- 発売日: 2013年11月18日
- ジャンル: ロック、フォークロック、カントリーロック
Shangri Laは、イギリスのシンガーソングライター、Jake Buggの2枚目のスタジオアルバムであり、前作からわずか1年でのリリースである。Buggはこのアルバムで、デビュー作で確立したフォークとカントリーロックのスタイルに、さらにロックンロールやブルースの要素を加え、エネルギッシュで多彩なサウンドを披露している。アルバムタイトルは、プロデューサーRick Rubinのスタジオ「Shangri La」に由来しており、Rubinのプロデュースによってより幅広い音楽的アプローチが取り入れられている。
本作では、Buggのソングライティングとギターの腕前がさらに向上しており、リスナーにとって新しい一面が垣間見える。彼は自身のルーツを大切にしつつ、より広がりのある音楽性を追求している。Shangri Laは、若干19歳ながらも成熟したアーティストとしてのBuggの成長が感じられる作品で、エネルギッシュでありながらも深みのある内容が魅力的である。
トラック解説
1. There’s a Beast and We All Feed It
アルバムのオープニングを飾る、スピーディで攻撃的なトラック。ストレートなロックンロールで、力強いギターとリズミカルなドラムが印象的。若者の反骨精神が感じられる一曲。
2. Slumville Sunrise
疾走感のあるロックナンバーで、Buggの鋭いボーカルが印象的。地元ノッティンガムの貧困や、若者たちが抱える閉塞感が歌われている。荒々しいギターリフが楽曲にダイナミズムを与えている。
3. What Doesn’t Kill You
リードシングルであり、パンクの影響が色濃く表れた一曲。短くも力強いリフと、反抗的なメッセージが特徴的で、Buggの力強い歌声が全体に力を与えている。挑発的なエネルギーが溢れる楽曲。
4. Me and You
アコースティックな音色が美しいバラードで、恋愛についての繊細な感情が表現されている。シンプルなメロディと心温まる歌詞が調和し、アルバムに優しいアクセントを加えている。
5. Messed Up Kids
社会的な問題に触れたトラックで、若者の失望や社会の矛盾がテーマ。現代の若者が抱える問題を鋭く描写し、共感を呼ぶ内容。キャッチーなメロディが耳に残る。
6. A Song About Love
哀愁漂うバラードで、失恋や切ない愛の感情が込められた曲。メロディアスで美しいギターとBuggのエモーショナルな歌声が際立ち、感動的なバラードに仕上がっている。
7. All Your Reasons
ブルージーなリフが印象的なトラックで、ダークで重厚な雰囲気が漂う。失望と怒りがテーマとなっており、Buggの歌詞と音楽性の幅広さを示している。
8. Kingpin
ロカビリー調のビートと陽気なギターリフが特徴のトラックで、軽快でノリの良い一曲。Buggの遊び心が表れており、アルバム全体に楽しいリズムの変化を加えている。
9. Kitchen Table
切ないバラードで、家族や友情、愛と喪失をテーマにした歌詞が描かれている。静かなアコースティックギターが楽曲の寂しさを引き立て、心に染みる美しい曲。
10. Pine Trees
アコースティックギター一本で演奏されるシンプルな楽曲で、Buggのリリカルな一面が表れている。自然や孤独をテーマにした歌詞が詩的で、静けさの中に深い感情が漂う。
11. Simple Pleasures
ブルースとロックの融合が特徴で、重厚なリズムが心地よいトラック。物質主義に対する反発と、シンプルな幸せを求める気持ちが表現されている。
12. Storm Passes Away
アルバムのフィナーレを飾るカントリーテイストの一曲で、人生の困難を乗り越える決意が歌われている。ギターの温かみと力強い歌声が、希望と安心感を与える。
アルバム総評
Shangri Laは、Jake Buggがデビューからの短期間で大きく成長し、多様な音楽スタイルに挑戦したアルバムである。プロデューサーRick Rubinのもとで録音されたこの作品は、ロック、ブルース、カントリーといった様々な音楽の影響を受け、幅広いジャンルを探求している。Shangri Laにはエネルギッシュで反抗的な楽曲から、感傷的なバラードまでが詰まっており、彼の音楽性とソングライティングの才能がさらに際立っている。
特に「What Doesn’t Kill You」や「Slumville Sunrise」のようなパワフルな楽曲は、若い世代の反発心や生きにくさを表現し、「A Song About Love」や「Me and You」のようなバラードでは、Buggの繊細な感情表現が心に響く。彼はこのアルバムで、ロックの伝統を踏襲しつつも独自の視点でメッセージを届けることに成功しており、リスナーに強いインパクトを与える一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Highway 61 Revisited by Bob Dylan
伝説的なロックアルバムで、詩的な歌詞とメッセージ性が強い。Buggの物語性と反抗心が好きなリスナーにぴったり。 - Bridge Over Troubled Water by Simon & Garfunkel
美しいメロディと詩的な歌詞が魅力のアルバムで、Buggのアコースティックバラードに共鳴する作品。 - Raw Power by The Stooges
攻撃的なロックの名盤で、エネルギッシュなサウンドが楽しめる。Buggのロックナンバーに共鳴するリスナーにおすすめ。 - Modern Times by Bob Dylan
ブルースとロックが融合した大人のサウンドで、Buggの音楽性と重なる部分が多い。詩的な歌詞も魅力的。 - Rubber Factory by The Black Keys
ガレージロックとブルースの要素が融合したアルバムで、エネルギッシュなサウンドが楽しめる。Buggの力強いギタープレイが好きなリスナーに最適。
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