アルバムレビュー:Suitable for Framing by Three Dog Night

AD
※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 1969年6月11日
ジャンル: ポップロック、ブルーアイド・ソウル、サイケデリック・ロック


AD

概要

『Suitable for Framing』は、Three Dog Nightが1969年に発表した2作目のスタジオ・アルバムであり、彼らの“ヴォーカル主体のクロスオーバー・ロック”というスタイルがさらに洗練され、商業的成功を本格的に掴んだ作品である。

本作は、バンド初のトップ10ヒットとなった「Easy to Be Hard」や、グルーヴィーな「Celebrate」など、以後のライブでも定番となる重要曲を多数収録。
カバー中心の構成は前作と同様だが、アレンジの洗練度、選曲のセンス、そして三人のリードシンガーによる表現力は格段に進化しており、Three Dog Nightの“選曲による自己表現”という美学が開花した一枚である。

ジャンル的にはポップロックを軸にしながら、ソウル、フォーク、サイケ、ファンク、ゴスペル的要素までを織り込み、ラジオ・フレンドリーな感覚とアーティスティックな野心の双方を兼ね備えている。
まさに“フレームに入れて飾りたくなるような”楽曲群が詰まったアルバムなのだ。


AD

全曲レビュー

1. Feeling Alright

デイヴ・メイソン(トラフィック)の名曲を、よりファンキーで重厚なアレンジに。
コリー・ウェルズのしゃがれた熱唱とホーン・セクションの豪快な絡みが、ソウルフルでエネルギッシュな幕開けを演出。

2. Lady Samantha

エルトン・ジョンの初期作を取り上げた一曲。
幻想的で繊細なメロディを、Three Dog Nightはより劇的かつアメリカンな感触へと仕上げており、選曲センスの鋭さが光る。

3. My Song

フォーキーで静かな情景描写が印象的なバラード。
複数の声が重なるコーラスワークが美しく、音数の少なさがかえって内省的な詩世界を強調する。

4. Heavy Church

ゴスペル的なスケール感を持つ異色作。
宗教的モチーフを大胆に取り入れ、ソウルとサイケの境界を揺らすようなアレンジが秀逸。
チャック・ネグロンのエモーショナルな歌唱が、祈りのように響く。

5. Sit Down, I Think I Love You

バッファロー・スプリングフィールドのカバー。
軽快なテンポとハーモニーの絡みが心地よく、1960年代中期の“ウェストコースト的な空気”を想起させる一曲。

6. Easy to Be Hard

ジーザス・クライスト=スーパースターで知られるミュージカル『Hair』の名曲をドラマティックにカバー。
チャートでも大ヒットを記録したバンドの代表作で、チャック・ネグロンのソウルフルな歌唱が涙を誘う。
「どうしてあの人たちはこんなに冷たいの?」というリリックが、社会的問いとしても響く。

7. Time to Get Alone

ブライアン・ウィルソン(ビーチ・ボーイズ)作による、牧歌的で優しいメロディの佳曲。
スリー・ドッグ・ナイトのコーラスにより、より暖かなポップ・ソウルとして昇華されている。

8. Prelude

アルバム中唯一のインストゥルメンタルであり、“間奏”としての役割を担う短編。
ピアノとストリングスによる美しいモチーフが、アルバム後半への静かな導入となる。

9. Celebrate

エネルギッシュなブラス・ロックで、ライブの定番曲。
「Celebrate, celebrate, dance to the music!」のコーラスはキャッチーで、まさに祝祭的。
観客との一体感を想起させる、ラスト直前にふさわしい高揚感。

10. Eli’s Coming

ローラ・ニーロの楽曲を、よりドラマティックかつ激しいロックとして再構築。
複数のヴォーカルが交錯しながら、不安と緊張を煽る構成は圧巻。
音楽的冒険心と表現力が凝縮されたラストナンバー。


総評

『Suitable for Framing』は、Three Dog Nightというバンドの“解釈力”と“声の力”が真に開花したアルバムである。
原曲への敬意と自らの個性がぶつかり合い、結果として“原曲以上に印象的なカバー”へと昇華されるという、彼らならではのスタイルが完成された。

選曲の広さ――ロック、ソウル、ブロードウェイ、カントリー、ゴスペルに至るまで――は、まさに1960年代末のアメリカ文化の縮図とも言え、その多様性を一枚にまとめ上げる力量は見事。
同時に、どの曲においても“三人の声”が主役であり、感情の表現、メッセージの伝達、聴き手との共振が非常に高いレベルで達成されている。

商業的成功だけでなく、芸術的にも重要な意味を持つ本作は、Three Dog Nightの核が詰まった一枚として、今なお色褪せない力を持っている。


おすすめアルバム(5枚)

  1. The 5th Dimension – The Age of Aquarius (1969)
    ミュージカルやソウルの要素を取り入れたコーラス重視のポップ。類似した空気感を持つ。
  2. Blood, Sweat & Tears – Blood, Sweat & Tears (1968)
    ブラス・ロックの洗練とソウルフルな歌唱。Three Dog Nightの祝祭感とリンク。
  3. The Rascals – See (1969)
    ソウルとロックの融合が美しい一枚。ブルーアイド・ソウルとしての共通性あり。
  4. Laura Nyro – Eli and the Thirteenth Confession (1968)
    「Eli’s Coming」原曲。Three Dog Nightの選曲美学と源流の対比が面白い。
  5. Delaney & Bonnie – Home (1969)
    スワンプロックとゴスペル・ソウルのミックス。『Heavy Church』のような曲と好相性。

コメント

タイトルとURLをコピーしました