発売日: 2016年9月
ジャンル: サイケデリック・ポップ, インディー・ロック, ジャズ・ポップ
CrumbのセルフタイトルEP Crumbは、2016年にリリースされた4曲の短い作品ながら、独特のサウンドと幻想的な雰囲気でインディーシーンに強烈な印象を残した。この作品は、リラ・ラミーニックのソウルフルなボーカル、エフェクトの効いたギター、ジャズの影響を受けたベースラインとドラムのグルーヴィーなリズムセクションで構成されており、リスナーを夢幻的な世界に誘う。
バンドのサウンドにはサイケデリックとジャズポップの要素が絡み合い、サウンドスケープは深みがありながらも心地よく聴きやすい。各楽曲は緩やかで浮遊感のあるメロディを持ち、日常の憂鬱や内省的なテーマを表現しつつも、どこか温かく柔らかな雰囲気が漂っている。Crumbの音楽は一見ミニマルだが、そのシンプルさの中に豊かな感情が込められており、聴く者をじっくりと魅了する。
曲ごとの解説
1. Bones
ミッドテンポで穏やかなこの曲は、サイケデリックでジャズ風のベースラインとリズムが特徴的。リラ・ラミーニックの柔らかく軽やかなボーカルが、内面的な葛藤や感情の揺れを表現している。サウンドは夢の中を漂うような浮遊感を持ち、エフェクトがかかったギターが幻想的な雰囲気を醸し出している。
2. Vinta
スローテンポで淡々と進むリズムと、透明感のあるメロディが印象的な一曲。繰り返されるギターのフレーズが心地よく、リラのボーカルが曲全体に溶け込むように響く。歌詞には過去への郷愁や心の奥底の記憶が織り交ぜられ、リスナーにとってもどこか懐かしい感覚を呼び起こす。
3. Thirty-Nine
リズミカルなベースラインと、流れるようなギターパートが心地よい楽曲。シンプルな編曲ながらも、ジャズポップ的なグルーヴが楽曲全体にアクセントを与え、スムーズな展開が特徴。ボーカルと楽器が一体となり、リスナーを幻想的な音の世界へと引き込む。
4. So Tired
アルバムのクライマックスを締めくくるスローテンポな楽曲。疲れと倦怠感がテーマになっており、ラミーニックのソフトなボーカルと緩やかなメロディが、聴く者に安らぎと共感をもたらす。緩やかなリズムと、エフェクトが効いたサウンドが夢の中のような静寂を生み出している。
アルバム総評
Crumbは、サイケデリックポップとジャズポップが見事に融合した、ミニマルでありながらも豊かなサウンドスケープが広がる作品だ。幻想的な雰囲気とリラ・ラミーニックの内省的な歌詞が、日常の中で感じる感情の揺れや不安、懐かしさをリスナーに思い起こさせる。わずか4曲の短い作品ながらも、その音楽的な完成度と独特の世界観は深い印象を与え、Crumbの今後の活動に期待を抱かせる内容となっている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
In the Aeroplane Over the Sea by Neutral Milk Hotel
内省的な歌詞と独特のサウンドが共通するインディーロックの名盤。Crumbの幻想的な雰囲気に共鳴する。
A Moon Shaped Pool by Radiohead
メランコリックなサウンドとジャズ的なアプローチが、Crumbのミニマルで感情豊かなスタイルに共感できる一枚。
ドリーミーでポップなメロディが特徴のインディーロック作品。Crumbと同様に、どこか懐かしさを感じさせる楽曲が魅力。
What For? by Toro y Moi
サイケデリックな雰囲気とリラックスしたポップサウンドが共通し、Crumbのファンにも親しみやすいアルバム。
2 by Mac DeMarco
緩やかなテンポとリラックスしたサウンドが、CrumbのEPと通じる部分が多い。ジャズポップとサイケデリックポップが好きなリスナーにおすすめ。
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