アルバムレビュー:Fighting by Thin Lizzy

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※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 1975年9月12日
ジャンル: ハードロック、ブルースロック、パブロック


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概要

『Fighting』は、シン・リジィが1975年に発表した5作目のスタジオ・アルバムであり、ツイン・リード体制を本格始動させた作品として、バンドの“新章”を告げる決定的な一枚である。
前作『Nightlife』で垣間見えた静謐で都会的なサウンドから一転、ここでは“戦う男たち”としてのラフでソリッドなハードロックが前面に打ち出されている。

ギターにはスコット・ゴーハムとブライアン・ロバートソンという黄金コンビが完全に馴染み、そのツイン・ギターによるメロディックなハーモニーが、シン・リジィ・サウンドの核を形成していく。
同時に、フィル・ライノットの歌詞はストリートの視点から描かれた物語性を強め、“都市の詩人”としての立ち位置をさらに確かなものにしている。

チャート面では大きな成功には至らなかったが、後のブレイクを準備する“試合前夜の拳鳴らし”のような緊張感と勢いに満ちており、ロック・バンドとしてのダイナミズムと叙情性が初めて真正面からぶつかり合ったアルバムと言える。


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全曲レビュー

1. Rosalie

ボブ・シーガーのカバーでありながら、完全に自分たちのスタイルに昇華させたロックンロール・アンセム。
リフの鋭さとノリの良さが融合し、オープニングにふさわしい高揚感を生む。
ライヴでも定番となった人気曲。

2. For Those Who Love to Live

穏やかなイントロから始まるメロディアスな楽曲。
“生きることを愛する者たちへ”というタイトルが象徴するように、リリックは前向きで人間的。
ツイン・ギターの絡みが美しく、叙情性と力強さのバランスが絶妙。

3. Suicide

フィル・ライノットの物語性が色濃く表れた名曲。
“自殺”という重いテーマを扱いながら、ドラマティックな構成で聴かせる力作である。
ギターソロの攻撃性とヴォーカルの緊張感が印象的。

4. Wild One

フィル・ライノットが亡き友に捧げた、バラード的な美しい一曲。
“お前はワイルドなままでいい”というフレーズに、敬意と哀悼、そして愛情が滲む。
ライヴでは感動的な場面として演奏され続けた。

5. Fighting My Way Back

タイトル通り、敗北からの“再起”を歌ったロック・ナンバー。
ライノットのファイティング・スピリットとバンド全体のグルーヴが噛み合い、エネルギッシュな疾走感を生み出す。

6. King’s Vengeance

王の復讐をテーマにした叙事詩的ハードロック
ツイン・リードの絡みが映える構成で、ミニチュア・ロックオペラのような壮大さがある。
ファンタジーと現実が交差する、ライノットならではの世界観が展開される。

7. Spirit Slips Away

浮遊感のあるイントロから一転、ダークでブルージーなトーンが支配するスローナンバー。
“魂がこぼれ落ちる”という詩的なタイトルが示すように、喪失と倦怠の感覚が漂う。

8. Silver Dollar

哀愁のあるギターリフと、社会的視点を交えたリリックが印象的なミドルテンポの一曲。
“銀貨”は貧困や価値の象徴として機能し、ライノットの“語り手”としての力が光る。

9. Freedom Song

抑圧への怒りと自由への希求を歌った、ストレートなロックンロール。
パンチの効いたリフと簡潔な構成で、“闘う音楽”としてのシン・リジィを体現する。

10. Ballad of a Hard Man

アルバムを締めくくる、骨太なブルースロック。
“ハードな男”の物語という形で、男らしさや孤独、強がりを描いたリジィ流アウトロー賛歌。
ギターが咆哮し、リズムが唸り、アルバムを力強く締める。


総評

『Fighting』は、シン・リジィが単なるブルース・ロックの枠を超え、ストリートと叙情、戦いと詩性を内包した“独自のロック・スタイル”を確立しつつあることを証明した重要作である。
ここには、どこか荒削りで、しかしそれゆえに瑞々しいエネルギーがあり、“これから何かが始まる”という予感に満ちている。

ツイン・リードのサウンドは本作ですでに完成の域に達しつつあり、フィル・ライノットの歌詞世界も、個人から社会、ファンタジーまでを自在に行き来する表現力を手にしている。
この作品を経て、シン・リジィは『Jailbreak』という代表作へと飛翔する準備を整えたのだ。

“戦いながら生きる者たち”に捧げられた本作は、今なおその拳を振り上げ続けている。


おすすめアルバム(5枚)

  1. UFO – Force It (1975)
    ハードでメロディアスな英国ロック。ギターとヴォーカルの一体感が共通。
  2. Mott the Hoople – The Hoople (1974)
    文学性とロックの衝動を併せ持つサウンド。ライノットとイアン・ハンターの詩的世界が重なる。
  3. Humble PieRock On (1971)
    ラフでソウルフルなブルースロック。『Fighting』の荒々しさと親和性が高い。
  4. Status QuoOn the Level (1975)
    シンプルで骨太なブギーロック。ストリート感覚とバンドの一体感が響き合う。
  5. Bad CompanyStraight Shooter (1975)
    抑制の効いたハードロックと叙情性のバランス。『Fighting』と同じ時代感を共有。

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