発売日: 1976年4月30日(インターナショナル版)
ジャンル: ハードロック、ブルースロック
『High Voltage』は、オーストラリア出身のハードロックバンドAC/DCの国際デビューアルバムであり、彼らの激しいサウンドとエネルギッシュなスタイルが初めて世界に示された作品だ。このアルバムは、同バンドの1975年にリリースされたオーストラリア版の『High Voltage』と『T.N.T.』から曲を集めたもので、強烈なギターリフ、ブライアン・ジョンソン以前のボーカリストであるボン・スコットの独特なヴォーカルスタイルが特徴である。
バンドはブルースロックを基盤にしながらも、彼らのトレードマークとなるパワフルなリフと無骨なサウンドを確立した。アンガス・ヤングのエレクトリックギターワークがアルバム全体を支配し、ボン・スコットの荒々しいボーカルと相まって、AC/DCの特有のスタイルが完成している。
各曲ごとの解説:
- It’s a Long Way to the Top (If You Wanna Rock ‘n’ Roll)
アルバムのオープニングを飾る強烈なアンセムで、ロックミュージシャンとしての苦労を歌ったメッセージソング。特にバグパイプの独特な使い方が話題となり、ロックとトラディショナルな楽器が融合したユニークなサウンドが特徴的。 - Rock ‘n’ Roll Singer
ボン・スコットが自らの人生観を語る歌詞が印象的なトラック。エネルギッシュなリフとシンプルで力強いビートが、彼の「ロックスターになる」という夢を体現している。アンガス・ヤングのギターソロも際立っている。 - The Jack
ブルースロックの影響が色濃く出た曲で、リズムはスローながらもボン・スコットの独特な歌詞が聴きどころ。「The Jack」というタイトルは、性病にかかるという皮肉を込めたスラングで、ユーモアとロックンロールの荒々しさが詰まっている。 - Live Wire
力強いリズムとアンガス・ヤングのエレクトリックギターがリードする曲で、徐々に盛り上がる展開がライブ感を生み出している。ダイナミックな構成が、AC/DCのライブパフォーマンスでの魅力を伝える。 - T.N.T.
AC/DCの中でも特に人気の高い楽曲で、強烈なギターリフとキャッチーなコーラスが特徴的なロックアンセム。「T.N.T.」という爆発的なエネルギーを象徴する言葉が、曲全体のパワフルなサウンドと完全に一致している。 - Can I Sit Next to You Girl
シンプルでポップな楽曲で、AC/DCの中でも比較的軽快なトラック。アンガス・ヤングのリードギターが際立ち、ボン・スコットの独特なボーカルが、この曲に爽快感を与えている。 - Little Lover
ゆったりとしたブルース調のトラックで、ボン・スコットが若い女性への欲望を皮肉たっぷりに歌い上げる。曲全体は比較的控えめだが、AC/DC特有の鋭いギターリフが曲を支えている。 - She’s Got Balls
ボン・スコットが当時の妻に捧げた曲で、ブルースロックの影響が強い。シンプルでパワフルなリズムと、ボン・スコットの皮肉混じりの歌詞が特徴的。 - High Voltage
アルバムのタイトル曲であり、AC/DCの象徴ともいえる楽曲。タイトル通り、エネルギーに満ちたギターリフとパワフルなコーラスが、この曲のハイライトだ。ライブでの定番曲としても有名で、彼らのロックの精神を体現している。
アルバム総評:
『High Voltage』は、AC/DCが世界にその名を轟かせるための第一歩を刻んだアルバムであり、彼らのキャリアの礎を築いた作品だ。アンガス・ヤングの強烈なギターリフと、ボン・スコットのユニークなボーカルが、AC/DCのサウンドの核心にある。このアルバムで彼らは、シンプルでストレートなロックサウンドを確立し、ロックの持つエネルギーを最大限に引き出している。特に「T.N.T.」や「High Voltage」などの楽曲は、彼らの代表曲として今なお愛されている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Let There Be Rock by AC/DC
『High Voltage』に続くアルバムで、よりハードでヘビーなサウンドが特徴。AC/DCのスタイルがさらに強化され、彼らの真骨頂が感じられる。 - Back in Black by AC/DC
AC/DCの最大のヒットアルバムで、ブライアン・ジョンソンを迎えての再出発を象徴する作品。『High Voltage』のパワフルなエネルギーを持ちながらも、より洗練されたサウンドが楽しめる。 - Rocks by Aerosmith
アメリカのハードロックバンド、Aerosmithの名作で、同じくブルースロックをベースにした力強いギターサウンドが楽しめる。AC/DCのファンにはうってつけの一枚。 - Machine Head by Deep Purple
1970年代ハードロックの代表作で、エネルギッシュなギターワークとパワフルなリフが特徴。『High Voltage』のファンには必聴のアルバム。 - Highway to Hell by AC/DC
ボン・スコットがボーカルを務めた最後のアルバムで、彼のカリスマ性が全面に出た作品。タイトル曲はAC/DCを象徴するアンセムとして今なお愛されている。
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