アルバムレビュー:Ragged Glory by Neil Young & Crazy Horse

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※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日: 1990年9月9日
ジャンル: ガレージ・ロック、グランジハード・ロック


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音の“ほつれ”に宿る真実——Neil Young、轟音の中に描いた祝祭と傷跡

『Ragged Glory』は、Neil YoungがCrazy Horseとの最強コンビで1990年に発表した17作目のスタジオ・アルバムであり、グランジ黎明期に突入したロックシーンの先頭で、轟音と即興性を武器に再び最前線へ躍り出た“老練なる若者”の記録である。

タイトルの“Ragged Glory(ほつれた栄光)”が象徴するように、音は粗く、構成はラフで、ギターはノイジーかつ奔放。だがそのすべてが、過剰な編集や洗練とは無縁の“生の美しさ”を掴みにいくヤングの信念を体現している。

ニールが90年代オルタナティヴ世代から“ゴッドファーザー・オブ・グランジ”と称されるきっかけともなった作品であり、Pearl JamやSonic YouthNirvanaらが崇めた“原型”の一枚でもある。


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全曲レビュー

1. Country Home
10分近いジャムから始まる大作。ツアーと田舎、自由と疲労の交錯を描いたロードソング的ナンバーで、演奏の自然発火がまさに“生きているロック”。

2. White Line
アコースティック調ながら、ギターの掛け合いが光るミドル・チューン。“白い線”=ハイウェイやドラッグの暗喩とも解釈される、危うさと美しさが同居する一曲。

3. Fuckin’ Up
本作屈指の名曲。「またやっちまった…」と繰り返す歌詞が、自己破壊と赦し、そして愛情の矛盾をリアルに描く。 コール&レスポンス型の構造もライヴ映え抜群。

4. Over and Over
同じフレーズを反復する長尺ジャム。反復そのものが“感情のうねり”を形づくる、ポスト・ミニマル的な魅力。

5. Love to Burn
愛と時間をテーマにしたヘヴィな一曲。ゆったりとしたテンポながら、歪んだギターの波が感情の深部をさらけ出す。

6. Farmer John
60年代ガレージ・バンドThe Premiersのカバー。荒くれたパンク魂とカントリー的なノスタルジーが絶妙に融合。 ニールの趣味性が光る。

7. Mansion on the Hill
理想と現実、アメリカン・ドリームの崩壊を歌ったような寓話的楽曲。ミディアム・テンポながら重心の低い演奏がズシリと響く。

8. Days That Used to Be
ボブ・ディラン「My Back Pages」へのオマージュ。“過去は正しかったのか?”という内省が、優しくも鋭いメロディに乗せられる。

9. Love and Only Love
轟音のなかに“愛こそがすべて”という逆説的な希望が差し込む。ギター・ジャムの応酬と精神性が共鳴する、祈りのような一曲。

10. Mother Earth (Natural Anthem)
唯一のアコースティック曲にして環境讃歌。オルガンとスライドギターが導く“自然への賛美と人類への警鐘”で締めくくられる。


総評

『Ragged Glory』は、Neil Youngが40代にして“最もラウドで若々しい音”を鳴らした奇跡的アルバムであり、過去のどのロックとも違う、未来を切り開く原始的なエネルギーに満ちている。

ここには、ポリッシュされた音楽はない。あるのは感情のままに掻き鳴らされたギター、予測不能なグルーヴ、時に愚直なまでの繰り返し——つまり“リアルな音楽の運動体”。

1990年の音楽シーンの中で、ヤングは決して流行の中心にはいなかった。だがこの作品をきっかけに、彼は“グランジの父”として次世代の耳を惹きつけ、ニール・ヤングが過去の人ではなく“現在進行形のロックそのもの”であることを証明した。


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