝わってくる。ニール・ヤングが加わり、彼らのシンガーソングライターとしての個性が際立つ一方で、彼らの繊細なハーモニーとギターワークが最大限に引き出されている。『4 Way Street』は、彼らのスタジオ録音とは異なる、ライブならではのエネルギーや即興性を感じられる貴重な作品だ。
アルバムの構成と概要
『4 Way Street』は、2枚組のアルバムとしてリリースされ、1枚目では主にアコースティックセッション、2枚目ではエレクトリックセットが展開されている。アコースティックなパートでは、彼らの美しいハーモニーとアコースティックギターが際立ち、静かな感情を繊細に表現する。一方、エレクトリックなパートでは、ロックバンドとしてのダイナミズムと力強さが前面に押し出されている。特に、ニール・ヤングの曲はライブでのエネルギッシュな演奏によって、スタジオ版以上にその存在感を放っている。
各ディスクごとの解説:
ディスク1: アコースティックセッション
- Suite: Judy Blue Eyes
スティーヴン・スティルスの名曲で、CSNの代表的な楽曲のライブバージョン。複雑なギターパートと3人のハーモニーが見事に再現され、ライブでもスタジオ版に劣らぬ完成度を誇る。 - On the Way Home
ニール・ヤングがリードする美しいアコースティックナンバー。彼の歌声が温かく響き、フォークロックのシンプルさと深みが際立つ。ライブならではの親密な空気感が心地よい。 - Teach Your Children
グラハム・ナッシュが歌うこの曲は、観客からの反応が温かく、平和へのメッセージが強調されている。ペダルスティールギターの代わりに、ライブではよりシンプルに演奏されているが、その優しいメロディは変わらない。 - Triad
デヴィッド・クロスビーによるフォークナンバーで、アコースティックギターを中心に展開される。歌詞はラブトライアングルという物議を醸すテーマを扱っており、クロスビーの独特の世界観が表現されている。 - The Lee Shore
クロスビーの書いた美しいバラード。彼の柔らかなギターワークと、バンドの繊細なハーモニーが心地よく、ライブでの優れた演奏力が際立っている。 - Chicago
ナッシュの政治的メッセージを込めた曲で、シンプルなメロディに乗せて反体制的な歌詞を力強く歌っている。ライブでもその熱量は健在で、観客との一体感が感じられる。 - Right Between the Eyes
ナッシュが手掛けたフォーク調のバラード。シンプルでありながらも詩的な歌詞が特徴で、ナッシュの澄んだ歌声が心に響く。
ディスク2: エレクトリックセット
- Cowgirl in the Sand
ニール・ヤングがリードするエレクトリックセットのハイライト。約16分にわたる即興的なギターソロが展開され、ライブのエネルギーとダイナミズムが最高潮に達する。ヤングの力強いボーカルとギターが、観客を圧倒する。 - Don’t Let It Bring You Down
ヤングの名曲で、彼の内省的な歌詞と独特のギターワークが印象的。ライブでは、スタジオ版よりも粗削りでありながらも、その感情の深さがよりダイレクトに伝わる。 - Southern Man
ヤングの南部の人種差別に対する抗議の曲で、エレクトリックギターの鋭いリフと力強いボーカルが印象的。ライブでは、観客を巻き込むパワフルな演奏が展開される。 - Ohio
ケント州立大学での学生射殺事件を受けて書かれたこの抗議歌は、ライブでも強いメッセージ性を持つ。エレクトリックギターとクロスビー、スティルス、ナッシュのボーカルが絡み合い、怒りと悲しみを表現している。 - Carry On
スタジオ版よりも長く、即興的なギターソロが追加されたバージョン。スティルスのギターワークとバンド全体の一体感が感じられる。 - Find the Cost of Freedom
クロスビーがリードする静かなバラードで、戦争や自由の代償を歌う。シンプルなアコースティックアレンジが、歌詞の重みを際立たせている。
アルバム総評:
『4 Way Street』は、Crosby, Stills, Nash & Youngのライブパフォーマンスの魅力を余すところなく収めたアルバムであり、彼らのスタジオ録音では味わえない即興的なエネルギーや、4人の音楽的個性が生々しく響く。アコースティックセットでは彼らのハーモニーの美しさが際立ち、エレクトリックセットではニール・ヤングを中心にしたロックのダイナミズムが感じられる。特にヤングのギターソロは圧巻で、フォークロックとロックの両面を楽しめる作品となっている。『4 Way Street』は、CSNYの音楽的なピークを記録したライブアルバムとして、彼らのファンはもちろん、60年代後半から70年代初頭のフォークロックやカントリーロックを愛するリスナーにとっても必聴の一枚だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Live Rust by Neil Young & Crazy Horse
ニール・ヤングのライブアルバムで、彼のエレクトリックとアコースティックの両面が楽しめる。『4 Way Street』のヤングのプレイに感銘を受けたリスナーには必聴。 - The Last Waltz by The Band
1970年代の伝説的なライブアルバム。フォークロックとカントリーロックが融合したバンドの魅力が、ライブのエネルギーとともに収められている。 - Before the Flood by Bob Dylan & The Band
ディランとThe Bandによる1974年のライブアルバムで、フォークロックのエネルギーが伝わってくる。 - Time Fades Away by Neil Young
ニール・ヤングがソロでリリースしたライブアルバムで、彼の独特のライブパフォーマンスが楽しめる。 - Europe ’72 by Grateful Dead
グレイトフル・デッドの伝説的なライブアルバムで、CSNYのファンには、即興的なジャムセッションとフォークの融合が魅力的に響くはず。
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